Revol&Eugeoが語り合う、『LTK』の“裏側” オフラインで助けられたソニー『INZONE』の魅力と、“岩ガリオ”のワケ

Revol&Eugeo語る『LTK』の裏側

 9月15日、『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の日本国内リーグ『LJL(League of Legends Japan League)』の年間王者を決める決勝戦『LJL 2025 GRAND FINAL』が高田馬場・ASH WINDER Esports ARENAで開催された。

 そしてその前日となる9月14日、リハーサルの現場に筆者はいた。目的は、ある二人組に会うため。『LJL』開幕からキャスターを務め、日本の『LoL』シーンを盛り上げてきた解説者・Revol、そしてこちらも2019年からプロとして活動を続けてきたEugeoだ。

 目下開催中の、ZETA DIVISIONのk4senが主催するリーグ制のストリーマー大会『League The K4sen(LTK)』では、シーズン1の「均衡の守人」として見守ってきたRevol(レボル)。そして、Domination Crownのコーチに就任し、シーズン1ではNEXTチームを、シーズン2ではCOREチームを率いるEugeo(ユージオ)。今回は、この二人にインタビューを行った。

 『LTK』シーズン1の振り返りから、シーズン2の展望、さらには『LTK』と『LJL』の両大会で協賛スポンサーになったソニー「INZONE」の製品や『LoL』と音の関係性にまつわる話、『LJL』など競技シーンを観戦するうえでの楽しみ方など、二人の考えをじっくりと聞くことができた。(編集部)

選手も、視聴者も、コーチも シーズンが進むにつれて高まる『LTK』への熱量

Eugeo、Revol

ーー今回のインタビューの組み合わせを伺ったときに、まっさきに浮かんだのは『LTK』のことでした。すでにシーズン2が開始しておりますが、せっかくなので『LTK』シーズン1のお話も軽く伺っていきたいと思います。まずはRevolさんから、『LTK』全体を見てのご感想を教えてください。

Revol:まず真っ先に規模感の大きさに驚かされて、すごいイベントだなというのが率直な感想ですね(笑)。最初は、『LTK』がどこまで熱量の高いイベントなのか、どこまで参加者の方々が“ガチ”なのかが掴めていなかったんですよ。でも、シーズンを通してスクリムなどを見ていくと、だんだん「あれ、これみんなマジなんだな」というのが伝わってきて。時間の都合もあって全ての試合はチェックできていないんですが、視聴者数やみんなの反応もどんどんすごいことになっているし、すごかったですね……。

 そしてオフラインはどうなんだろうと思いつつ行ってみたら、ものすごい数のファンが来てくださっていて。応援の熱量も高くて、試合のインターバルなどでちょっと外にでるタイミングがあった時とかも、みんながゲーム内容について喋りながら歩いているのを見て、これにも驚かされましたね。

ーーやはり『LTK』になってから「レーンの主導権」であったり、「オブジェクト」であったり、より競技的な目線で『LoL』を観る層が増えた印象がありますね。Eugeoさんはいかがでしょうか。シーズン2ではDC COREのコーチとして戦っていくことになりましたが、まずはシーズン1の振り返りからお願いできればと思います。

Eugeo:シーズン1はそれこそ僕もRevolさんと同じで、参加するメンバーや他のコーチ陣、運営さん含めてどれぐらいの熱量でやるのか、っていうのが最初は掴めなくて。3カ月……もっと言えば、最初の時点から2シーズン目があることも知っていたので、計6カ月もやるのがわかっている状態でしたから。こんな超長い期間、ずっとガチで『LoL』をやるのは普通に考えたら難しいじゃないですか(笑)。みんな配信者で、他にゲームをやったりとか、そもそも別のイベントへの出演予定があったりとかするので。

 もちろん、大会なのでみんな本気で取り組むとは思うんです。けど、現実的にはそこまで練習時間を割かない、あるいは割けないだろうなと思ってもいて。実際、最初のうちはみんな様子見していたところもあったと思います。元々『LoL』が好きな人たちはランク配信をやったりしていましたけど、『LoL』がメインタイトルじゃない人たちは他のゲームもやっていて。でも、シーズンが進むにつれてだんだんみんな熱量が高まっていきましたよね。

 特に僕ら『Domination Crown(DC)』とかはDay4前後くらいかは“2-2-1カスタム”という、もはやルール違反スレスレだろ、みたいな練習方法を取り入れていて(※1)。

