全国のイオンを言い当てる“イオンモール系VTuber”が狂気の大バズり ショート動画との相性を考える

 2025年末から現在にかけて、“イオンモールに異常に詳しい”VTuberが話題になっている。その名も静馬(しずま)レイ。静馬は、視聴者から送られてきた写真1枚だけで、どこのイオンモールなのかをピタリと言い当ててしまう。

 今回は、そんな時の人となりつつある静馬レイという謎の存在について、現在のショート動画の文脈とともに紹介・考察していきたい。

“イオンモール”はショート動画において最強のテーマ

 “イオンモール系VTuber”という前代未聞の系統を確立している静馬だが、まずはどんな動画が反響を呼んでいるのか紹介していきたい。

 静馬のYouTubeチャンネルでバズるきっかけとなったのが、「イオンモールアキネイター」という企画だ。

イオンモールアキネイター4(眼鏡屋編) #vtuber #解説 #イオンモール

 なかでも1番再生されている「眼鏡屋編」(2026年1月時点で321万回再生)を見ていこう。なんとこの動画は、静馬が眼鏡ショップだけを手掛かりにどこのイオンモールかを推理をしていくというもの。まずは問題のイオンモールに『Zoff』や『JINS』が入っているかを確認し、最後に『メガネのヨネザワ』の有無を確認して、見事『イオンモール熊本』であることを言い当てた。

 この「イオンモールアキネイター」の動画を筆頭に静馬の噂はSNSを中心に広まり、Xでは2回のトレンド入り、チャンネル登録者数も数か月で数百人から7万人を突破と、かなりの勢いで話題になっている。(2026年1月現在)

 静馬がここまで視聴者にウケているのは、ただイオンモールに詳しいだけではなく、ショート動画としてバズる要素がバランスよく詰まっているからだと考える。

 まずは“イオンモールを当てる”という企画のわかりやすさだ。ショート動画は最初の数秒で視聴者をいかに引き留められるかが重要だ。それでいうと、「このVTuberがイオンモールを当てる」という構図は、ひと目見ただけですぐ理解できる。

 次に、動画構成がクイズ形式であることだ。視聴者も一緒に考えながら楽しむことができるし、視聴者も参加することで「自分はこうだった」と感想を言いたくなり、コメント欄も盛り上がる。コメント欄が盛り上がると、YouTubeのアルゴリズム的におすすめで表示されやすくなると考えられる。

 バズってからは静馬のもとに、視聴者から「この写真で当てられますか?」とイオンモールの写真が多く寄せられている。そして静馬自身も、視聴者からのコメントで、イオンモールはその地域でどんな愛称で呼ばれているのかなど、交流によって新たな知識をアップデートしている。いまとなっては視聴者とともにコンテンツを作り上げているのだ。

 そして、“イオンモール”という題材の選び方も絶妙だ。イオンモールは、多くの人にとって馴染み深い存在でありながら、実は地域で違いがある。静馬も、その地域性の差を手がかりにどこのイオンモールなのかを言い当てているが、この“みんなが知っているのに、当てるのは難しい”というバランスこそが、イオンモールという限定的なテーマをクイズとしても動画としても成立させている理由だろう。

 さらに、イオンモールは全国展開しているからこそ、視聴者は「自分の住んでいる地域のイオンモールは登場するのか」と期待しながら動画を見てしまう。そのランダム性、“ガチャ感”が、次から次へ動画を再生してしまう要因のひとつになっているのではないだろうか。

 とはいえ、やはりこれらはすべて静馬が絶大なイオンモールの知識量があることが前提で成り立っている。そして動画では、予想を超える角度からその知識量が垣間見えるのだ。

イオンモール特定系Vtuber3 #vtuber #解説 #イオンモール

 たとえば、視聴者から送られてきた写真で『ASBee』というアパレルショップしか写っていない場合、静馬は「さすがにこれだけだと厳しい……」と言いつつ、下の方に見切れているショップのロゴを発見。「これは心眼か」と熟考した結果、『ヌーヴェルヴァーグ』という婦人服店だということが判明。『イオンモール白山』だと言い当てた。

イオンモール特定系Vtuber2 #vtuber #解説 #イオンモール

 ほかにもイオンモールの同人誌を所有していたり、イオンモールウォーキング(館内のウォーキングコース)の距離を把握していたりと、桁違いの知識量に、視聴者もいい意味で「怖い」「ホラーすぎる」「地元民より詳しい」と驚きと恐怖を感じているようだ。

 ここまでショート動画の文脈で紹介してきたが、静馬はVTuberのなかでも際立つ存在として注目されている。静馬は、生配信や雑談系を主軸とするVTberではなく、企画を立てて、編集した動画を投稿する“動画系VTuber”に分類される。

 “動画系VTuber”と聞いて思い浮かぶのは、ぽんぽことピーナッツくんや、富士葵、儒烏風亭らでんといった面々だろう。そして、“動画系VTuber”の大きなメリットは、新規ファンを獲得しやすい点にある。

 企画性の高い動画は、生配信を主軸とするクリエイターと比べて、人そのものよりも企画単体の面白さが前面に出やすい。そのため、クリエイターについて詳しく知らなくても楽しめる要素が多く、初見の視聴者でも入り込みやすい構造になっている。そういう意味でも、今回のバズで、静馬は一気に新規視聴者を巻き込むことができたのではないだろうか。

 ただ、ジャンルが尖っているだけに今後どのように幅を広げていくのかは注目していきたい。ただ、今回のバズを機に、静馬にはイオンモールのイメージがかなり強くついたはずなので、今後イオンモールとのコラボやグッズという新しい広がりを見せてくれるかもしれない。

爆食系VTuber・おむらいす食堂の“想像”を超えたお菓子づくりに反響 止まらぬ探究心が人気の秘訣?

2025年を盛り上げたクリエイターを紹介する本記事。今回は爆食系VTuberのおむらいす食堂を紹介していく。

関連記事