『iPhone 17』『iPhone Air』は“買い”なのか? 予約が始まったApple新製品の情報を整理して考える

「iPhone 17」シリーズと“まったく新しい”『iPhone Air』

最後に発表したiPhoneについては、4つの新しいモデルが紹介された。まず最初がノーマルモデルの『iPhone 17』だ。
ベゼルを細くしてディスプレイを6.3インチに広げた上に、Proモデルと同じProMotionを採用、最大リフレッシュレートが120Hzに向上した。使っていない時は常時表示ディスプレイが効率よくリフレッシュレートを1Hzまで下げてくれる。最新のCeramic Shield 2を採用して対擦傷性能は3倍にアップしたとのこと。
搭載しているAppleシリコンは「A19」にパワーアップ。これは前モデルの『iPhone 16』に搭載している「A18」より20%も高速だ。120Hzの最大リフレッシュレートと相まって、よりスムーズなスクロールや臨場感あふれるゲーム体験ができるだろう。
バッテリーの駆動時間も増えており、ビデオ再生が最大22時間から最大30時間にアップ。高速充電に関しても40W以上のアダプタを使うことで20分で最大50%まで充電できるようになった。
カメラに関してもパワーアップしている。2眼のデュアルカメラシステムは以前と変わりないが、『iPhone 16』では12MPだった超広角カメラが、48MPのFusion超広角カメラにアップグレードした。マクロから超広角まで、幅広いシーンでよりディテールを捉えることができるだろう。
フロントカメラも画期的な新しい「センターフレームフロントカメラ」になった。これまでの4:3から正方形のカメラセンサーに変更することで、高解像度の写真とビデオが縦でも横でも撮れるようになった。つまりiPhoneを回転させなくても横向きのセルフィーが撮れるのだ。
さらに、フレーム内に人が増えればセンターフレームが自動的に視野角を広げてフレームの向きまで調整してくれる。これまでのようにiPhoneを持ち替えなくても縦横どちらの写真やビデオが撮影できるのはうれしいポイントだ。
動きながら撮るセルフィービデオでも手ぶれ補正が常に適用されたり、FaceTimeのビデオ通話においても常に顔をフレーム内に保ってくれるなど、センターフレームフロントカメラの利点が各所で活かされている。
『iPhone 17』は9月12日の午後9時から注文受付を開始し、9月19日から販売開始となる。ラベンダー、ミストブルー、ブラック、ホワイト、セージの5つのカラー展開で、価格は129,800円(税込)から。最小ストレージも256GBにアップしている。

次に発表されたのが、超薄型ボディの『iPhone Air』だ。その薄さはわずか5.6mm。もちろんこれまでのiPhone史上で“最も薄いiPhone”だ。チタニウム製のフレームを採用し、横幅いっぱいに広げたカメラユニット部分にカメラやフロントスピーカ、Appleシリコンなどの主要部品を格納している。ディスプレイはiPhone 17と同じ6.5インチの「Super Retina XDR」で「Ceramic Shield 2」も採用している。
Appleシリコンは最新の「A19 Pro」を採用。その他に最新のWi-Fi 7やBluetooth 6、Threadに対応したApple独自の「N1」チップを搭載している。モデムは「C1X」チップで、『iPhone 16e』で採用した「C1」より最大で2倍高速だが全体的な消費エネルギーは30%減少している。
シングルカメラに見えるメインカメラには、新しいパワフルな48MP Fusionカメラシステムを採用した。『iPhone 17』のメインカメラと同じ仕様だが、マクロ写真撮影や空間写真には対応していない。その点は少し残念な点だ。フロントカメラも『iPhone 17』と同じセンターフレームカメラを搭載している。
バッテリーに関しては、これだけの薄型ボディでも最大27時間のビデオ再生を実現しており、30分で最大50%充電の高速充電にも対応している。
なおMagSafeワイヤレス充電は最大20Wで25Wには対応していないこと、またUSB-Cポートの規格がUSB 2で映像出力には対応していない点には注意したい。
新しい『iPhone Air』にはオプションで専用の薄型MagSafeバッテリが用意されており、一緒に使うと最大40時間のビデオ再生が可能になる。その他にもバックパネルの薄さが1ミリ未満の半透明ケースや強化ポリカーボネート製の軽量バンパー、長さを簡単に調節できるクロスボディストラップなど、専用の純正アクセサリーも用意されている。
『iPhone Air』は9月12日の午後9時から注文受付を開始し、9月19日から販売開始だ。カラーはスペースブラック、クラウドホワイト、ライトゴールド、スカイブルーの4色。価格は159,800円(税込)からだ。

