デビュー25周年の遊佐未森が語る、歌い続けることの意味「いつも新しいものを届けたい」

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 デビュー25周年を迎えたシンガーソングライター、遊佐未森。昨年秋にリリースされたベストアルバム『VIOLETTA』に続き、渋谷公会堂で行われたデビュー25周年記念コンサートの模様を収録したライヴDVD『mimo-real songs』がリリースされた。

 実力派のバンドメンバーに加え、デビュー当時にプロデュースをつとめた外間隆史をはじめとした多彩なゲストが集ったステージは、まさにメモリアルな内容。透明感ある伸びやかな歌声で幻想的な世界を描いてきた彼女の音楽のオリジナリティを強く感じさせるものだ。

 バンド編成でのライヴ、アコースティック編成での「café mimo」やプラネタリウムで行う「天文台コンサート」など、さまざまなスタイルで歌い続けてきた彼女。9月には地元・仙台で5年目となる仙台市天文台プラネタリウムでのコンサートも開催される。25周年という節目について、そして「歌い続ける」ということについて、話を訊いた。

「メンバーそれぞれがその場ですっくと立っているような感覚」

――先日の渋谷公会堂はデビュー25周年という記念すべきコンサートだったわけですが、ご自身としてはどういうステージにしようという思いで臨んだんでしょうか?

遊佐:25周年ってやっぱり20周年の時と全く違う感覚がありまして。重みを感じる一年だったんですね。なので、続けてこられたことへの感謝の気持ちを込めて、喜んでいただけるようなものを届けたいという思いはありました。

――「重みを感じられた」ということですが、20周年と25周年はどう違ったんでしょう?

遊佐:不思議なんですけど、20周年の時はスタッフの方に言われても、自分としてはいつもの感じで通り過ぎてもいいんじゃないかと思うくらいの突っ走り感があったんです。だから、今回のような気持ちになったのはデビューしてから初めてのことで。無事にこれたっていうのも大きいのかもしれないですけど、やっぱり25年っていうのが自分にとってはポイントになったんですね。

――節目として大きな意味合いがあった。

遊佐:そうですね。スタッフ、ミュージシャンも、お世話になった方々とできるだけ一緒に組んで、今まで共に歩んで来てくれた人と一緒にものを作る一年にしたいと思って。なので、ベストアルバムの『VIOLETTA』も、近しいミュージシャンのみんなと作ったんです。

――あのアルバムは時系列で収録した「オールタイムベスト盤」と新しくレコーディングした「セルフカバー盤」の2枚組でしたね。

遊佐:そうですね。現在進行形の部分と、昔に作ってきたものが同時に入ったわけで、だから、コンサートについてはその両方を満たす、今までやってないコンサートをしたいと思って。昔の曲でも新しいサウンドをいろいろ試しながら作りました。

――バンドメンバーも、バンマスの渡辺等さんを筆頭に、かなりの実力とキャリアのある敏腕の方々が集まっているわけですけれども。今のバンドメンバーで一緒にステージに立つ感覚はどういう感じなんでしょうか?

遊佐:それぞれがその場ですっくと立っているような感覚ですね。だから、このコンサートは特にそうなんですけど、離れてたとしても、何を今演奏していて、どういう気持ちでこういうフレーズを弾いているんだろうっていうのを瞬時に感じあえるような感じがあって。お互いが響き合うような感覚を分かち合えていたような気がしてますね。

――信頼関係があった。

遊佐:やっぱり25年を共に歩んできた人達なので。それぞれが充実した状態でサウンドを奏でている感じでした。

――コンサートにはコンテンポラリーダンスの踊り手も参加されてましたね。

遊佐:そうですね。コンテンポラリーのダンサーが入ることによって、その世界が相乗効果で音楽にも影響を与えるし、私自身の歌にもフィードバックするところがあって。ダンサーとバンドメンバーと全員でステージを形作っていく。その全てを感じて歌うような、幸せなステージでした。

――コンサートに参加されていたゲストについてもお話を伺いたいと思います。まずは、栗コーダーカルテット。彼らはベスト盤でも共演されていましたが、どういう経緯で?

遊佐:実は、栗コーダーカルテットのギターの近藤研二さんが、私がデビューした時のバンドメンバーだったんです。お互いデビューした頃を知っているんです。それで、数年前にあるイベントで一緒になる機会があって。そこからまた一緒にやるようになって。会っていない時間はあるにせよ、幼馴染みたいというか、同志というか、そういう風にお互い共通して持っているものを感じますね。

――アンコールの時には、「cafe mimo」のライブでも共にステージに立っている楠均 (Per) さん、西海孝(G)さんが登場されていました。このお二人については、どういう経緯でしょうか?

遊佐:お二人についてはもう14年やってきている春のコンサートのメンバーなんですね。楠さんはバンマスで皆勤賞ですし、私がデビューした時、エピックのレーベルメイトの「くじら」というバンドでドラムを叩いていらしたので、やっぱり最初からよく知ってくださっている方で。歌も上手いし多彩だし、本当にいてくれると安心な方です。ギターの西海さんはもう身体の中への音楽の浸透していく感じと言ったらいいのかな、もう素晴らしくて。彼の中から音楽があふれ出しているのがよくわかります。

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