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市川哲史の「すべての音楽はリスナーのもの」第1回

AKB48はそもそも何が画期的だったのか? 第5回じゃんけん大会への疑問

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 今年5月に新著『誰も教えてくれなかった本当のポップ・ミュージック論』を上梓した音楽評論家・市川哲史氏は、一般にはV系に関する仕事で広く知られているが、同書や数多くの雑誌で、アイドルグループについての論考も発表してきた。評論家歴34年の市川氏が描き出す、AKB48の特徴と現状とは。(編集部)

 今年の第5回から、AKB48じゃんけん大会の優勝者特典がソロ・デビューになったとの報せに、耳を疑った私である。そりゃ罰ゲームじゃん、と。

たとえば、かつて<神セブン>と呼ばれたOGたちは、さすがに卒業後も露出過多なほどにさまざまなメディアを賑わせてはいる。しかしその誰もが、主演ドラマや映画がコケたりプロデュースしたブランドが潰れたりバラエティ番組ではワイプで顔を映してもらうのがやっとだったりと、「等身大」すぎて近未来の先細りを心配させる。

 裏返せば、AKB48のメンバーでいる間は個人のスキルなど必要ないのだ。AKB48は集団行動をしているからこそのアイドルであって、メンバー単体で露出してしまうとアイドルどころか、単なるいち女子にすぎない。なのにたまたまじゃんけんに勝ったというだけで、そんな普通の子を無理矢理ソロ・デビューさせるなんて、極悪非道の仕打ちだろう。

「大量プロデュース」というコンセプト

 そもそもAKB48とは「コンセプト勝ち」だ。表の<会いに行けるアイドル>ではない、裏の<クラスで4~5番目にかわいい子を一度に大量プロデュース>の方である。

 かつては学校で最もかわいい子でも簡単になれないほど、アイドルの敷居はとてつもなく高いものだった。モーニング娘。あたりから学校で2~3番目の子にまでチャンスが与えられるようになりはしたが、AKB48の<クラスで4~5番目>とはまさに史上最大規模の規制緩和といえる。

 しかし考えてみたら、「レベル10の子×5人」も「レベル2の子×25人」も、積は同じ50だ。となれば実際に集めやすいのは、後者のパターンに決まってる。

 さらには、メディアを介してだけの遠い存在だったアイドルを身近に感じ、その成長していく過程をファンに見てもらいつつ、共に成長していくアイドル・プロジェクトとなれば、おそろしく広い裾野と無限ののりしろが期待できる<クラスで4~5番目にかわいい女子集団>で充分対応できるではないか。

 要は敷居が低ければ低いほど、より熾烈な競争が生まれるというものだ。

     
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