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新作『manners』と創作作法を明かすインタビュー(前編)

藤原ヒロシが語る、キュレーション的な“歌”の作り方「歌う内容は自分のことじゃなくていい」

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最新作では全曲ボーカルを担当した藤原ヒロシ

 80年代より日本初のリミックスDJとして活躍する一方、ファッションの分野でも大きな足跡を残してきたストリート・カルチャーの牽引者、藤原ヒロシ。彼が10月16日、ソロ名義では久々となるフルアルバム『manners』をリリースする。

 このアルバムでは、全曲のボーカルを藤原ヒロシ自身が担当、カバー曲以外は作詞作曲も手がけている。リミックスやフィーチャリング作品をメインに手がけてきた藤原ヒロシとしては異色のアルバムに映るが、過去のプロデュース曲も収録されており、これまでの音楽活動の集大成的な側面を持ったアルバムにもなっている。

 藤原ヒロシの音楽観に迫るロングインタビュー、前編ではアルバム『manners』の話題を軸に、藤原ヒロシが今、自身の声で歌う理由から、その作詞・作曲の方法論までじっくりと話を聞いた。

――今回の作品では全曲、ご自身でボーカルを担当していますが、こういった“歌もの”には昔から親しんできたのでしょうか。

藤原ヒロシ(以下、HF):そうですね。小学生の頃から、姉の影響でフォークとか聴いて育ったので。ただ、歌っていうのは、自分のことだったり、メッセージを歌うのが当たり前だと思い込んでいたので、これまでは自分で歌を作って自分で歌うというのは全然考えていませんでした。でも、YO-KING(真心ブラザーズ)とAOEQをやってから、歌う内容は別に自分のことじゃなくて、他人になりきって歌ったり、他人の言葉を引用して作っても良いんだということがわかったんです。言葉遊びのような、そういうのも意外と面白いんだと。ただ、オリジナルの曲を作って歌うっていうことには自信がなかったし、実際にどうやっていいかわからなかったので、YO-KINGがやるのを真似たり、教えてもらったりして、少しずつやってきました。

――たとえばフォークソングだと、私小説的な自己表現を行うものも多いのですが、そうではないものにも可能性はあると。

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少年時代は姉の影響でフォークに親しんでいたという

HF:そこはあえて曖昧にしています。自分のことを歌っているように聞こえるかもしれないけど、実は他人の恋愛観を歌っていたりとか。そういう遊び方をしていますね。

――先ほどフォークを聴いて育ったとうかがいましたが、好きなグループは。

HF:古井戸が好きでしたね。あと、フォークではありませんが、RCサクセションが好きでした。70年代とか、それくらいの頃ですかね。RCサクセションは当時から過激なメッセージを発信していて、そういうところが良かったですね。姉が古井戸を好きだったんですよ。RCのシングルなんかもあったりして。全部の曲を覚えています。

――確かに、古井戸やRCには自己表現にとどまらない、寓話的な部分がありますよね。今回のアルバムでは、ストーリーを自分で組み立てたんですか?

HF:曲によってですね。読んだ本を参考にして歌にしたり、恋愛の歌を作ろうって決めて、周りにいる人から言葉をピックアップしたりとか。例えば「sophia」っていう曲の「走り出す電車に飛び乗る君と ホームに立ち尽くす僕と」っていうフレーズは、読んだ本の中にあって、これ面白いなって思って。色んな人に「これと似たようなフレーズない?」って尋ねて、周りのスタッフや、姉の言葉なんかも使いました。

 たとえば「ヒールを鳴らす」とか、男からは出てこないですよね。で、ヒールを鳴らすって言葉を聞いて、そういう表現があるんだったら、まぁ男はスニーカーの紐を結ぶとかなのかなと。そういう風に遊びながら、パズルを組み立てるように作りました。

     
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