そして最後に発表されたのがプロモデルの『iPhone 17 Pro』だ。従来のProモデルと同じようにディスプレイサイズが6.9インチの『iPhone 17 Pro Max』も用意されている。
一見するとカメラユニットの凸部がボディの横幅いっぱいまで広がっただけのように見えるが、初の「ユニボディ」を採用した新しい構造のiPhoneになっている。脱イオン水を内部に密閉したベイパーチャンバーをアルミニウムシャーシにレーザー溶接して、各部品から熱を効率的に移動した後、鍛造アルミニウムユニボディから効率的に放出。これにより高いパフォーマンスを維持できるようにしているのが特徴だ。
搭載しているAppleシリコンは最新の「A19 Pro」。これにより『iPhone 16 Pro』より最大40%高いパフォーマンスを維持できるようにした。
アルミニウムユニボディの背面ガラスには「Ceramic Shield」を採用。ディスプレイは「Ceramic Shield 2」で保護して強靭なボディを実現している。
背面のカメラ部分は従来のProモデル同様、3眼のカメラシステムを採用しているが、今回すべてのカメラが48MP Fusionカメラになった。新しい48MP Fusion望遠カメラが最大8倍の光学ズームを実現したことで、『iPhone 17 Pro』の光学ズームオプションは0.5倍、1倍、2倍、4倍、8倍となった。
もちろんフロントカメラも18MPセンターフレームフロントカメラを搭載しており、『iPhone 17』や『iPhone Air』と同様に、写真やビデオ通話時のセンターフレームや手ぶれ超補正ビデオが使える。
ビデオに関しては、従来のDolby Vision HDR、4K120、ProRes Log、ACESに加え、新たにProRes RAWとGenlockの対応が加わった。ProRes RAWでの撮影には、『Final Cut Camera』と『Blackmagic Camera』が対応している。Genlockに対応したことで、複数のカメラを使った際の正確な同期ができるようになる。プロ仕様の映像撮影や映像編集の現場には嬉しい知らせだろう。
『iPhone 17 Pro』についても9月12日の午後9時から注文受付を開始し、9月19日から販売を開始する。カラーはディープブルーとシルバーに加え、大胆で人目をひくコズミックオレンジの3色。価格は179,800円(税込)からだ。
総評:どれを買うべきか?
蓋を開けてみれば事前の噂通り、「iPhone 17」シリーズと『iPhone Air』『Apple Watch Series11』に『SE 3』『Ultra 3』そして『AirPods Pro 3』とほぼ正解の内容だった。
まず、『AirPods Pro 3』だが、『AirPods』の購入を検討しているなら迷わず買いだ。音質とノイズキャンセルが向上し、現時点で“最強のAirPods”と言えるだろう。ワークアウトで心拍センサーの機能が必要な人にとっては、他モデルからの買い替えもお勧めできる。前モデルから3年経っていることを考えれば、『AirPods Pro 2』のユーザーも買い替えを検討して良いだろう。
「Apple Watch」に関しては、確かにバッテリ駆動時間が延びたポイントは認めるものの、特に新しいセンサーが搭載されたわけでなく、日本でも利用可能になるであろう高血圧通知機能は、『Apple Watch Series 9』以降や『Apple Watch Ultra 2』以降でも利用できる。新しい睡眠スコアについても『Apple Watch Series 6』以降や『Apple Watch SE(第2世代)』以降、すべての『Apple Watch Ultra』でも利用できる。これを踏まえれば、『Series 10』のユーザーなら今回はスキップして、来年のモデルを待つのも賢い選択だろう。『Ultra 3』も5Gモバイル通信機能や衛星経由の緊急SOS機能が必須でなければスキップしてもよさそうだ。
ただし、「SE」に関しては大幅な機能アップが行われているので、『SE 2』のユーザーなら買い替えても損はないはずだ。
問題はiPhoneだ。
『iPhone 17』は、従来のProモデルと同じProMotionや120Hzの最大リフレッシュレート、常時表示などディスプレイが強化されているし、新たな18MPセンターフレームフロントカメラも魅力的だ。現在、AI機能である「Apple Intelligence」に対応していない旧モデルを使っていてiPhoneの買い替えを検討しているなら『iPhone 17』を選択肢に入れておくことをお勧めしたい。
『iPhone 17 Pro』に関しても見た目以上に内部が刷新されているし、背面のカメラシステムがすべて48MP Fusionになったこと、さらにProRes RAWとGenlockの対応などプロ仕様のスペックも強化されている点に注目したい。こうした機能が必要なユーザーなら買い替えを検討するのはアリだろう。
悩むのが『iPhone Air』だ。前回のコラムでは『iPhone 17 Air』と予想したが、実際のネーミングには「17」が含まれなかった。これにより従来のメイン路線ではなく、『iPhone X』のような単独モデルだと予想できる。人気によっては来年以降もiPhoneのラインアップに残せる存在になるだろう。

Appleシリコンに「A19 Pro」を採用した点や価格の面から、『iPhone 17 Pro』と『17』の間に位置するiPhoneに見えるが、マクロ撮影に対応していなかったり、USB-CポートがUSB 2でデータ転送速度が最大480Mb/sと遅かったり、MagSafeワイヤレス充電が25Wではなく20Wのままだったり、内蔵スピーカーがステレオでなかったり、映像出力に非対応だったりと、個人的には残念ポイントが多く、目立ってしまう。
この点を考えると、実際に発売されてからしばらく様子を見るのもアリだろう。どうしても新しいiPhoneを使ってみたいと熱望するなら止めはしないが、来年には折りたたみ式のフォルダブルiPhoneの登場が予想されていることも頭の隅に入れておいた方が良いかもしれない。
もう1つ、今回の『iPhone 17』や『iPhone Air』、『iPhone 17 Pro』について注意したい点がある。それがeSIM専用モデルになったことだ。日本国内で提供される今回のiPhoneモデルには、今までのような物理SIMカードを入れるスロットがない。eSIMしか使えないiPhoneなのだ。
主要キャリアでは従来のSIMに加えeSIMも提供しているが、格安SIMを提供しているMVNO(仮想移動体通信事業者)によっては、eSIMを提供していない事業者もある。そうしたMVNOのSIMを使っているユーザーは、今回の新しいiPhoneに買い替える際はキャリアの変更が必要になる。主要キャリアやeSIM対応のMVNOユーザーでも、現在、SIMを利用している場合は、事前にSIMからeSIMへの切り替えが必要になる。この点には十分に注意が必要だ。
筆者は仕事の関係上、今回の『AirPods Pro 3』と『Apple Watch Series11』はすでに予約注文済み。『iPhone Air』と『iPhone 17 Pro』についても12日に予約注文をする予定だ。今後、実際に入手した際の開封や使ってみた上での感想なども改めて紹介したいと思うので、そちらも参考にしてもらえれば幸いだ。



























