日本からは3チームが参戦 Pacific地域の『LoL』国際大会「PCSプレイオフ」現地レポート

『LoL』国際大会「PCSプレイオフ」現地レポ

 世界的に人気なMOBAジャンルのゲーム『League of Legends(以下LoL)』。eスポーツ種目としても人気な同タイトルだが、国内プロリーグ「LJL」の大会形式が、今年から大幅に変更された。これまでは国内の優勝チームが世界大会に出場していたが、2024年からは国内上位3チームがまずは「PCS 2024 Spring Split プレイオフ」(以下、PCSプレイオフ)に進出。そこで「PCS」地域および「LCO」地域の上位チームとともに、世界大会出場をかけて戦う形式となった。

 LJLからはV3 Esports(以下、V3)、DetonatioN FocusMe(以下、DFM)、Fukuoka SoftBank HAWKS gaming(以下、SHG)の3チームが参戦。久々の国際大会となったV3は経験不足もあって残念ながら早期敗退、世界大会常連のDFMも粘り強さを見せたものの、Stage1の最後で惜しくも敗退となった。

 Stage2のシード権を得ていたSHGは見事決勝戦進出を果たしたものの、最後に立ちはだかったPCS地域の強豪チーム・PSG Talonを相手に敗北し、最終的に準優勝という結果となった。

 今回、筆者は彼らの奮闘を直接見るべく「PCSプレイオフ」の現地取材のため台湾・台北へと渡った。ところが、開幕の数日前に「試合会場での取材はNG」との連絡が入ってしまった。

 そのため、今回は直接チームに取材を申し込むことに。快く引き受けてもらえることとなり、チームの滞在先でありPCSのスポンサーにもなっている「GRAND HILAI TAIPEI」へ数回に分けてお邪魔してきた。筆者が見た各チームの雰囲気や、豪華な練習環境を中心にレポートをお届けしたい。

久しぶりの国際大会参戦! 多くの学びを得たV3 Esports

(左から)Ace選手、Bini選手、hetel選手、TaNa選手、HRK選手

 LJL シーズン終盤、見事3位に滑り込み「PCSプレイオフ」の出場権を獲得したV3。現地に渡航したのはスターター5名とサブ1名、コーチ1名、マネージャー1名の総勢8名。非常にコンパクトな人員構成であったが、その分全員の距離感が近く、気心の知れた仲間という心地よい空気感が取材の短時間だけでもひしひしと伝わってきた。

 チームとしては世界大会「Worlds」の出場経験を持つベテラン・Ace選手が精神的支柱となり、インゲームでは韓国人TopレーナーのTaNa選手が中心となってチームを引っ張っていく。それをコーチが優しく見守るといったアットホームな雰囲気が印象的だった。

練習室の様子、一番奥がHW4NGコーチの席となっている

 「PCSプレイオフ」では残念ながら勝利を収めることができぬまま敗退となったものの、選手たちにとっては学びも多かったようだ。そもそも近年のV3の低迷を思えば、「PCSプレイオフ」に出場できたこと自体が素晴らしい躍進である。

 やはり今年から韓国人選手2名が加入したことが戦力強化に多大なる影響を与えたのは明らかではあるが、日本人選手たちが彼らについていこうと努力を惜しまなかったことがチーム全体の実力の底上げにつながったと見て良いだろう。

 今回は海外遠征に加えてオフライン大会ということもあって試合当日は選手たちの緊張もかなりあったようだが、Ace選手にお話を聞いたところ「改善すべき課題は見えている」とのことだったので、今後のV3のさらなる成長に期待したい。

GRAND HILAI TAIPEIの4階にあるプールにて。近くにはジムも併設されている

国際大会常連DFM、落ち着いた雰囲気は名門チームならでは

(上左から)viviDコーチ、Yutapon選手、Steal選手、Aria選手
(下左から)Milan選手、Harp選手、Gismoコーチ、RayFarky選手

 LJLで幾度となく優勝を果たしてきた強豪・DFM。今シーズンも好調な滑り出しで優勝候補と謳われていたが、終盤で失速しLJL2位という結果で終えた。「PCSプレイオフ」では底力を見せて勝ち進んでいったものの、Stage2への最後の切符をあと一歩のところで逃し敗退。名門チームとしては、少々物足りない結果となってしまった。

 渡航メンバーはスターター5名とサブ1名、コーチ2名、マネージャーが1名にくわえてチームのオーナーである梅崎伸幸さんの姿も。DFMといえば昔から、良くも悪くもマイペースでクールな雰囲気が特徴的なチームである。メンバーが変わってもなぜか空気感はあまり変わらないのが面白いところで、今年から新たに加入したRayFarky選手も似たような雰囲気をまとっている。

 とはいえ今年のメンバーは、DFMにしては多少の“わちゃわちゃ感”がなきにしもあらずではあった。Harp選手とMilan選手の末っ子感とGismoコーチの独特なノリが、そう感じさせたのかもしれない。一方、試合ではほとんどのメンバーが特に緊張などもなかった様子を見せてくれるなど、落ち着いた雰囲気にはさすがの貫禄を感じざるを得なかった。

GRAND HILAI TAIPEIのエントランスにて

 では、なぜDFMは勝ち切れなかったのだろうか。長年DFMに在籍し、チームの顔ともいえるYutapon選手にお話を聞いたところ「今シーズンはチームとして成長できなかった感じがあった」とのこと。「PCSプレイオフ」で色々な強豪チームと戦ったことや、同じLJLチームのSHGが大健闘したことに刺激を受けて、今後また一致団結して強いDFMを見せてもらいたいと切に願っている。

ホテルから徒歩2〜3分のところには「台北南港展覧館」という大きな展示場がある

 

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