プロ野球観戦の未来はここにある? 『楽天スーパーナイター』で見つけた「AI×スポーツ」の最前線

2026年6月22日、東京ドームで開催されたプロ野球・一軍公式戦「東北楽天ゴールデンイーグルス 対 埼玉西武ライオンズ」は、「楽天スーパーナイター」として楽天グループの冠協賛のもと行われた。本イベントでは、台湾のプロ野球チームの公式チアリーダー「Rakuten Girls」のパフォーマンスや、ソプラノ歌手の高橋維による国歌独唱などが会場を沸かせたが、テック系メディアとして注目したいのは、場内コンコースで展開されたテクノロジー活用のブース群だ。
今回は、生成AIを駆使してファン体験を拡張する「THE NEXT BATTER」と、新しい野球観戦の形を提案する「AI解説者」の2つのブース体験を中心に、スポーツとテクノロジーの融合がもたらす未来をレポートする。
誰もがグラウンドに立つ興奮を 「THE NEXT BATTER」が作る没入型体験
まず足を運んだのは、楽天グループが展開する「THE NEXT BATTER」ブースだ。ここでは、「憧れの楽天イーグルスの一員に!」をテーマに、AI技術を駆使した没入型プロ野球選手体験が提供されていた。
「THE NEXT BATTER」は備え付けのタブレット端末で自分のニックネームや背番号を入力し、「睡眠の質」や「食事」「直感」といった当日のコンディションチェックに回答したあと、バッターボックスに見立てた撮影スペースで自身の写真を撮影すると、入力したデータをもとに、最新の生成AIが自分だけの「オリジナルの応援歌」と演出を即興で生成してくれるという体験型ブースだ。
実際に足を踏み入れると、大画面のディスプレイには満員のスタジアムが映し出され、本当に打席に立っているかのような臨場感に包まれる。生成された自分の応援歌が球場全体に響き渡る中、バットを構える体験は、いち野球ファンにとってたまらない瞬間だ。体験の最後には、自分の写真とプレースタイルがデザインされたオリジナルのデジタル選手カードがもらえるのも嬉しいポイントである。
現地でブースを体験した東北楽天ゴールデンイーグルスのアンバサダーである銀次氏は「あまりの迫力に思わず声を上げてしまうほど没入感がありました」とコメントした。同じくアンバサダーの岡島豪郎氏も「スクリーン映像は迫力が凄まじく、思わず『うわ!すごい!』と何度も叫んでしまったほど」と興奮気味に語った。デジタルテクノロジーが、ファンの「夢」をリアルな体験へと昇華させた好例と言えるだろう。
ちなみに筆者は銀次氏・岡島氏が現役時に何度も試合を見に行ったことがあるので、彼らのオリジナルの応援歌が流れないことに少しくすぐったい気分になったが、一般の方にオリジナルの応援歌はないはずなので、安心して人生初の一曲を楽しんでほしい。
「More Fun & Deeper」な観戦へ コアファンを唸らせる「AI解説者」
続いて注目したのは、楽天が運営する動画配信サービス「Rakuten TV」のパ・リーグ公式戦配信「Rakuten パ・リーグ Special」が開発を進めている「AI解説者」サービスのデモ公開だ。
この機能は、公式戦の1球ごとのデータやプレーイベントを解析し、AIが「実況・解説風」の自然なコメントを自動生成するというものだ。PCやスマートフォンの試合中継画面の横に、テキスト形式でAIの解説がリアルタイムに流れてくる仕組みになっている。単純な結果の速報ではなく、「この打者は直近6試合で打率3割5分、得点圏打率では4割以上打っています」といった、状況に応じた詳細なデータを交えた深い解説が特徴だ。
デモ映像を視聴した銀次氏は「解説する時に数字的なところは忘れがちなので、しっかり伝えてくれるのはすごく楽になります」と実用性を高く評価した。一方で「ただ、選手の目や心といった部分は自分たちが伝えていかなきゃいけない」と語り、人間の解説者ならではの視点とAIのデータ処理能力が共存していく未来を示唆した。
また、岡島氏は「僕らもこれを見ながら解説しているかもしれない」と笑いを誘いつつ、「対左投手やナイター・デーゲーム別、球場ごとのデータも出せるようになると、解説の幅がさらに広がって面白くなるはず」と、AI解説者のさらなる進化への期待を寄せた。
「AI解説者」は、今シーズン中にβ版としてリリースされ、ユーザーからのフィードバックをもとに来シーズンに向けてブラッシュアップされる予定だという。野球というデータが豊富なスポーツにおいて、AIによる深掘り解説は、コアファンの観戦体験をより豊かにするコンテンツになる可能性を秘めている。
テクノロジーで実現する「もっといい未来」
また、今回の「楽天スーパーナイター」では、AI技術の活用にとどまらず、サステナビリティ推進に向けた取り組みも発表された。グッズ購入時に不要になった包装プラスチック袋をリサイクルした「楽天イーグルス循環型ショッパー」の販売開始である。これはすでにサッカー・明治安田J1リーグのヴィッセル神戸でも導入されている取り組みの横展開だ。
「スポーツとともに、もっといい未来へ。A BETTER FUTURE TOGETHER」という活動テーマを掲げる楽天。今回体験した「THE NEXT BATTER」のワクワク感や、「AI解説者」がもたらす新しい視聴体験は、まさにテクノロジーを活用して「スポーツを誰もが自分らしく楽しめる環境」を創り出そうとする試みだ。AIをはじめとする最新技術は、プロスポーツのエンターテインメント性をどうアップデートしていくのか。各社がしのぎを削るなか、楽天が行う独自路線の挑戦に期待したい。
































