ABEMAのIPマーケの仕掛け人が語る、『Dark Idol』発のアイドルグループ・Toi Toi Toiの強さ

仕掛け人に聞くToi Toi Toiの強さ

 新しい未来のテレビ「ABEMA」における新しい挑戦が話題だ。

 それは、宣伝本部のIPマーケティング室における“アーティストIPの創出”について。

 同部署では事務所と連携しながら、新規アーティストのデビュー前の初期のタイミングから、ファンになってもらいたい層に向けてマーケティングを行っていく動きをとっているのだそう。

 今回は、FRUITS ZIPPERやCUTIE STREETなどの人気グループを多数輩出しているアソビシステムから今春デビューしたばかりのアイドルグループ・Toi Toi Toiのコンセプト設計をはじめとしたアーティストIPのマーケティングを担当している宇仁桃子氏と、デビューのきっかけとなったオーディション番組『Dark Idol』(ABEMA)のプロデューサーを務めている山本司氏の2名にインタビュー。

 この夏、『TOKYO IDOL FESTIVAL 2025』などの大型アイドルフェスにも参加したToi Toi Toi活躍の裏側を探った。(於ありさ)

女性のセカンドチャンスから生まれたアイドル

――宇仁さんは、宣伝本部・IPマーケティング室(以下、IPマーケ室)に所属されているそうですね。具体的にどのようなことをしている部署なのでしょうか?

宇仁桃子

宇仁:IPマーケ室のなかでも、取り扱っているジャンルが多岐にわたるので、今回はアーティストマーケティングのお話をさせていただきます。アーティストマーケティングは、新規アーティストがデビューする初期のタイミングからマーケティング観点でアーティストの戦略設計を行っていて、ファンになってもらいたい層に向けて、そのターゲットの人たちに応じたコミュニケーションはどれが最適なのか、どういうアウトプットにしていけばファンになっていただけるかということを、事務所の皆さまと一緒に連携しながら考えて取り組む部署です。

 たとえば新しいグループがデビューする際に「どういう層の人たちに興味をもっていただけるといいのか」というターゲットに対する戦略設計を立てていくこともありますし、楽曲を出す際に「どこの層の人たちからリアクションを得たいか」や「ティーンのみなさんから支持を得られるような楽曲にするには」など、得たい成果から逆算していき、曲にその要素を入れてることもあります。

――Toi Toi Toiは『Dark Idol』プロジェクトから登場したグループです。プロジェクトが発足した背景を改めて教えてください。

山本:もともとABEMAとしてもこれまでお世話になっていた朝倉未来さんが「女性版の『BreakingDown』がなかなか支持されない」という印象をお持ちだったんです。そこから「もしかすると、いまの日本において女性のセカンドチャンスは、応援されにくいんじゃないか」という仮説を立て、プロジェクトとして広げていきました。とくにアイドルという世界線においては、「こうでなきゃいけない」とか「こうやって生きなきゃ女性としてダメだよね」みたいなイメージが先行していて、そこから少しでもズレると応援されにくくなる、と。こういった仮説やアイデアをもとに、”応援されやすいアイドル”というかたちにアウトプットを変えていきました。 朝倉さん自身が格闘というジャンルに出会って、セカンドチャンスを掴んだ方だからこその強い思いがあったようですね。

――まさに、セカンドチャンスというのは『Dark Idol』の“らしさ”のひとつですよね。

山本:挫折であったり、コンプレックスであったり、そういうストーリーがあった方が応援されるんじゃないかと思いました。あえて年齢制限とか、若くなきゃいけないとか、そういう制限を設けないプロジェクトになりましたね。

――オーディションの審査方法については、どのように決めていったのでしょうか?

山本:たくさんのオーディション番組があるなかで、良くも悪くも賛否両論なオーディションになるだろうなという予想はしていました。あえて言うと「色物が誕生しそう」と見られるんじゃないか、って。そういった予想を良い意味で裏切っていきたいなと思いましたね。それから朝倉さんがプロデューサーとして立ってくださっているので、 ちょっとした理不尽さとか、メンバーたちを少し追い込んでみたりとか、そういうところには朝倉さんのカラーをお借りしつつ、参加者の思いにしっかりと触れられるような見え方にすることを意識していました。

――実際に結成されたグループに対して、朝倉さんはどのようなコメントを残していましたか?

山本:プロジェクトの発案者であるものの自身とアソビシステムの皆さん、ABEMAのそれぞれの立ち位置について俯瞰して見られているようで、「アイドルとしてどう売れるかは分からないので話し合って決めていきたい」とお話されていました。ただそのなかでも、プロジェクトが発足する最初に掲げた、いわゆる“さらけ出す””正直に生きる”というストーリーについてのメッセージは、ずっと一貫して大事にされていた印象を受けましたね。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる