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宇野維正のSEKAI NO OWARI論

2015年、セカオワ現象はどこまで広がるか? 2年半ぶりのアルバム『Tree』の射程距離

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 「『Tree』は一体どのくらい売れちゃうのか?」。それは、2015年の日本の音楽業界における最初にして、もしかしたら最大のトピックになるのではないか。1月14日にリリースされる、SEKAI NO OWARIにとって実に2年半ぶりとなるアルバムとなるメジャー2ndアルバム『Tree』。2010年にインディーズからリリースされた『EARTH』は全7曲のミニアルバム的な作品だったので、本作がようやく実質上2枚目のアルバムということになる。ちなみに2012年7月にリリースされたメジャー1stアルバム『ENTERTAINMENT』は初週に約6.5万枚を売り上げて初登場2位。その後、延々とロングセールスを続けて、2014年初頭には30万枚に届いた。今回の『Tree』は、おそらくかなり早い段階でその数字を超えてくるだろうが、焦点となってくるのは50万枚を超えるかどうかだ。

 「セールスの話かい!」とツッコミが入りそうだが、そこは重要なポイントなのだ。もし今の時代にデビューから5年未満の彼らのようなバンドが50万枚以上のアルバム・セールスを上げることになったら、それはシーン全体にとっても大きな起爆剤になるに違いない。実際に、2年半前の『ENTERTAINMENT』の大ヒット以降、いくつかの若手バンドが00年代後半にはほとんど例のなかった10万枚以上、20万枚以上のヒットを記録するようにもなった。また、当初は白い目で見られがちだったSEKAI NO OWARIの積極的な地上波テレビでの露出も、今や若手バンドにとっては当たり前のプロモーション戦略となりつつある。彼ら自身にはシーンを代表する自覚なんてまったくないだろうし、むしろ現在の「ロックシーン」へのカウンター&オルタナティブであろうとする意識をその音楽においても言動においても強く打ち出してきたバンドだが、好むと好まざるとに関わらず、セカオワ以前/以降で音楽シーンの景色は確かに変わった。

 さて、では肝心の『Tree』とはどのような作品なのか? 曲目リストから一目瞭然なように、ここには彼らがこの2年半の間にリリースしてきたすべてのシングルの表題曲はもちろん、大部分のカップリング曲、さらにライブや映画のテーマソングなどで既に発表されている曲まで収められている。この一年はあまりに多忙であったことに加えて、そもそもデビュー当時から多作家であった試しなどない彼らにとって、本作はオリジナルアルバムというよりも、限りなくベストアルバムに近い作品。しかし、実際にアルバムを最初から最後まで通して聴いた時に浮き上がってくるのは、まるで当初からコンセプトアルバムとしてまとめることを狙っていたのではないかと錯覚してしまうほどの強固な作品世界。「シングル曲を寄せ集めただけのアルバムとしては散漫な作品」か「アルバムとしての統一感はあるもののインパクトに欠ける曲も入った作品」、アルバムというのは往々にしてそのどちらかに振れるものだが、この作品はどちらでもない。入門編的なベスト盤として十全に機能しながら、リスナーに「好き」か「嫌い」かその立場を明確にすることを否が応でも突きつけてくるセカオワ濃度100%の作品となっている。

      

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