独立事務所の存在を許さない芸能界に、女社長・柴咲コウはどう立ち向かう?『スキャンダルイブ』2話

『スキャンダルイブ』2話

 芸能事務所 社長の井岡咲(柴咲コウ)は、所属俳優=藤原玖生(浅香航大)が過去に起こした不倫スキャンダルの火消しに奔走していた。『週刊文潮』記者の平田奏(川口春奈)と真っ向から対峙し、記事の無力化への打開策として打ち出したのが、雑誌発売前の緊急記者会見。藤原の妻・未礼(前田敦子)も登壇させ、件の不倫については夫婦間で解決済みの問題だとアピールすることで、九死に一生を得た……かのように思えたのが、前回の1話でのこと。

 11月26日に公開されたドラマ『スキャンダルイブ』2話は、藤原の相手女性が、当時まだ19歳の未成年だったと大々的に報じられてしまうところから始まった。すでに記者会見で潔白を主張していたのが大きく裏目に。なんとも手痛いカウンターでしかない。結果、咲の事務所には広告代理店を通して、契約クライアントからの損害賠償。実に約3億円の請求が降ってきてしまう。

 前回の1話でも、“タレント関連に強い”と紹介されていた顧問弁護士=戸崎勉(鈴木浩介)。事務所が吹き飛ぶレベルの損害賠償を回避すべく、彼を交えて妙案を捻り出すも、出てきたのは藤原が「私的な行動」で事務所に損害をもたらしたという、無慈悲な押し付けの逃げ道のみ。もちろん、咲はそんな手段を選ばず。報道陣に取り囲まれ、未礼と子どもが出て行き、もぬけの殻となった自宅で憔悴する藤原のもとに通い、「なんのためにあたしたちがいると思ってんの」と、健気な励ましと生きるための食料を届けるのだった。

 実はこのとき、咲はすでに騒動鎮火への糸口を掴んでいたのである。戸崎の調べで、当時の相手女性の正体が割れていたのだ。

 田辺萌香(齊藤なぎさ)。2001年7月23日生まれの24歳。5年前はたしかに19歳である。以前は藤原のファンクラブ会員で、現在は横浜にて歯科助手として勤務。さらに彼女は藤原との接近当時、自らの年齢を20歳だと詐称していたとのこと。もしこの言質が取れれば、藤原は過失を逃れ、約3億円もの賠償責任にも問われないかもしれない。またしても、“これ以外に方法がない”作戦といえる。

 早速、咲は横浜に向かい、田辺萌香とコンタクト。カフェの店内で、藤原への当時の年齢詐称を公に証言してほしいと求める。それを聞いて、田辺萌香は明らかに嫌な反応をしてみせた。きょどきょどと、周囲に助けを求める。が、後がない咲は詰めるのみ。証言の交換条件として、掲載媒体の用意、彼女自身のプライバシー保護、ならびに藤原とのベッド写真のリークについては一切の非を追わないことと矢継ぎ早に提示する。

 が、ここで予期せぬ言葉が。なんと、件のリークは田辺萌香によるものではないと判明。むしろ、彼女自身も青天の霹靂で困惑し、“身バレ”を恐れているというのだ。田辺萌香の心中は察するところで、尻込みするのも無理はない。

 それでも咲の後ろに迫る、約3億円という奈落の底への恐怖には到底敵わず。「なにもしなくても、特定は進んでますよ。いま、この瞬間も。特定された瞬間にバッシングが始まるでしょう。個人情報も晒されるかも」という言葉は、もはや脅しでしかない。

 渦中の藤原、そして事務所とそこに身を置くタレントや社員のためというのは、よくわかる。それでも彼女がしていることは、週刊誌サイドの奏が1話で見せていた行動と重なる影が浮かぶ。正義感の方向性こそ真逆なれど、人を追い詰めるときの手段に変わりがないというのは、なんとも虚しいものだ。

 仕事に戻った田辺萌香から、再び会いたいとショートメッセージがあったのが、それからしばらく経ってのこと。指定されたバーに向かうと、彼女はそこの常連客だというのが、後からわかることだった。約束通りにメディアに証言してくれると、なんとか承諾を得られた咲。ただし交換条件に提示されたのが、謝礼金の3,000万円。3億円の1/10とはいえ、大金にはなんの変わりもない。

 急な強気に、困惑する咲。すると後ろから、ブランド物に身を包んだ、いかにも怪しい関西弁の男(駿河太郎)が口出しをしてきた。田辺萌香に入れ知恵をしたのは、ほぼ間違いなくこのブランド男だろう。はたして、その正体とは……なんて悩まずとも、咲は彼の名前を口にした。岡田雅文。このバーの経営者にして、5年前に藤原と田辺萌香の席をセッティングした張本人である。

 咲には、心強い仲間がいる。“タレント関連に強い”……そう、戸崎だ。どうやら岡田は、これまでも自身のバーを拠点に芸能人に対して女性をアテンドし、彼らの間でのスキャンダルを作為。その際の証拠を週刊誌に売り飛ばすことで、私腹を肥やしてきたという。奏が成敗すべき社会悪とは、岡田のような存在でしかなく、つまりは藤原の件も遅行性の“ハニートラップ”だったのだ。

 岡田の暗躍を、田辺萌香もいままで知らなかったという。ただ、岡田の素性が割れたところで、彼がリーク主だという肝心の証拠がない。この状況を盾に、岡田は咲の腕を掴んで、タバコで根性焼きをしようと脅しを掛けるも……彼女はこの会話を最初から録音。またしても難を逃れ、証言を決心した田辺萌香を連れて悪の根城を後にするのだった。ただ、そこには「ひとつだけ勘違いしている」と、悪どい微笑を浮かべる岡田と、咲と入れ違いの形でバーに入っていった、奏の姿が……。

 田辺萌香の証言はその後、咲が指定した週刊誌に掲載。世論の風向きを変えて、なんとか約3億円もの賠償責任を回避。おまけに、藤原の主演ドラマ『追憶の証明』も続投が決定。この間、水面化で降板の動きこそあったものの、上々の形で騒動にひと段落をつけることができたわけである。

 しかしながら、後者については咲の努力ではなく、彼女の前職であるKODAMAプロダクションの会長=児玉茂(柄本明)による、テレビ局への鶴の一声が影響したものだったとは、児玉の死後に明かされたこと。咲が葬儀場でそう聞かされる頃、どこにでも現れる女=奏がまたしても顔を出す。向かった先は、咲とは別の人物がいる葬儀場の裏側。なんでも、岡田から面白いことを教えられたというのだ。

 たしかに、藤原に対して5年前にハニートラップを仕掛けたのは、岡田。だが、彼が証拠写真を売った先は、『週刊文潮』ではなかった。その相手とは……KODAMAプロダクション。しかも、藤原のかつての担当マネージャーで、咲の同僚にあたる、明石隆之(横山裕)。写真を渡した時期も直近ではなく、5年前まで遡るという。

 「業界の秩序を乱す独立事務所を許さない、大手事務所のその卑劣な手口とは? タレントひとりの人生が簡単に潰される、芸能界の闇を暴くーーいい記事になりそうです。お話、伺えますか?」。奏のボイスレコーダーが、明石の方を向く。彼女が手に握るのは、正義の剣か。あるいは……。

横山裕が語る“芸能界の権力者”との対峙を演じた苦労「ずっとしんどかった」

タレントの横山裕がABEMAオリジナルドラマ『スキャンダルイブ』に出演。今年の活動とともに出演の裏側について振り返ってもらった。

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