NVIDIAのAI描画技術「DLSS 5」はなぜ不評を買ったのか? ソニー「PSSR 2」との決定的な差とは

大手テック企業のNVIDIAが、AIを活用してゲームのグラフィック品質を向上させる最新技術「DLSS 5」を発表。テクノロジーの進歩に期待が高まる一方、そのデモ映像を見た人々からは反発の声も多く上がっているようだ。なぜここまで賛否が飛び交う事態となっているのだろうか。
公式サイトの説明によると、「DLSS 5」はAIモデルを用いたリアルタイム描画により、フォトリアルな陰影や質感を実現するという技術。これによってゲーム開発者は、ハリウッドのVFXでしか実現できなかったような新次元のコンピューターグラフィックスを提供できるようになるという。
『バイオハザード レクイエム』や『アサシン クリード シャドウズ』、『ホグワーツ レガシー』などのタイトルに対応するとのことで、実装時期は2026年秋頃になると説明されている。(※1)
デモ映像で「もはや別人」の声が続出
実際にNVIDIAが公開したデモ映像では、「DLSS 5」の適用前と適用後に『バイオハザード レクイエム』の主人公・グレースの顔がどれほど変化したのかが示されていた。両者を比べると、たしかに適用後の画面ではグレースの顔が実写さながらの質感になっているのだが、あまりにも顔の印象が変わっており、「もはや別人」だという声も上がっていた。
さらにネット上では、「DLSS 5」について、ゲーム画面を“AI生成的なグラフィック”に置き換える技術ではないかと懸念する人が続出。とくに海外ではAI技術への不信感が大きいためか、「DLSS 5」のオン・オフで全く違う人物の顔になる画像が皮肉の意図で投稿されており、ちょっとしたネットミームのようになっている状況だ。
争点は「開発者の意図が守られるか」
ここで議論の核心となっているのは、「DLSS 5」の適用によってゲーム開発者が元々意図していたグラフィックからの逸脱が起きることだろう。要するに「開発者の意図が守られるかどうか」が大きな争点となっている。
こうした意見に対してNVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏は、先日開催されたNVIDIAのカンファレンス「GTC 2026」で反論を展開。「DLSS 5」はゲーム開発者の側で調整できるものであり、創作性を損なわせる技術ではないことを説明していた。また公式サイトのQ&Aでも、「DLSS 5」はあくまでゲーム開発者のコントロール下にあることが強調されている。(※2)
好評のソニー「PSSR 2」との決定的な違い
ちなみにAIを活用した映像のアップスケール技術といえば、ソニーがPlayStation 5 Proの「PSSR 2」を3月17日に実装したばかりだ。こちらもゲームの画像を解析して再構成する技術ではあるが、「DLSS 5」とは対称的に、好意的な反応が目立つ。
おそらくこの差は、ソニーがゲーム開発者と協調する姿勢を打ち出していることが大きいだろう。「PlayStation.Blog」の発表では、『SILENT HILL f』や『FINAL FANTASY VII REBIRTH』、『仁王3』などのゲーム画像が示されているが、それぞれ開発チームが「PSSR 2」を導入した意義についてコメントしている。(※3)
つまりこの発表では「AI技術によってどれだけフォトリアルな画面を実現できるか」ではなく、あくまで「ゲーム開発者の意図をより実現しやすくなった」という点が強調されているのだ。
翻って考えると、NVIDIAの「DLSS 5」発表はゲーム開発者の存在を蔑ろにしていた節があり、それがゲーマーたちの不興を買う1つの原因になったのではないだろうか。
AI技術に関しては、ここ数年さまざまな騒動が頻発している。今後も技術開発を進める側には、ユーザーの信頼感を損なわないための配慮が求められるだろう。
参照
※1 https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/news/dlss5-breakthrough-in-visual-fidelity-for-games/
※2 https://www.nvidia.com/en-us/geforce/forums/geforce-graphics-cards/5/583738/dlss-5-faq/
※3 https://blog.ja.playstation.com/2026/03/17/20260317-ps5-system-update-o/























