峯田和伸と豊田道倫が語る、音楽の生まれる場所「街は静かだけど、心のノイズは増えている」

豊田「銀杏BOYZは、若いバンドの心の支柱になっている」

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豊田と峯田の間には共通の知人も多く、互いの近況が伝わっていた。

ーー先ほど豊田さんは、峯田さんたちの世代の音楽を、じっくり時間をかけて受け入れたって言いましたが、実際にその音楽と向き合ってみて、どう感じましたか。

豊田:僕の周りには20代のバンドやっている子がけっこういて、彼らの銀杏BOYZへの気持ちってハンパないなっていうのをまず感じる。その一人はタワーレコードに行って、エレベーター上がって店内の新作のポップ見ただけで号泣したって。その辺のバンドの心の支柱になってるよね。神聖かまってちゃんが出たときも、銀杏の音楽を聴いていた子たちが今、ここに来ているのかって思った。次の時代の人たちを掴む、一つの象徴的な存在なんじゃないかな。今回のCDを聴いても、峯田くんはちゃんとそういう責任感を背負っている気がした。ただその責任感を、ああいうサウンドで勝負してくるとは思わなかったかな。それは面白いし、いったい何を考えているのかわからないところでもあった。

峯田:9年ぶりだったんですよね。レコーディングしているときは、9年もかかると思わなかった。でもいろいろあって、結果9年かかったんですよ。やんなきゃなぁ、早く出さなきゃなぁって、ずっと思ってて。やっぱりいろんな若いバンドも出てくるし、なんか俺のことを好きでいてくれた女の子がほかの男のところにいっちゃうような感覚で、悔しいんですよね。ここ何年かは女性と遠距離恋愛している感じで。早く会わないと、俺のこと振り向いてくれないなって言う気持ちだった。んで、ようやく出せたので、ちょっと気が楽になりましたけどね、半年くらい前に比べたら。

豊田:今メンバーいないけれど、このサウンドを作ったときに、ライブとかツアーは考えてなかったの?

峯田:考えてました。2011年、震災の後に東北の方にツアーに行って、それが最後のライブなんですけど、その時はもうエフェクターとかもレコーディングでそのまま使っていたヤツをライブで使っていて。初日はあんまりうまく行かなかったんですけど、えーと仙台は三ヵ所目かな? あのくらいからなんかやっとデジタルと生身のライブがいい感じになってきて「あーこれいけるなぁ」って思ったんですけどね。んで、最初にギターのチン中村が抜けて。でも一人抜けたぐらいだし、友達にギター弾いてもらってツアーやろうかと思ってたんですけど、一人、二人、三人とメンバーが……。

豊田:そこはすごく気になっていて。小沢健二さんが『Eclectic』っていうダンスミュージックのやつ出した時、いっさいライブ活動しなかった。でも、あれをライブでやればなんかシーンが変わった気がするんだよね。あとは大滝詠一さんが昔出した『NIAGARA MOON』っていうレコードがあるんだけど、それがすっごいリズムの実験しているんだ。でも、ライブではあんまりやっていなくて、もったいない。今回の銀杏BOYZのアルバムも、ライブで日本中を回ったら、もしかしたらスゴいことになっていたのかもしれない。

峯田:レコードが出てもライブができていないっていうのはずっと気にしてて……。いま二つ考えていて、一つはオーディションしてロックバンドの銀杏BOYZとして、固定メンバーで練習して、シングルかアルバムすぐ録って、アルバムのレコ発ツアーをやるっていうのと、もう一つは今の一人だけという状態で、もう音源を録っちゃうという。こういう時期を逆手にとって、一人の状態の今の空気感で、今の新曲をパッケージしようかなっていう。でも回りたかったですね、ツアーで全国に。3年前のツアーはCDのアレンジとまた違う感じで、ツアー後半はけっこう手応えがあって、あの感じでやりたかったなーって思いますね。

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