『KAZUMA KANEKO’S ツクヨミ』は悪魔絵師のコンシューマー復帰作に相応しい“新たな神話”だ 3600点のカードデザインと『DMC』コラボが織りなす「ローグライクの深淵」

『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』試遊レポート

 「悪魔絵師」の名で世界中に熱狂的なファンを持つ金子一馬が、本格的にコンシューマーゲームの世界へと帰還を果たす。

金子一馬 最新作『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』アナウンストレーラー

 株式会社コロプラより、2026年4月23日に発売が予定されているNintendo Switch用ソフト『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』。本作のゲームデザインやシナリオを含む全てを手掛けるのは、「悪魔絵師」の名で世界中に熱狂的なファンを持つ金子一馬だ。

 本作は先行して展開されたアプリゲーム『神魔狩りのツクヨミ』と世界観設定の一部を共有しながらも、開発チームが「移植ではなく完全新作として制作した」と断言するほど、その内実は劇的な変貌を遂げている。

 本稿では、メディア向け先行体験会で判明した本作の手触りと魅力についてお届けする。

リソース管理と「創成札」が鍵を握る過酷な探索。金子一馬の描くダークな世界観をカードバトルへ昇華

 『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』の舞台は、20XX年の近未来、東京の湾岸エリアにそびえ立つ超高層タワーマンション「THE HASHIRA」である。かつては都会の繁栄を象徴する場所であったが、突如として出現した謎の結界によって外界から断絶。内部には「神魔」と呼ばれる異形が跋扈し、地獄のような迷宮へと変貌した。プレイヤーは国家守護組織のエージェント「ツクヨミ」として、この閉ざされた巨大建築物へと潜入する。

 本作のジャンルは「デッキ構築タワーダンジョン」。その名の通りカードバトルがメインに据えられており、山札から3枚の神魔札(カード)を手札に加え、「オド」と呼ばれるリソースと引き換えに神魔札の効果を発動していく。なお、新たな神魔札は戦闘パート終了後やフロア内で発生するイベント等(後述)で獲得できる。神魔札の取捨選択を行いつつ、プレイスタイルを考えながらデッキを組む楽しさは本作の大きな魅力の一つだ。

 ゲームシステムの核となるのは、金子の画風や美学を学習させた独自のAI「AIカネコ」と、そこから生まれた特別なカード「創成札」のシステム。本作ではプレイヤーの行動理念や、謎の神からの抽象的な問いかけへの回答に基づき、新たなカード「創成札」が入手できる。用意された札のイラストのバリエーションは3600点に及び、神魔の種類ごとに金子の世界観を補完する詳細な解説テキストが添えられている点も見どころだ。

 神魔札には攻撃力や防御力を加算するものや、相手に状態異常(デバフ)を付与するもの、強力な効果をもたらす一方でプレイヤーにデメリットが生じるもの……等々、その種類は様々。刻一刻と変化する状況下でどの神魔札を使うべきか、自らの判断と戦略によって最上階を目指す過酷な探索が繰り広げられる。

金子節全開の物語体験とファン垂涎の「デジタルノベル」

 本作を語る上で欠かせないのが、単なるバトルの連続ではない物語体験だ。開発者によれば、「メインストーリーを追うだけでも20時間強ほどかかる」と想定されており、ローグライク作品としては異例のボリュームを誇る物語がここに描き出される。

 さらに本作を重層的なものにしているのが、異なる二つの視点で描かれるストーリー構造だ。組織のエージェントである4人のツクヨミを中心とした「ツクヨミ編」に加え、彼らの討伐対象にフィーチャーした「登美のりこ編」を収録。敵対する勢力それぞれの視点を通じて、事件の全容を解き明かしていくことになる。なお、登美のりこ編は特定の条件を満たすことで開放される仕様だ。

 プレイアブルキャラクターは総勢5名に及び、それぞれが異なる5つのバトルスタイルを持つ。なかでも登美のりこは、ツクヨミ達が遭遇するボスキャラクターの能力を備えた専用カードを自在に使うことができ、規格外の性能を誇る。各キャラクターの特性を理解し、ランダムに出現する神魔札を戦略的に選択・強化していくことが、本作のダンジョン攻略における最大の鍵と言えるだろう。

 また、本編以上の圧倒的な情報量を誇る「デジタルノベル」が搭載されている。シナリオの細部や舞台設定をただのストーリーテキストではなく「小説」として網羅されているほか、複雑なカードバトルを回避して結末まで一気に読み進めることも可能だ。開発者いわく、この機能は「金子が紡ぐ物語と設定を何よりも尊重した結果」とのこと。ゲームプレイは苦手だけれど、世界観にしっかり浸りたい層へのケアが万全な点も評価点だ。

『DMC』ダンテらが参戦 原作をリスペクトしたスタイリッシュな戦略と死地を越える快感

 本作の戦闘バランスについては、ローグライク特有のシビアさが際立っていると感じた。ボスキャラクターの強さもさることながら、道中で遭遇する雑魚敵も歯ごたえのある調整となっており、一手のミスが致命傷に繋がりかねない緊張感を伴っている。そしてプレイヤーは常にリソース管理と最適なカード選択が求められ、階層を進むごとにその厳しさは増していく。このシビアさこそが、金子の描くダークな世界観の説得力を強固なものにしている。

 さらに、カプコンの「デビル メイ クライ5」(DMC5)とのコラボレーションコンテンツも実装されている。同作からは、「ダンテ」「バージル」「ネロ」の3キャラクターが本作に参戦。彼らはツクヨミたちとそれぞれ一対一で遭遇する形で設計されている。

 具体的には「THE HASHIRA」の中階層から姿を表すが、その戦闘能力は極めて高く、戦闘の際はかなりの苦戦を強いられる。筆者は試遊の際にダンテと相まみえたが、お馴染みの軽妙なトークから戦闘へ突入する流れ、そして道中の神魔とは一線を画す強さを含めて、本作の目玉のひとつになるだろうと確信した。

 彼らとの戦闘後に入手できる神魔札は、探索時の大きな助けとなる。ダンテの「スタイリッシュランク」やネロの「イクシード」といった原作特有のシステムが、カードバトルのルールの中に違和感なく落とし込まれている点は、開発側の原作愛と構成力の高さの証明と言えるだろう。

 『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』は、一人のクリエイターが持つ独創性と、現代の技術、そして他作品との幸福な出会いが結実した一作である。根幹のゲームシステムは極めて堅実であり、『神魔狩りのツクヨミ』をやり込んだプレイヤーであれば、その手触りの良さとクオリティの高さにすぐさま信頼を寄せることになるはず。それでいて安易な移植ではなく、完全新作として一から作られたシナリオと演出は、プレイヤーをより一層深く、濃密な金子ワールドの深淵へと引きずり込んでくれる。

 一方で、本作で初めてこのジャンルに触れるプレイヤーにとっては、その体験は鮮烈なものとなるに違いない。淀みのないテンポ感で進行する心地よさと、一手のミスが命取りになるシビアなゲームバランス。相反する要素が両立されたゲームシステムは、新鮮な驚きをもって受け入れられることだろう。

 デッキ構築タワーダンジョン『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』は、Nintendo Switch向けに4月23日に発売予定だ。

金子一馬の最新作『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』が4月23日発売 「神魔」が主役のデッキ構築型ローグライク

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