『ソニックレーシング クロスワールド』劇的変化を見せるコースを走破せよ “交差”もたらした無限大の遊び幅とは

セガは9月25日、マルチプラットフォーム向けタイトル『ソニックレーシング クロスワールド』を発売した。
本作は、セガが誇る人気キャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」(ソニック)を題材にした対戦型レースゲームだ。作中には同シリーズキャラだけでなく、「初音ミク」や「スポンジボブ」など、IPや作品の垣根を超えた様々なキャラが登場。プレイヤーは彼らを操り、最速を目指して賑やかなレースバトルに挑むことになる。
本稿では、Steam版『ソニックレーシング クロスワールド』のプレイレポートをお届け。基本的なゲームシステムにはじまり、本作ならではの魅力についてお伝えしていく。
レースゲームの常識を変える「トラベルリング」
「ソニック」シリーズにおけるレースゲームの歴史をたどると、その源流はゲームギア用に誕生した『ソニック ドリフト』(1994年)にある。この時点で既に「ソニック関連キャラがマシンに乗って競い合う」といった点は完成されており、そこから作品を重ねるごとに登場キャラクターが増えていき、ゲームシステムも洗練されていった。
『ソニックレーシング クロスワールド』は、3人1組のチームを組んでレースに挑む『チームソニックレーシング』から約6年ぶりの新作となる。そんな本作の特徴は、タイトルに掲げられた“クロスワールド”という言葉をまさしく体現している点にある(詳細は後述)。

まずは基本のゲームモードについて触れておきたい。プレイヤーがマシンとキャラを選び、複数のレースを連続で戦う「グランプリ」。ひたすら自己ベスト更新にチャレンジする「タイムトライアル」。最大4人までのローカルプレイに対応し、一風変わったルールが導入された「レースパーク」の3種類が用意されている。
一部を除き、レース自体は従来どおりの三周構成。走行中にリングを集めればマシンのスピードが速くなり、コース中に置かれているアイテムボックスからは、攻撃や妨害に使えるユニークなアイテムが手に入る。「1位を目指して複数人が入り乱れる派手なレースバトル」と考えてもらえれば、おおよそのイメージが掴めるはずだ。

アーケードゲーム「頭文字D ARCADE STAGE」の開発チームが携わっていることもあり、ハンドリングに少し癖を残しながらも、リアルな重みが感じられる。このあたりは「ソニック」シリーズ由来のスピード感と相性が良く、走りのなかにちょうど良い緊張を与えてくれる。過去シリーズ作品『ソニック ライダーズ』に登場したボード型マシン「エクストリームギア」も復活しており、従来のカート型マシンとは一味違った操作感が楽しめるのも特徴だ。

しかしレースの2周目に差し掛かると、プレイヤーは”クロスワールド”を本当の意味で実感することになる。通常のコースを1周走り終えると、先頭を走るレーサーには「トラベルリング」と呼ばれる巨大なワープゾーンを通過するチャンスが与えられる。つまりこの瞬間、「1位レーサーの選択次第でコースが完全に分岐する」……というわけだ。

コース中に現れるトラベルリングをくぐり抜けると、次のラップは全くの別世界に突入する。トラベルリングで出現するコースはいずれもあらかじめ実装されているコースとはいえ、ほんの数秒前までとは別物の光景に放り込まれる感覚は、本作でしか味わえないだろう。さっきまで宇宙空間を駆け抜けていたと思えば、次の瞬間には恐竜が闊歩するジャングルへと舞台が変わっている。月並みな表現だが、映画の主人公になったような気分だ。

トラベルリングや3週目でのみ起動する特殊ギミックを含め、本作には走るたびに体験が変化するユニークな仕組みが採用されており、これまでの「ソニック」産レースゲームにはなかった驚きがもたらされている。プレイヤーは単なるドライビングスキルだけでなく、”突然の環境変化にどう対応するか”を試されることになるだろう。
カルチャーの垣根を超える豊富な参戦キャラクター
本作を象徴する“クロス”は、トラベルリングによるコースの交差だけにとどまらない。と言うのも、キャラクター面でも大胆なクロスオーバーが実現されているからだ。
『ソニックレーシング クロスワールド』に登場する面々を見ると、主人公のソニックはもちろんのこと、その良き仲間の「テイルス」や「ナックルズ」といったシリーズおなじみの人気キャラが揃っている。プレイ中の掛け合いも豊富で、ちょっとした会話やレース前の何気ないやり取りも、本作を形作る重要なスパイスとして機能している。

