Sakana AI、Claude Mythosに並ぶ性能の『Fugu Ultra』提供 複数のモデルを“指揮”するモデルに

 Sakana AIは、マルチエージェントのオーケストレーションシステムを一つの基盤モデルとして提供する新プロダクト『Sakana Fugu』の一般提供を開始した。

 『Sakana Fugu』は、複数の最高性能モデル群を動的にオーケストレーションし、複雑で多段階のタスクに取り組むシステムであり、単一のモデルAPIから利用できる。これにより、特定のベンダーに依存することなく、また利用者自身が複雑なシステムを構築することなく、フロンティアレベルのマルチエージェント能力を活用可能になる。

 『Sakana Fugu』自体が一つの言語モデルとして機能し、エージェントプール内のさまざまなLLMを呼び出すように学習されている。場合によっては自分自身を再帰的に呼び出すこともある。ユーザーが一つのエンドポイントにリクエストを送ると、『Sakana Fugu』がその処理方法を判断し、単独モデルで十分な場合はそのまま解き、より高度な対応が求められる場合には専門モデルのチームを編成して連携させる。モデルの選択、委譲、検証、統合をすべて内部で管理するため、マルチエージェントシステムの複雑さがユーザーのコードに及ぶことはない。

 Sakana AIは、このアプローチが地政学的・実務的にも重要だとしている。同社は、AnthropicのFable 5およびMythos 5モデルに課された輸出規制を例に挙げ、単一ベンダーへの依存リスクを指摘。『Sakana Fugu』は背後で用いるモデル群を柔軟に入れ替え可能で、あるプロバイダーが利用を制限しても、その影響を動的に迂回できるという。今後は新しいモデルやSakana AI自身のモデル、その他のオープンモデルもプールに加えていく予定だ。

 今回提供を開始するのは、『Fugu』と『Fugu Ultra』の2モデルで、いずれもOpenAI互換の単一APIを通じて利用できる。『Fugu』は高い性能と低レイテンシのバランスに優れ、コーディングやコードレビュー、チャットボットなどの日常的な業務に適する。データやプライバシー、コンプライアンスの要件に応じて、特定のエージェントをプールから除外することも可能だ。

 『Fugu Ultra』は、困難な多段階の問題に対する回答品質を最大化するよう調整されており、精度と深さが求められる場面でより厚みのある専門エージェント群を連携させる。データ分析、論文の再現、サイバーセキュリティ分析、文献・特許調査といった負荷の高い業務での活用が想定されている。同社によれば、『Fugu Ultra』はエンジニアリング・科学・推論といったベンチマークにおいて、AnthropicのFable 5やMythos Previewといった最先端モデルに比肩する性能を発揮するという。

 提供開始に先立ち、Sakana AIは500名近いテスターの協力を得てベータプログラムを実施した。テストユーザーからは、コードレビューで他のモデルが見逃すバグを含め20件以上の問題を洗い出した事例や、長時間のセッションでもペルソナが安定していたという評価、範囲を絞った指示一つでセキュリティ評価を一気通貫でこなしたとの声が寄せられた。

 『Sakana Fugu』は、日常利用向けのサブスクリプションプランに加え、より負荷の高い用途やエンタープライズ向けの従量課金プランが用意されている。今後数ヶ月のうちに、専門エージェントのプールの拡充、長時間タスクやエージェント的なタスクにおける協調の強化、ユーザーによる挙動制御の細分化を進めていく予定だ。

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