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香月孝史が『3rd Year Birthday Live』を分析

乃木坂46がバースデーライブで描いた“多層的な絵” 最新のグループ動向を読み解く

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 2月22日に埼玉・西武ドームで行なわれた乃木坂46『3rd YEAR BIRTHDAY LIVE』は、タイトルの通りグループのデビュー3周年を祝うものであり、またこれまでに発表してきたすべての楽曲を披露するというコンセプトも持ち合わせたライブである。この全曲披露というライブコンセプトはこれまでのバースデーライブでも恒例になっているため、2013年2月22日の1周年ライブから数えて今回で3回目となる。セットリストとしては1stシングル収録曲から順に披露され、グループの成長記録を振り返るものとしての役割を果たしてきた。

 ただし今回、乃木坂46として過去最大の38,000人を動員して行なわれた『3rd YEAR BIRTHDAY LIVE』は、これまでのバースデーライブとは大きく味わいの違った性格を見せるものになった。ひとつには、全曲披露というコンセプトの必然として、年を追って楽曲数が増えることでライブ時間が一個のコンサートとしては異常に長くなったことによる、イベントとしての変化である。曲数の増加に対応して、乃木坂46のバースデーライブは、ライブ時間を確保するために年々開演時間が早まっている。一昨年の1周年ライブが18時開演、昨年の2周年ライブが15時開演ときて、今回の3周年ライブでは全68曲+アンコール5曲を披露するため、正午12時の開演、実に7時間半にわたるライブになった。このことで、ひとつの「コンサート」であると同時に、丸一日をかけた「お祭り」としての雰囲気が強くなった。言ってみれば、来場者にとっては一日がかりのフェスに参加する際のような気構えや準備が必要になる。来年以降のバースデーライブがどのようにプログラムを組むのかはわからないが、全曲披露のコンセプトを保つ限り、こうしたお祭りの場としての空気はいっそう定着していくだろう。

 もう一点、グループの成長を考える時に重要なのが、過去楽曲の披露に単なる当時の振り返りだけではなく、現在のグループを物語る意味合いも重ね合わされたことである。バースデーライブの全曲披露は、現在のグループ内でのポジションにかかわらず、できる限り各楽曲発表時の参加メンバーによってパフォーマンスされる。もちろん、たとえばすでに卒業したメンバーも多い初期のアンダーメンバー曲などは人数の関係もあり、当時まだ加入していなかった2期生たちが参加するなどの変更はある。とはいえ、4thシングル『制服のマネキン』から参加の秋元真夏や、7thシングル『バレッタ』で研究生だった堀未央奈がセンターに抜擢された歴史を踏まえた堀の登場、またSKE48との兼任メンバーである松井玲奈も、兼任以降の楽曲となる9thシングル『夏のFree&Easy』からライブに加わるなど、総体的に楽曲発表時のメンバー構成にこだわった演出が貫かれている。昨年までのバースデーライブでもこの特性はすでにあったものだが、グループの知名度の急上昇とアンダーメンバーの躍進があった2014年を経たことで、楽曲の見え方は多層的になったといえる。

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 その象徴としてはたとえば、2ndシングル『おいでシャンプー』発表時のアンダーメンバー楽曲「狼に口笛を」のパフォーマンスが挙げられる。先に述べたようにできるだけ当時の楽曲歌唱メンバーによって披露されるため、同曲には2ndシングル発表時アンダーメンバーだった深川麻衣や若月佑美ら、現在では選抜メンバー常連として強い存在感を示しているメンバーが参加している。ここでまず、かつてのアンダーとしての彼女たちの姿を想起させる面白さが生まれるわけだが、さらに興味深いのは他の「アンダーメンバー」の姿もまた違って見えることだ。「狼に口笛を」発表時のセンターは伊藤万理華である。昨年アンダーメンバーのセンターとしてアンダーライブを成功させ、“アンダー”の概念さえ変えてしまった、その中心人物である伊藤が再度同曲のセンターに立つことで、初期アンダーとしての彼女と、この一年で頼もしさを何倍にも増した現在の彼女の姿が重ねられる。リリース順に楽曲を追う中での振り返りと、現在のグループ状況を踏まえての面白味が合わさり重層的な意味を持った。

 また、この曲には同じく昨年のアンダーの中核を担った齋藤飛鳥や11thシングル『命は美しい』でアンダーのキーパーソンになる中元日芽香、さらに昨年のアンダーライブ期に選抜とアンダー双方を経験した衛藤美彩、斎藤ちはるらも参加している。グループの人気と知名度を急速に獲得するための先頭に立ってきた選抜メンバーと、内部からレベルアップを支えたアンダーメンバーとが拮抗しながら溶け合い、同曲のキャッチーさや肩の動きを特徴的に見せる振り付けと相まって、グループ全体の充実度を見せつけていた。

      

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