2026年のAIトレンドはどうなる? AIエージェントの普及に“AIインフルエンサー”の誕生も予想

進化と普及の勢いが衰えない生成AIは、2026年においてもテック業界をけん引するトレンドのひとつとなるだろう。そこで本稿では、2026年の生成AIトレンド予測として、「AIエージェント」「AIバブル」「動画生成AI」、そして「生成AIと政策」の4つについて論じていく。
認知率はすでに半数以上 普及の下地が整ったAIエージェント
2025年は、話し相手であることを超えて、ユーザーの指示にしたがって何らかのタスクを遂行してくれるAIエージェントが台頭した。これにより、同年はまさに“AIエージェント元年”とも呼べる年となった。そして2026年は、“AIエージェント普及の年”になる可能性が高い。
AIエージェントに対する意識の高まりは、フランスに本社を置く調査会社・Criteo(クリテオ)が2025年10月23日に発表した一般消費者とマーケターを対象とした調査の結果からうかがえる(※1)。
517人の回答をまとめた以上の調査によると、AIエージェントの認知率は一般消費者では52%であり、半数以上が知っていることがわかった。さらにAIを活用したことのある場合、認知率は68%と3人に2人以上の割合に上昇した。
マーケターに関しては、AIエージェントの認知率が94%と極めて高く、今後活用すると答えた割合も92%であった。また、AIエージェントの活用が拡大した場合、9割のマーケターがマーケティングに変化が生じると予想している。
AI開発企業もAIエージェント時代において覇権を取るべく、新製品を投入している。例えばOpenAIは2025年10月21日、ChatGPT搭載ブラウザー『ChatGPT Atlas』を発表した(※2)。
このブラウザーには、ユーザーに代わって作業を代行するエージェントモードが実装されている。このモードを使えば、例えばパーティーで料理を出したい時に、AtlasからChatGPTにレシピを渡し、食料品店を探してすべての材料をカートに追加し、自宅へのデリバリーを注文するように依頼する、といったことを実行できる。
『ChatGPT Atlas』は2025年1月時点ではmacOS版のみ利用でき、Windows版、iOS/Android版は近日中に公開予定だ。
OpenAIのライバルであるGoogleも2025年9月18日、アメリカ在住のユーザーを対象に、Googleが開発する対話型生成AIのGeminiを搭載したブラウザー『Chrome in Gemini」を発表した(※3)。
以上の発表では「今後数カ月以内に」エージェント機能を導入する、という記述がある。したがって、2026年前半にはChromeからAIエージェントを実行できるようになるだろう。
以上に解説したように、2026年初頭の段階でAIエージェントが普及する下地ができている。AIエージェントが普及すれば、ショッピングをはじめとした生活上のタスクにAIが介在するようになるだろう。
“AIバブル”は、2026年に崩壊する?
2025年に誕生したAI業界のバズワードとして、「AIバブル」がある。このワードは同年11月頃よりさかんに語られるようになり、現在でも断続的に言及されている(以下のGoogleトレンドのグラフも参照)。
AIバブルが語られるようになったのは、2025年にAIデータセンターへの巨額投資が相次いだからである。こうした投資トレンドの発端は、同年1月にOpenAIが発表した「Stargate Project」にまでさかのぼる(※4)。
アメリカのAIインフラ構築を目的とした以上の計画は、2025年からの4年間で約5,000億ドルを投資するというものであり、実際、同年にはアメリカ各地にAIサービスを運用するためのGPUを大量に設置したAIデータセンターの建設が始まった。
巨額かつ急ピッチなAIデータセンター建造計画に前にして、一部の投資家たちが、こうした計画は「生成AI経済圏を過大評価したバブル投資なのではないか」と思い始めたことにより、AIバブルというワードは誕生した。
AIバブルをめぐっては、たとえばイギリス大手メディア・The Guardianが2025年12月23日に公開したコラム記事で、AIデータセンターへの投資はいずれ大きく縮小すると予測されている(※5)。そうした言わばAIバブルの崩壊、同記事の表現を借りるならば「イカロス的経済が冷たい海に墜ちる時」(※注記)は2026年ではないかもしれないが、その瞬間は差し迫っている、と警告を発している。
(※注記)「イカロス」とはギリシア神話に登場する人物で、蜜蝋で固めた翼によって飛翔する能力を得たが、太陽に接近し過ぎたことで蝋が溶けて翼がなくなり、墜落して死んだ。このエピソードは、転じてテクノロジー批判として引用されるようになった。
AIバブルの行く末を考察するには、そもそもなぜAIデータセンターの大量建造が必要なのか、というAI投資熱の起源を確認するべきだろう。こうした投資が、“生成AI市場が今後も成長する”という予測にもとづいているのは言うまでもない。
以上の理由と同じくらい重要な根拠として、生成AI開発のためにさらなる計算資源が必要というものがある。AI研究機関・Epoch AIが2025年8月11日に発表した記事によると、最先端生成AIを開発するのに必要な電力は、2030年までの間、1年に約2倍のペースで増え続けると予想されているのだ(※6、以下のグラフも参照)。こうした電力を消費しているのはGPUをはじめとする計算資源であり、これらはAIデータセンターで稼働している。
まとめると、多数のAIデータセンター建造は、成長する生成AI市場と最先端AI開発のために必要不可欠なのだ。2026年に生成AI市場の成長は調整局面をむかえるかもしれないが、同市場全体が一挙に冷え込む“AIバブルの崩壊”のようなカタストロフィは、生成AIが社会インフラ化しつつある現状ではまず起こらない、と筆者は考えている。

























