家電のエディオンが誇るプライベートブランド「e angle」の品質を担う独自の商品性能テスト研究所へ潜入!(後編)

家電の安全テストをする研究所に潜入

 家電量販店・エディオンには独自の商品性能テスト研究所なる部署がある。いったいここでは何が行われているのか? エディオンのPBブランド「e angle(イー・アングル)」の商品開発とも密接な関係にあるという、兵庫・尼崎にある同研究所に潜入取材を行った。

テストで問題のあった商品がエディオンの店頭に並ぶことはない

 エディオンが誇る商品性能テスト研究所の歴史は意外に古い。前身のデオデオのさらに前身にあたるダイイチ時代の1987年に開設。一度の休眠を経て、2010年に再始動した。

 「もともとの商品性能テストの部署に、1年前から保証監査の部門が合流しました。ここで何が行われているのかといえば、商品がきちんと動作するかであったり、商品の安全性や耐久性などをチェックしているということですね」とは同研究所の所長を務める馬場猛さん。前身時代も含め、エディオン一筋30年の大ベテランだ。

 この日は、ちょうど新規仕入先の縦型洗濯機のテストが行われていたが、基本的なテスト内容はまずは取説どおりに動くかどうか。

「国内のナショナルブランドをはじめ、いわゆる大手メーカーの商品はテストは行いません。なぜなら、メーカーでしっかりとテストが行われているから。この商品性能テスト研究所では、PBブランドの『e angle』のほか、エディオンとして新規取扱いになる新興メーカーの製品、いわゆる初モノをテストしています。テストを行い何かしら問題があってフィードバックしたものに関しては、その部分が改善されるまでエディオンの店頭に並ぶことはありません」(馬場さん)

 年間約100回以上のテストがここで行われているという。数だけ見ると、意外に少なくも思えるが、実はこの”商品テスト”という工程、非常に時間がかかるのだ。

「基本的に1つのテストを約14日間かけて行いますが、例えば洗濯機の場合だと1ヶ月以上かかることもあります。テストの視点の基本は、あくまでどういった動作がお客さま的に良いのか、ですね」(馬場さん)

 商品性能テスト研究所内にある環境試験室では、温度を−10℃から40℃まで、さらに湿度を100%までに設定できる。まずは商品を低温−10℃下に8時間置き、続いては高音高湿(40℃、湿度80%以上)下で8時間、最後に熱衝撃(低温4時間後、高温高湿で4時間)の環境で8時間設置。この3つのサイクルを全部行って、環境試験というひとつのテストが終わる。

 PBブランド「e angle」の商品に関しては、開発途中のサンプル段階から同研究所でテストを行う。中でも馬場さんが個人的に大変だったというのが炊飯器だ。

「炊飯メニューの8メニュー全てをテストしなければなりません。さらに1つのコースのなかに炊き方が『ふつう』『かため』『やわらかめ』とあります。テストをしながら、全部で15キロぐらいのごはんを食べるハメになりました(笑)」(馬場さん)

 “かため”、”やわらかめ”は非常に感覚的な要素も強い。

「商品性能テスト研究所以外のスタッフにも声をかけて10人以上で炊き上がったごはんを試食して、やわらかい、かたい、もちもちなど、人による感覚的なテスト結果を平均化して評価を出しています。商品はつくって販売して、使えればいい、だけではダメ。ここでは常にお客さまの視点に立ってテストを行っています」(馬場さん)

 その上で専門的なテストにも抜かりがない。この日は、作業デスクの上に分解途中の電子レンジが置かれていたが、基本的にどの商品もテストの最後に分解を行うのだという。

「仕様どおりの部品がきちんと搭載されているかのチェックですね。あとは、ハンダづけなどが甘くないかどうかとか。商品に1000Vの電圧を1分間印加し絶縁破壊が起きないかのテストもします。その際に使用するのがいま、研究所スタッフの佐々木さんが着用しているこの手袋ですね」(馬場さん)

 マウスの耐久テストには専用のオリジナル治具も使用する。

「どれだけ持つのかというわけで、マウスをクリックする動作を7万3000回テストします。1日100回クリックして2年間の計算ですね。さすがに、人の手で行うには腱鞘炎になりそうなので、専用の治具を作成しモーターで一定の力をかけることでテストを行っています。われわれが大事にしているのは、商品を使っているお客さまに満足していただくことに尽きますね」(馬場さん)

両者の譲れぬせめぎあい。「e angle」商品開発者との理想的な関係性

 ことに「e angle」のアイテムに関しては、同研究所が商品の品質面でも重要な役割を担っているが、それだけにエディオンのグローバル商品企画部とは密接な関係性がある。

「新商品の開発がスタートすると、発売予定時期も含めてスケジュール感を共有します。それでも、開発の各段階でテストした結果、ダメなモノはダメとしっかりいいます。どれだけ開発者がこだわっていたとしても、あるいは販売開始時期の都合があったとしても。技術的に問題のあるモノは世に出すべきではありません」(馬場さん)

 馬場さんの真摯な姿に、思わず頭があがらなそうな表情を浮かべていたのが、この日の取材に同席した「e angle」の商品開発を担当するエディオン・グローバル商品企画部の木村健吾さんだ。

「例えば1つメニューを増やしたいとすると、プログラムの改修となり、ほかのプログラムに影響が出る可能性があるので、商品性能テスト研究所ではまたイチからテストを行うことになります。もちろん、そのこともわかってはいますが、それでもお客さまの声をしっかりと商品に反映したいという気持ちが強く、商品開発担当としてはせめぎあいがあるわけです。再テスト依頼となりますが、『テストをしてほしい』と投げるようにしています(笑)」(木村さん)

 そんな木村さんに笑顔で返す馬場さん。

「カラーデザインシリーズもサンプルを何十回も出してもらいました。例えばオーブントースターとタンブラーミキサーの色合わせがきちんとできていなかったりしたので。こちらも”くすみカラー”を色ムラなしに出すのがどれだけむずかしいことか承知していますが、お客さま視点では色がそろっていない、色ムラがあるはあり得ないですからね。商品開発の上層部とは週2回打ち合わせをしていますが、この商品性能テスト研究所は、『e angle』とは切っても切れない部署でもあります」(馬場さん)

 「買って安心 ずっと満足」をモットーにするエディオン。その背景にはそれぞれの役割に真摯に向き合う、商品開発者と商品性能テスト担当者の理想的な関係性が垣間見えた。

◯参考情報
https://www.edion.com/eangle
https://www.edion.co.jp/sustainability/society/customers/

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