eスポーツキャスター・Revolが語る「“静と動”のコントロール」 試合の熱量を伝える秘訣とは?
忙しい現代において、上手な休憩の仕方は、多くの人にとって共通の悩み。人によっては休憩や気分転換の手段としてエナジードリンクなどの嗜好品を口にする人もいるだろう。しかし、カロリーや糖質の摂り過ぎなど、休憩・自身の健全化のための習慣が健康的でないという潜在的な悩みを抱えている人もいるはず。
こうしたなかで、参考になるのは一流のプロやアスリートと呼ばれる人びとだ。彼ら/彼女らは気分のリセットやモードコントロールの術を身に着けており、ハードワークと向き合う一流でありながら、“休憩の達人”でもある。
とはいえ、気分を切り替えようとしているときほど「余裕が無い」「根を詰めてしまう」という方も多いだろう。そこでオススメしたいのが、BREATHER株式会社が開発した「休憩習慣」の構築を手助けしてくれるデバイス『ston s(ストン エス)』だ。同製品は深呼吸を通じて様々なフレーバーを楽しみ、気分の切り替えをサポートするためのデバイスで、まさに休憩用のアイテムとしてピッタリ。
今回、リアルサウンドテックでは、『ston s』を展開するBREATHER社と協力し、「eスポーツ×休憩」をテーマとして、ときに過酷なスケジュールで試合を実況・解説することもあるeスポーツキャスター・Revol氏にインタビューを実施。試合を盛り上げる秘訣や、欠かせないルーティーン、上手な休憩の取り方やモードコントロール術について、話を聞いた。
プロ選手だけじゃない、eスポーツキャスターにも求められるハードワーク
――Revolさんとeスポーツとの出会いについて教えてください。
Revol:むかし、『Counter-Strike 1.6』というFPSゲームで、「4dimensioN」というチームが当時の日本シーンを圧倒しているのを見て、「こういう大会があるんだ」と知ったのが、eスポーツに触れた原体験でした。
本格的にのめり込んだのは、2011年に『リーグ・オブ・レジェンド(『LoL』)』の世界大会があるのを知ったタイミングだったと思います。とくに面白いと感じたのは、『LoL』に登場するチャンピオン(キャラクター)が何種類もいて、チャンピオンの強さに対する解釈が地域ごとに違うというところでした。
いまだに覚えているんですけど、「ブランド」と「ジャーヴァンⅣ」というチャンピオンの評価が欧州と北米ではまったく違って。それぞれの地域で、使われ方や採用率がまったく異なっていたんです。
トップオブザトップのプロ選手たちが戦っているのに、どうしてこんなにチャンピオンの評価が違うんだろうと、不思議に思ったんです。その理由をインタビューから探ったり、自分なりに分析してみたりしていくうちにのめり込んでいきました。
――eスポーツの解説に携わるようになったきっかけには、そうした疑問を抱いたことが大きく関わっている?
Revol:そうですね。深く調べるようになったきっかけはそれだと思います。初回の世界大会以降も、それまでの『LoL』の定石と異なる「レーンスワップ戦術」という特殊な戦術が流行したりして、それにはどんな狙いがあるんだろうというのを深く考えるようになって。自分なりの考えを当時やっていたブログに書き連ねていくようになったり、見た試合に対して「両チームにはこういう狙いがあったんじゃないか」というのを書いたりしていました。
それがきっかけで「チーム活動のサポートしてくれないか」とお誘いをいただいて、現在のeスポーツシーンでいうコーチやアナリストの役割を始めました。その活動と並行しながら、ブログに自分の考えや試合の考察も継続して執筆していたら、1年くらい経ったときにeyesさん(※)に声をかけていただいたんです。
最初は、自分がカメラの前や表舞台に立つことに抵抗があったのでお断りしていたんです(笑)。けど、それでもeyesさんが「お願いできますか」と言ってくださったので、やってみようかなと。やってみて合わなかったらお断りすれば良いと思っていたんですが、一度やってみて楽しかったのでその後も続けて……というのがキャスターを始めた流れです。
【※eyes……eスポーツ実況・解説者。日本のプロリーグ『LJL(League of Legends Japan League)』ではRevolとコンビを組んで実況・解説に携わる】
――解説者としては、試合を観て選手のパーソナリティやゲームの知識をアップデートしていくことも大切な仕事の一つかと思います。各国のリーグを含めるとものすごい試合数、時間になると思うのですが、それらを拾っていくのはかなり大変ではないですか?