だがそれだけではない。本作には「ジョーカー」(ペルソナ5)や「春日一番」(龍が如く7)など、セガが手掛けてきた名物キャラもレースに参戦。さらには上述の”電子の歌姫”として名高い初音ミク、サンドボックスの金字塔『Minecraft(マインクラフト)』から「スティーブ」……等々、さまざまな文化圏で人気を誇るキャラが「ソニック」の世界に足を踏み入れる。それぞれレース中のモーションも作り込まれており、ただコースを走っているだけでも彼らの姿に愛着が湧いてくる。

過去にもセガのゲームキャラが一同に介する「ソニック」系列のレースゲームは発売されていた。しかし作品だけでなく、企業やプラットフォームの垣根を飛び越えて人気キャラを集結させる試みは、『ソニックレーシング クロスワールド』が初と見てよいだろう。参戦キャラはアップデートによって増えていくとのことなので、今後の続報に期待したい。
1万通り以上の組み合わせから自分だけの愛機を製作できる
ここからは、本作の奥深いカスタマイズ要素についても言及したい。『ソニックレーシング クロスワールド』ではデフォルトで組み上がったマシンを使えるほか、各種パーツを組み合わせて自分だけの愛機を生み出すこともできる。そのバリエーションは、なんと1万通り以上。スピード、ダッシュ、ハンドリング、パワーといったパラメータに着目し、プレイスタイルに合わせてマシンを組み上げる楽しみが保証されている。

また、マシンに加えてさまざまなバフを付与する「ガジェット」にも注目したい。ドリフト時のチャージ速度やアイテム出現率など、定められたパーツ枠にはめ込む形式で自由に調整できる。筆者の場合、ジャンプごとに素早くトリックを決められる「超高速エアトリック」と、アイテム入手時にボムが出やすくなるパーツを組み合わせ、「ダッシュを繰り返して一気に先頭に躍り出た後、背後のライバルを爆破で徹底的に牽制する」戦法をとってみた。

本作において、ビルドはマシンの挙動とプレイスタイルに大きな影響を与えている。単に速さを競うだけでなく、妨害やテクニック、環境適応をも視野に入れた“自分流の勝ち筋”を探す過程こそが、本作の醍醐味だと言えるだろう。
また、ゲームモードの幅広さも注目すべき点である。大会形式で複数レースを連続して戦うグランプリモードは、王道でありながらクロスワールドの仕掛けによって飽きが来ない。純粋に速度を突き詰めたいプレイヤーにはタイムトライアルが用意されており、レースパークと呼ばれるモードでは、「リング獲得数」や「アイテムによる直接攻撃」で勝敗を競うなど、通常の順位勝負とは異なるルールを体験できる。これらはマルチプレイヤーにも対応しており、パーティーゲーム感覚で友人と盛り上がることができるだろう。
プレイスタイルに合わせて楽しめる懐の深さが魅力
さらにオンライン対戦は世界中のプレイヤーと繋がり、異なるプラットフォーム同士でもクロスプレイが可能となっている。ハードの垣根すら越えて遊べる点も、“クロス”というテーマの延長線上にある仕組みではないだろうか。

こうして振り返ると、『ソニックレーシング クロスワールド』は「クロス」という言葉を多層的に展開した作品であることが分かる。
レース中にコースが交差し、ラップごとに異なる舞台へと転じる仕掛けは、ゲームプレイに予測不能性とリズムの妙を与える。ソニックを中心としたキャラクター群に他作品の人気者たちが交差することで、文化圏の垣根を越えた共演が生まれる。そしてやりこみ度の高いカスタマイズ要素や豊富なゲームモード、競技性の高いオンライン対戦は、プレイヤーごとの遊び方を交差させ、ライトユーザーからコアゲーマーまで幅広く受け入れる懐の深さを備えている。
1プレイあたり15分前後(グランプリ)で楽しめる手軽さながらも、戦術やビルドを突き詰めれば無限に遊び込める『ソニックレーシング クロスワールド』。爽快感を味わいたい人にも、勝利の方程式を考え抜きたい人にも応えてくれるだろう。
©SEGA / © Crypton Future Media, INC. www.piapro.net piapro / TM & © Mojang AB. / ⒸATLUS. ⒸSEGA. /
© 2025 Viacom International Inc. All Rights Reserved. Nickelodeon, SpongeBob SquarePants and all related titles, logos and characters are trademarks of Viacom International Inc. SpongeBob SquarePants created by Stephen Hillenburg.
PAC-MAN™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
©CAPCOM