【※1:『LTK』ではチームメンバー全員が揃った状態で練習できる日にち・回数に制限が設けられていた。しかし2名のデュオランクなどに制限は設けられていなかったため、CORE2名・NEXT2名に助っ人やコーチを加えた1名での練習は可能だった】

ーーNEET DIVISION(k4senの視聴者)の皆さんとの無限スクリム状態になったアレですね。あれは、『LTK』の練習時間と熱量を加速させた、本当の意味での“ゲームチェンジャー”でしたね……。

Eugeo:最初は、大会のスクリム終わりに1回COREとNEXT全員で集まろうという話になって、一回試しにスクリムをしてみたのがきっかけでしたね……。そこから、メンバーを入れ替えてバラバラにしたらどうなるんだろう、ということでCORE3人・NEXT2人みたいな形でやったら、それが思いのほか良い試合になって、面白かったんですよ。しかも、ルール的にもCORE2人、NEXT2人、コーチ1人だったら問題ないし、めちゃくちゃいい練習になるんじゃないかってことで始めて見たら、結果的に毎日やるようになってて(笑)。

ーージャングル&ミッドとデュオボットといった分け方であれば、2名でも練習になりますもんね。それを毎日?

Eugeo:そう、もう毎日無限にやってました(笑)。まあ、こうなったのにもいくつか理由はあって。ひとつはチームの成績があまり振るっていなかったことで、焦りもあったと思うんです。僕はプロ活動からはいったん退いた形ですし、時間もあったので『LTK』に全力投球していて、2-2-1カスタムの声かけ役もやらせてもらっていたんですが、「とはいえ、そんなにみんなやらないだろう」と思っていたら、みんなものすごい参加率で(笑)。

 「今日カスタムやる人」と声かけたら、もうその瞬間に「やります」「参加します」とリアクションが来て、それで結局毎日やる感じでした。

ーーものすごい熱量ですね。視聴者も本気で取り組む皆さんをみて、のめり込んでいったように思います。

Eugeo:そうですね。本当にその熱量の高さが、シーズン1の一番記憶に残っていることです。オフラインがあることもそうですし、3カ月という期間の長さも相まって、視聴者の皆さんもやっぱり思い入れがすごくあったんでしょうね。ライアットゲームズの大会やイベントには、僕もたびたび応援や観戦に行くんですが、雰囲気がいつもとは少し違った気がします。

ーーというと?

Eugeo:普段の大会では、良いプレイがあったらもちろん「うわー!」「すごい、良いプレイしたなあ」というリアクションが出るんですが、『LTK』にはより強い思い入れがあるからか、「よっしゃあ!」「これは勝てるぞ!」みたいな、自分ごととして楽しむ空気があったように感じていて。そういった歓声を聞いて、あらためて「こんな長期のリーグで、ここまでの熱量を持ってもらえたことって凄いことだったんだな」と思わされましたね。

ーーこれまでの『LoL』の日本シーンって、もちろん『MSI(Mid-Season Invitational)』や『Worlds』に日本チームが出場したときに大きく盛り上がったりはしたと思うのですが、今回の『LTK』はそれと比較しても見劣りしないくらいの熱量が注がれていましたよね。Revolさんからの見え方もお伺いしたいです。

Revol:やっぱり、ストリーマーが参加者である、というところは大きかったですよね。というのも、たとえば『LJL』とかのプロ選手って、練習配信はしないじゃないですか。スクリムだって、公開したらむしろ問題になってしまうくらいですから(笑)。

 ただ、その点でいうとストリーマーの皆さんは配信をするのがお仕事なので、視聴者もそれを見ることができますよね。努力の過程が見えるという点が、よりチームとファンの間を繋いでいてくれていて、視聴者を惹きつけていたのかな、と。それが長期間続くことでどんどんチームのことを好きになっていくし、しかもみんな本気で取り組んでいて……。試合が終わったあとのインタビューなども、「悔しい、勝ちたかった」「ガチで勝てて嬉しい」といった発言が多くて、普段のイベントや大会と皆さんの答え方が少し違いましたよね。

 ストリーマーとしてのエンタメ要素と、競技シーンの熱量といった部分がうまくミックスした形になっていて、それはやっぱりスクリムを公開したことによって生まれていたのかなと思います。そこが、普段の『LoL』のイベントとは少し違う部分だったかなと。

Eugeo:競技シーンにいた身としては、この『LTK』をきっかけに競技シーンが盛り上がってくれたらいいな、という思いも少しあって。僕がプロとして活動を始めた時期って、ちょうどコロナ禍があった時期で、僕自身はオフラインでの試合を数回しか経験していないんですよ。