Revol:今は一緒に仕事をする仲間が増えて、その方たちと分担もできているので一番ハードだったときと比べると労力は3分の1以下くらいまで抑えることができているのですが、2014年から2016年くらいまでの2、3年は結構ハードでしたね。
1日に最低でも3試合以上はかならず観て、その上で試合が終わった後の英語インタビューも逐一チェックしたりしていましたから。それに、当時は自分の『LoL』に対する知識も今以上に浅かったので、海外キャスターの方の解説も聞いて勉強していました。なので、どうしても今以上に1試合を見ることにかける労力やパワーが多かったですし、かなり大変だったなと思います。今でこそ、『LoL』以外のコンテンツに触れる余裕も出てきましたが、当時は他になにもできなくって。まさに『LoL』漬けの生活を送っていましたね。
――集中力が切れたり、リフレッシュが必要なタイミングも多かったのでは?
Revol:それはもう。毎日がその連続でしたね(笑)。集中力が続く限りずっと情報収集や勉強をして、だめになったら2、3時間離れて、もう一度取り掛かるんだけれど、あまり復活していないので結局2、3試合観て終わっちゃうみたいな、そんな感じの生活だったと思います。
いまは上手く自分のモードをコントロールできるようになりましたけど、当時はリラックス方法や切り替え方法が分からなくって本当に自分の集中力の限界までやってましたね。でも、そんな風に無理をしているとシーズンが進むにつれてその時間が短くなっていって「どうしよう、どうしよう」って焦りも出てきてしまって。シーズン後半になると、いらいらしながら試合を見たりしていて、よくない感じになってしまうこともありました。
――そうなってしまうとまた効率が落ちて、負のスパイラルに陥ってしまいますよね。現在は以前よりも切り替えができるようになったとのことですが、どんな方法でメンタルリセットやモードコントロールをされているんですか?
Revol:シーズンを通してのお話でいうと、最初の頃は翌日に仕事がない日は気絶するまでお酒を飲んでいたんですよ。でも、それを2、3年やったら慢性胃腸炎になってしまったのでやめました。
とはいえ、いまでもお酒を飲むのは切り替えの方法のひとつです。くわえて、笑うとストレス発散になるので、お笑いのコンテンツをよく見たりします。好きな番組を見ながらほどほどにお酒を飲んで、ゆっくり切り替えて寝るっていう。ちゃんと切り替えるのを意識するようにしたら、結構楽になりました。
ただ、『Worlds』(『LoL』最大規模の国際大会)期間など、スケジュールが詰まっている大変な時期はそれもできないですし、お酒の力を借りてリセットするのも翌日のことを考えるとできないので、高いものを買ったりもしますね。財布の中から札束がどんどん出ていくのは、ある種怖いんですけど快感でもあるので、それでパッと切り替える、みたいな(笑)。大きな国際大会があるときは財布の中身がすっからかんになるみたいなことが2、3年続きましたね。
――それはそれで、ある種不健康に思えてしまいますね(笑)。
Revol:不健康ですね(笑)。身を削るよりかはお金を削る方がまだ健康面にはいいだろうということで。もちろん、限度は超えないようにはしたんですけどね。
とはいえ、その国際大会も3組で回すようになってからスケジュールがすごく楽になったので、ここ2年くらいはそういうことに頼らなくなりました。もちろんストレスはありますけど、ピークを越えないような形で大会の仕事に携われていますね。
――逆に、短期的なところはいかがでしょう。瞬間的なストレスやテンションの高まりがあったとき、すぐ収めないといけないことも多いじゃないですか。試合中に「一回落ち着かなきゃ!」というシーンがあったりもするんですか?
Revol:じつは、そこはあまり意識したことがないんです。不思議なもので、僕とeyesさんで実況・解説をしているときって、片方のテンションが上がると、片方は落ち着くんです。これはeyesさんも僕も一緒で、eyesさんが盛り上がってると僕はちょっと冷静になるし、僕が盛り上がっているとeyesさんが慌てて冷静になったり、お互いになんとなくコントロールしている部分があって。
ただそれでも、2人とも盛り上がる瞬間が年に何回かはあるんです。それは反省の対象ではあるんですが、そうなったらそうなったで「そういう試合だったんだ」ということが視聴者に伝わればいいかなとも考えています。僕とeyesさんがその試合に対してどういう感情を持ったのかというのも、試合を伝えるひとつの方法だと思っているんです。
なので、キャスターとして表に出ているときは無理に自分の感情をコントロールしようという気持ちはないですね。もちろん、できるだけ汚い言葉は避けるとか、選手をマイナスに言うのは避けるみたいな部分は気をつけていますが、自分たちがそのプレーをどう感じたかというのはストレートに表現した方が伝わるとは思っているので。
――おふたりが盛り上がってる瞬間もキャスター陣としての伝え方であり、テクニックでもあると。
Revol:そうですね。海外のキャスターのテンションと日本のテンションを聞き比べてみると、日本の方はそんなに感情が乗ってないんですよね。それはそれでいいことだとは思うんですけど、感情が乗るきっかけも大事にしたいなと思っています。