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tofubeatsが考えるアウトプットのバランス感覚 「常に『この人は変化したいんだ』って思われたい」

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 tofubeatsが、4月1日にメジャー3rd EP『STAKEHOLDER』をリリースする。同作はtofubeats自らが歌唱する表題曲「STAKEHOLDER」や、盟友okadadaを招き“ディスコ”をテーマに制作した「T.D.M. feat. okadada」、過去にサウンドクラウドに発表されるや否やリミックス音源が多数UPされ、リリースのリクエストが多数寄せられた「window」を再録音しアップデートしたバージョンなど、計9曲を収録し、これまでの著名なゲストボーカルを迎える形から一変した作品となっている。今回リアルサウンドでは、その理由をtofubeatsに直撃。直近の宇多田ヒカルやSMAPなどとの仕事を含めたバランス感覚や、それぞれの楽曲に込めた意図、そして続々と活躍を続ける周囲のトラックメイカーたちの現状などについて、じっくりと話を訊いた。

「一定量自分で出していないと気持ち悪くなっちゃう」

――今回の作品はメジャーデビュー後のEP、アルバムと大きく異なり、全体的にテクノに寄った一作となっています。前回のインタビュー(tofubeatsがメジャーで挑戦しようとすること「パーソナルな部分を突き詰めた先に全体がある」)ではEWIやギターなどの生楽器に目覚めたことを話してくれましたが、この期間に何があったのでしょうか。

tofubeats:前作のリリース以降、実はギターを使った曲も作っているんですが、それは今後の作品にキープしています。そして、今回の作品もハード機材の比率を上げたという意味ではアルバム制作時のマインドを引き継いでいると言えるかも。あとは手間のかけ方、たとえば、ボーカルを全部家で録ったり、マスタリングもしっかり立ち会ったり、自分の中では前作のムードを踏襲しているつもりです。それでもマシン・ミュージックっぽい印象になったのは、SMAPさんのリミックス(「華麗なる逆襲」)や宇多田(ヒカル)さんのカバーアルバム(『宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について-』)といった作品で、すでに王道のポップスに挑戦していたため、自分の作品では異なるアプローチをしようと心がけたからかもしれません。自分の中でできる音楽の振り幅が100だとしたら、前回のアルバムでは外仕事が無かったからそのまま100を注ぎ込めたのですが、今回は外仕事ですでにポップな面を30くらいはやっている。だから70の部分――いわゆるいつものシングル表題曲とは違う形を、自分の作品として出した、ということです。

――仕事のバランスを取っていたら、自然とこうしたアプローチになった、と。

tofubeats:ええ、逆にテクノばかり作る仕事があったら、ポップスが自分の名義での捌け口になってきますね。一定量自分で出していないと気持ち悪くなっちゃうというか、全部好きなのに、全部好きって言えない状態って気持ち悪いじゃないですか。あとはそれをやってもいいよっていう機会を会社から与えてもらえた、ということですね。それに、インディーの頃から知ってくれている方は僕の様々な面を理解しているから特に不思議には思わないでしょうが、シングルの表題曲しか知らない人が『STAKEHOLDER』を出したらどう受け止められるのか、そういえばまだ試したことなかったなって思って。

――その考えを今回のEPに反映させることになったきっかけは?

tofubeats:自分の中には手札が幾つかあって。J-POPっぽい手札とか、クラブミュージックっぽい手札とか。これまではJ-POPぽい手札ばかりを切ってきたから、違うものを切ろうということは制作前から考えていました。表題曲に限らず、今回は「衛星都市」も「She Talks At Night」も、ポップスとしてのカードを一見切っているようで、音像はかなりマニアックなものにしています。ただ、自分の中ではどっちも同じくらい良いと思っていますし、表題曲もポップスを意識していますよ、カラオケでは歌えないでしょうけど(笑)。普段なら、AとBで悩んだらAにしていることを、あえてBにして「俺はこの曲ポップだと思うんだけど、J-POPのフィールドにいるみんなはどうですか?」って提示したかったという部分もあります。

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――多くの方の目に留まる機会が一気に増えたこのタイミングだからこそ、というのもあるんですか。

tofubeats:そうですね。あと、「こういうことがやりたいんだ」という意思表示としてわかりやすいかなって。宇多田さんとかSMAPさんを聴いて僕に辿り着いてくれた人に「何やねんコイツ」って思ってほしいし、「音楽の奥行きにはこういうものもあるし、EDM以外のクラブミュージックもあるんだよ」と伝えたいから、こういうアートワークや中身にしているところもあります。これまでは、オルタナティヴなものが好きな人にしか渡せなかったんですけど、そうじゃない人にも届けるチャンスは今しかないし、会社もOKを出してくれた。だから今なんです。

――でも、このタイミングがここまで早く来るとは思ってなかった?

tofubeats:2014年に作ったものに関しては、さっきの二組との仕事もそうだし、自分の曲をBONNIE PINKさんに歌ってもらったことも含め、「夢が一年で全部叶ってしまった!」という走り抜け方だったから、「これからどう生きていこう」って考えてしまった(笑)。だからイベント出演を減らして家でゆっくりさせてもらいました。それで、マネージャーとも相談して、インディーズ最後のアルバム『Lost Decade』(=失われた10年)の時と同じ気持ちで作ろうと決めたから、タイトルが同じように経済用語なんですよ(『STAKEHOLDER』=利害関係者)。あのアルバムは病気で家にいて仕事も出ることができなくて、メジャーデビューできるかどうか、大学も卒業できるか怪しかった時期に、有り金全部使って好きなボーカリストに歌ってもらって、最後の作品にしてあとはのんびり暮らそうという考えで作ったものだったんです。そうした初心に基づいているから、自分的にも今回の作品がこれまでのどれよりもしっくり来ているし、今までのなかで一番聴いている。EPにしては多めの9曲なんですけど、曲尺を意識して、さらっと聴けるようにしています。加えて、クラブで掛ける曲でもないし、かといって家で聴くのは……という良い違和感があるようなものを作りました。

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