 ここ数年は、それこそAPAC地域が『LCP(League of Legends Championship Pacific)』に統合されて、『LJL』は二部リーグという扱いになってしまったじゃないですか。そういった影響もあって、日本の競技シーンの人気が少しずつ落ちてきてしまっている感じがしていて。みんなの熱量も少し落ちてきてしまっているのかな、と思っていたんですが、『LTK』で少しまたその風向きが変わったような気はしています。『VALORANT』だったり、『Apex Legends』だったり、みんながルールをある程度知っていて、見てて楽しいというゲームの枠に、『LoL』も入ってきてくれているんじゃないかって。

“急にレク=サイが来たので”——オフライン大会のむずかしさと、楽しさと

ーーそれこそ、Eugeoさんはオフライン大会がプロになったきっかけの一つだそうですね。やはりオフラインには思い入れがある?

Eugeo:ありますね。僕はもともと、プロを目指して『LoL』をプレイしていたわけじゃなくて、好きでプレイしていたら最高ランクに到達できた、みたいな感じで。ちょうどその時、当時僕が高校2年生の時に「スカウティング・グラウンズ」というプロチームによる新規発掘イベントが開催されていて、「なんか面白そう!」と思って参加したんです。

 これ、実は「え、これ勝ち上がったらタダで東京行けるじゃん」みたいなのが動機で(笑)。三重県出身なので、東京に憧れがあったんですよ。「いや、渋谷じゃん」「原宿に渋谷、新宿。行っちゃう?」みたいな感じで考えていて(笑)。

 けど、実際にオフライン大会でプレイするところまで勝ち上がれて、いざ観客もいるなかでプレイしたら、そっちに衝撃を受けちゃって。歓声もすごいし、こんなに人がいて、みんな『LoL』を知っているんだ、って。今回の『LTK』では『LoL』のことを全然知らないという方もいて、「友だちの付き添いで来たんですけど、すごい熱量でめちゃくちゃ楽しかったです!」って声をかけてもらったりもして。やっぱり、オフラインで見てハマることってあると思うので、ぜひ足を運んでみてもらいたいですね。

Revol:オフラインとオンラインでいうと、やっぱりオフラインは不便ですよね。でも、逆にそれが良い方向に働くときもあって。チケットを取ったら行かなきゃ勿体ないし、行って「あんまり面白くないから帰っちゃおう」となる人はなかなかいない。

 『LoL』って、1つの試合のなかで悪いプレイもあればすごく良いプレイも生まれるのが面白いところじゃないですか。そういった試合展開を見ているうちに、ゲームの面白さがどんどん分かってくるみたいな。そういう魅力の発見は、オフラインならではですよね。

ーー特に今回の『LTK』は、キャスターのJeager(イェーガー)さんとRecruit(リクルート)さんによる実況・解説もすごく良い仕事をされていましたね。『LoL』にあまり詳しくない人でも試合展開を楽しめるように丁寧にやられていた印象があります。逆に、ステージに上がる側としての難しさについてはいかがでしょう? 歓声で声がかき消されてコミュニケーションが上手くいかない、あるいは緊張で普段のプレイがしづらい、といったエピソードはよく聞きますが……。

Revol:僕の場合は、やっぱり実況の声が聞こえないとかはありましたね。最近はさすがにそういったことも減ってきましたが、始まった当初の『LJL』だと、スタッフも含めてみんなオフライン慣れをしていなかったですから。まったく声が聞こえないから「なんかこんなことを言っていそうだな」と予想で返事をしたこともありますよ(笑)。あとは、観客の声援がマイクを通して入ってしまったりすることもありましたね……。

Eugeo:僕はさきほどお話した「スカウティング・グラウンズ」が初めてのオフラインだったんですが、その当時は遮音性のめちゃくちゃ優れたヘッドホンがあんまり無かったのかな。ホワイトノイズの音が強めだったのもあって、相手にいたレク=サイの「ヴォイドラッシュ(Rスキル)」の音がかき消されちゃって、聴こえなかったんですよ。「敵が来たらフラッシュで避けよう」と思っていたら、気付いたら目の前に敵が居て。そこで「あー、オフラインってこういう難しさがあるんだ」と気付かされました(笑)。

Revol:そんなことがあったんだ(笑)。スキルの音は本当にそうですね。僕も解説をする上で、集団戦中のフラッシュの音は結構気にしているんですが、オフラインのときは聴こえづらかったりしますから。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる