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「本当はスタジオと同じ音で聴いてほしい」鈴木慶一が“音楽と音質の関係”を語る

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ムーンライダーズが2011年に活動休止した後は、「Controversial Spark」や「No Lie-Sense」といったグループで音楽活動を続けている鈴木慶一氏。

 音楽配信が一般化し、PCで音楽を楽しむリスナーが増加している昨今、CDの3~8倍程度の情報量を持つ「ハイレゾ音源」の配信サービスに注目が集まっている。可聴帯域を越える音楽信号まで収められ、ミュージシャンの生演奏を間近で聴いているような臨場感を味わえるという「ハイレゾ音源」だが、そもそも高音質で音楽を聴くことにはどのような音楽的メリットがあるのか。ムーンライダーズのボーカル・リーダーであり、映画音楽やCM音楽も手がける鈴木慶一氏に、音楽と音質の関係性について語ってもらった。

良い音と、良い音楽は、完全にダブっているわけじゃない

――鈴木さんは、ご自身の音楽を、どんな環境でリスナーに聴いてもらいたいですか?

鈴木慶一(以下、鈴木):なんにせよ、聴いていただければ、それだけで嬉しいんですけど……mp3配信するときは、それ用にミックスをしているので。まあ、音質の問題は、数値的に高いか低いかの問題なので、聴いたときの印象は、なるべく同じようにしたいと思っているんだけど、長年スタジオで作業していると、どうしても聴いている音のクオリティが高いわけだよね。だから、本当はそれと同じ音で聴いていただきたいんだけど……となると、現状ではハイレゾの配信しかないんじゃないかな?

――ミュージシャンは、ずっとそのジレンマと戦っている?

鈴木:そうだね。そこがつらいところなんですけど……聴くほうの環境は、やっぱり各自違うから。だから、スタジオのスピーカーでチェックしたあとに、ラジカセとかでもう一回聴いて確認する場合もあるし、自分の車でかけて確認する人も多いみたいだね。ミックスし終わったやつを車で聴いて、感じが良ければOKっていう。でも、それは音質っていうよりも、車で毎回聴いているから、それが基準になっていると思うんだ。

――「ものさし」的な感じで?

鈴木:そうそう。私も、できあがったものは、会社のプライベートスタジオのスピーカーで必ず聴いて、それで最終判断をするので。だから、自分の基準となるものを、ひとつ作っておくっていうのは、結構大事かもしれないよね。あと、忘れちゃいけないのは、良い音を聴いていることと、良い音楽を聴いていることは、完全にダブっているわけじゃないってことですよね。オーディオ的に良い音と、心を揺さぶれる音楽は、また別のものだったりするので。まあ、良い音でも、結構心を揺さぶられちゃったりするから、そこは難しいところなんだけど(笑)。

――良い音楽を良い音で聴くに越したことはないけど……。

鈴木:もちろん。両方あるのがいちばんいい(笑)。ただ、音楽をやっている人は、ちょっと聴き方が違っていて……音の良し悪しよりも、『あ、こんな音が入ってたのか!』とか、そういう聴き方をしている人が多いよね。たとえば、60年代のアルバムをSACDとかで聴くと、こんなに良く聴こえるのかっていう。ローリング・ストーンズの「ルビー・チューズデイ」に入っているチェロの音とか、SACDで聴いてびっくりしたもんね。ただ、それはものによるというか……ザ・バーズとかは、SACDじゃないほうが良かったりするんだよね。バーズの音は、あんまり分離しないほうがいいというか、グチャっとしていたほうがいい気がする。まあ、それは私の好き嫌いに近いのかもしれないけど。

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