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3rdアルバム『Blue Avenue』レビュー

花澤香菜は第2の松田聖子となるか? 栗原裕一郎が新作の背景と可能性を探る

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栗原裕一郎
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 花澤香菜のニューアルバム『Blue Avenue』が4月22日に発売される。サウンドプロデュースを手掛けているのは、1st『claire』、2nd『25』に引き続きROUND TABLEの北川勝利である。

 今作のテーマは「ニューヨーク」。1stは「渋谷」、2ndは花澤香菜が25歳を迎えるのに合わせた「25」がテーマで25曲を収録していた。そして「ニューヨーク」と続いたわけだが、「いまどきなぜニューヨーク?」と、正直なところ最初はピンと来なかったことを白状しておく。

 テーマ決定までの経緯や意図については、先行して掲載された柴那典氏による北川と花澤のインタビューで話されているので詳しくはそちらを参照していただきたい。(参考:花澤香菜×北川勝利が明かす、“極上のポップソング”の作り方「人生と音楽がより密接になってきた」

 ポイントをつまむと、花澤からジャズっぽい方向でやってみたいという希望が出たことがひとつ。それから、花澤が初の主演映画『君がいなくちゃだめなんだ』のロケのため渡米するというので、ニューヨークでレコーディングしちゃう!?と冗談めかしていっていたら、瓢箪から駒で実現してしまったというのがひとつ。そんな具合に要因が重なって、「ニューヨーク」というテーマに収束していったということのようだ。

 アルバムの目玉は、むろんNY録音である。M1「I ♥ NEW DAY !」とM3「Nobody Knows」の2曲がそうで、ミュージシャンも現地で集められたのだが、ベースはウィル・リー! ドラムはスティーヴ・ジョーダン!! その他にもデヴィッド・スピノザ(ギター)、ロブ・マウンジー(ピアノ、オルガン)、アンディ・スニッツァー(サックス)などなど大物セッションミュージシャンが起用されていてインパクトがある。

 オープニングを飾る「I ♥ NEW DAY !」がアルバム全体のトーンを予告しているといえそうだが、この曲は、エルボウ・ボーンズ・アンド・ラッケッティアーズ「A Night in New York」をイメージして作ったものだと『リスアニ!』2015年3月号のインタビューで北川は話している(聞き手は冨田明宏)。おお、80年代!

 もうひとつの目玉は、スウィング・アウト・シスターからの楽曲提供を得たことだろう(M11「Dream A Dream」)。

 NY録音、SOS楽曲、このふたつの土台に、北川—花澤チームで馴染みの作家陣が、それぞれ持ち寄った「ニューヨーク」をモチーフとする楽曲をあしらったコンセプトアルバムが、この『Blue Avenue』ということになる。

 参加作家陣は具体的には、岩里祐穂、宮川弾、矢野博康、ミト、中塚武、西寺郷太、奥田健介、そして北川勝利といった面々で、花澤も2曲、詞を書いている。驚異の新人シンガーソングライターとして耳の早い人たちの注目を集めている北園みなみが編曲とホーンアレンジで参加しているのも目を引く(M3、M7)。コーラス&プログラミングで初期からサポートしているacane_madderも、花澤香菜楽曲の印象に欠かせない重要人物である。

 既発表シングル曲である「ほほ笑みモード」(STUDIO APARTMENT作編曲)、「こきゅうとす」(やくしまるえつこプロデュース)、「君がいなくちゃだめなんだ」(岩里祐穂作詞、北川勝利作編曲)も収録されているのだが、四つ打ちエレクトロである「ほほ笑みモード」と、やくしまるえつこカラーが前面に出た「こきゅうとす」はどうも全体からは浮いて聞こえてしまう。しかしまあ、それは仕方のないところだろう。

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