『iPhone 17 Pro』を2週間使って感じた“意外”な進化ポイント 気になるカメラ性能も作例付きで徹底レビュー

『iPhone 17 Pro』作例付きレビュー

進化ポイント2:カメラシステムはズーム性能がアップ

 ユーザーにとって一番気になる違いはカメラユニットだろう。Proモデルといえばメインと超広角、望遠の3つのカメラを搭載しているのが特徴だが、その点は『17 Pro』でも同じだ。異なるのは、『16 Pro』ではメインカメラにしか採用されていなかった「Fusionカメラ」が、『17 Pro』では超広角と望遠カメラにも採用された点だ。

 ただ、さらに画像がシャープで精細になったと言われているものの、そもそも『16 Pro』のカメラユニットが高性能だったので劇的な違いは感じられなかった。ほとんど変わりなく綺麗に撮れるというのが正直な感想だ。光学ズームオプションは、『16 Pro』が0.5倍/1倍/2倍/5倍なのに対して『17 Pro』では0.5倍/1倍/2倍/4倍/8倍と望遠側の倍率がアップしているが、『16 Pro』でもデジタルズームを使った8倍での撮影は可能だ。『17 Pro』と『16 Pro』で8倍同士を比較してみたが、iPhoneの画面上ではその違いはわからなかった。

 以下に作例を掲載するので、こちらも参考にしてみてほしい。

 前モデルの『iPhone 16 Pro』で撮影した写真だ。0.5倍/1倍/2倍/5倍のズームオプションでフルサイズ換算13mm/24mm/48mm/120mmのレンズ焦点距離に相当する画角で撮影できる(画像タップ/クリックで拡大)。

 同じアングルを『iPhone 17 Pro』で撮影した写真。こちらは0.5倍/1倍/2倍/4倍/8倍のズームオプションでフルサイズ換算13mm/24mm/48mm/100mm/200mmのレンズ焦点距離に相当する画角で撮影できる(画像タップ/クリックで拡大)。

 『17 Pro』の8倍と比較するため『16 Pro』で同じ8倍のデジタルズームで撮影してみた。『16 Pro』では若干ノイズが乗っている部分もあるが、ぱっと見た感じはほとんど差がない(画像タップ/クリックで拡大)。

 『17 Pro』の0.5倍と8倍の画角の違い。ワンタップでここまで寄れるのは流石に凄いと感じる。子どもやペットを遠くからアップしたい時も『17 Pro』の望遠レンズは威力を発揮するだろう(画像タップ/クリックで拡大)。

『17 Pro』の作例。破綻しやすい鮮やかな赤色も普通にシャッターを押すだけで綺麗に撮れる(画像タップ/クリックで拡大)
『17 Pro』の作例。夜の風景もシャッターを押すだけ。
ただし実際より明るめに撮れるので気になる人は撮影時に明るさを調整する必要がある
『17 Pro』作例。ポートレートもこのとおり綺麗な仕上がりだ。
ボケ具合も不自然さがなく美しい
『17 Pro』作例。暗所の撮影はナイトモードを使わなくてもこの仕上がり。Exif情報によるとメインカメラ24mmでf1.78、シャッター速度は1/33秒。ISO3200で撮影している

意外な進化ポイントも フロントカメラは予想以上に利便性が向上

 筆者が『17 Pro』でなにより驚いたのは、フロントカメラの利便性向上だ。12MPから18MPにアップした点以上に、センサーサイズの大型化による写真やビデオ通話でのセンターフレーム対応が非常に便利だった。すでにMacBookでセンターフレームを体験していたが、iPhoneでも同じようにフレーム内に収まるよう自動的に補正してくれるのは嬉しい。

 さらに複数の人がフレーム内に入ると、自動的に視野角を広げたり縦向きから横向きに変えてくれる点は実際に使ってみると非常に便利だと感じた。この機能はフロントカメラだけでなく、ぜひリアのカメラシステムにも取り入れて欲しいと切に思った。

フロントカメラでセルフィーを撮る際、横に人が入ってくると自動的にフレーム内に収まるようにズーム調整してくれる。シャッターボタンの上に表示しているボタンで縦位置/横位置の切り替えも可能だ。iPhoneを縦に持っていても横位置の写真やビデオが撮影できるのは非常に便利

 さらにフロントカメラとリアカメラで同時にビデオ撮影できる「デュアルキャプチャ」機能も意外と便利だった。フロントカメラでの手ぶれ超補正ビデオ撮影ができるようになったのも嬉しいポイントだ。

従来モデルからの買い替えはアリ? ナシ?

 このようにパワーアップされた『17 Pro』だが、買い替えに値するのか、あらためて冷静になって考えてみよう。

 これまで紹介したように熱放熱性能のアップやバッテリー時間の延長など注目すべき点はあるが、ここだけでは即、『16 Pro』から買い替える理由になるかは疑問だ。背面のカメラシステムよりも、フロントカメラの機能アップの方がポイントは高い。セルフィーや動画配信などでフロントカメラを多用するなら買い替えを検討してみるのもアリだろう。『15 Pro』以前のプロモデルを使用しているなら、Apple Intelligenceへの対応なども考慮して買い替えをお勧めできる。

 ただし、「Proモデルが必要か」という点では非常に悩む。今回、『17 Pro』と同時に発売されたノーマルモデルの『iPhone 17』は、ディスプレイ部分が6.3インチ、ProMotionや常時表示への対応など、Proモデルと同等になった。フロントカメラも18MPのセンターフレーム対応とProモデルと同じだし、背面カメラは望遠こそ搭載していないもののメイン・超広角ともに「48MP Fusionカメラ」を搭載している。これまでの『iPhone 16』と違い、かなり“プロ寄り”なスペックになっている。望遠カメラや最大20倍速いデータ転送ができるUSB-Cポートが必要なければ、『16 Pro』から『17』への買い替えというのもアリかもしれない。

実はiPhone 17の進化も凄い。望遠レンズを搭載していないが、これまで以上にプロモデルの性能に近付いている

まさに“プロの為のProモデル”? 映像クリエイターには恩恵の大きい進化も

 最近のAppleのオンラインイベントでは、ラストに「このイベントはiPhoneで撮影され、Macで編集されました」という一文が表示されている。このようにiPhoneを使ってプロレベルの映像撮影を行うユーザーにとっては、ProRes RAWとGenlockの対応は注目ポイントになるだろう。

 ポストプロダクションで色調や露出、ホワイトバランスを調整したり、複数の映像機器をフレーム単位で同期させたい映像クリエイターなら、今すぐに『17 Pro』へ乗り換えて映像制作環境を一気にレベルアップしてみるのも良い機会かもしれない。

iPhoneの周囲にアクセサリを取り付けるためのリグを利用していたり、照明装置やアームなど大掛かりなセットを用いているが、ちょっと前まではプロ機材を使用しないと撮れなかったハイグレードな映像が『iPhone 17 Pro』なら撮影できる
iPhoneの周囲にアクセサリを取り付けるためのリグを利用していたり、照明装置やアームなど大掛かりなセットを用いているが、ちょっと前まではプロ機材を使用しないと撮れなかったハイグレードな映像が『iPhone 17 Pro』なら撮影できる

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