RIDEVU搭載メルセデス・ベンツで IMAX Enhanced & DTS:Xによる最先端の車載エンタメを体験!

RIDEVU搭載メルセデス・ベンツを体験

 日本オーディオ協会が主催する、国内最大級のオーディオとホームシアターの祭典「OTOTEN2025」が有楽町の東京国際フォーラムで開催された。この催しは、スピーカーなどの本格オーディオやヘッドホン、ホームシアター、カーオーディオまで、様々なオーディオガジェットを体験できる内容となっている。最近はVTuberのAZKiさんに関連した展示やアニソンをメインにした試聴会も行われるなど、一昔前のオーディオイベントとも違った取り組みが注目されている。

デモカーとして、『各種オプションを搭載した『E 200 AVANTGARDE (ISG搭載モデル)』が準備されていた。その総額は税込1100万円超え

メルセデス・ベンツ『E 200 AVANTGARDE』が、最高のエンタメ空間になる!

 さらに「OTOTEN2025」では、国際フォーラムB1Fロビーにデモカーを並べ、来場者が最新カーオーディオを体験できるスペースも準備されていた。中でも注目は、Xperiブースに展示されていた、RIDEVU(ライドビュー)アプリの最新版を搭載したメルセデス・ベンツ『E 200 AVANTGARDE (ISG搭載モデル、以下同)』でのサラウンド体験だった。

 RIDEVUは、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが提供している車内向けビデオストリーミングサービスで、日本ではソニー・ピクチャーズの映画作品やメイキングなど800タイトルほどが視聴できるそうだ。

 Xperi株式会社 代表取締役社長の西村明高氏によると、DTS:Xは最近話題の3Dオーディオ(イマーシブオーディオ)に対応した高音質フォーマットで、映画館と同じように天井スピーカーを使った没入型サラウンドを楽しめるとのこと。

左はメルセデス・ベンツ日本合同会社 マーケティング・コミュニケーション部 広報の齋藤友理香氏で、右がXperi 株式会社 代表取締役社長の西村明高氏

 冒頭、西村氏は「今日は、ソニー・ピクチャーズが車両向けに行っているストリーミングサービスのRIDEVUで、IMAX Enhanced作品をDTS:Xサウンドで体験していただくというプログラムをご紹介できますことを非常に嬉しく思っております」と挨拶。

 「電気自動車の充電時間とか、お子さんを迎えに行って駐車場で待っている時間に、車の中で動画サービスを楽しめるというのがRIDEVUのコンセプトになっています。今後RIDEVUではIMAX Enhanced作品に対応する予定です。IMAX Enhanced作品は、映像のアスペクト比(画面の横と縦の比率)が1.9:1で、シネスコ(2.35:1)よりも画面縦方向の情報量が多いのが特長です。音声はDTS:Xが選択可能になります」とシステムを解説。

「停車中は14.4インチのセントラルスクリーンで映像をご覧いただけますし、走っている最中は、MBUXスーパースクリーンを装備した車両では助手席ディスプレイで、後席や装備していない車両ではスマートフォン(*)などでご覧いただくことができます。さらにDTS:Xの迫力ある立体音響で楽しんでいただけるのです」(西村氏)

*対応デバイスでスマートフォン向けRIDEVUアプリがインストールされ、同じアカウントでログインしている場合。

インパネ部分に14.4インチセントラルスクリーンが埋め込まれ、停車中はここにアプリ操作メニューやコンテンツが表示される。MBUXスーパースクリーン(助手席側のスクリーン)を装備した車両では、走行中でも助手席でもRIDEVUを利用できる

17個のスピーカー使った15チャンネルシステムに加え、ドライバーと助手席のシートが振動する!?

 さらにメルセデス・ベンツ日本合同会社 マーケティング・コミュニケーション部 広報の齋藤友理香氏から、今回のデモカーについても説明があった。

 「本日は『E 200 AVANTGARDE』で日本導入に先立ってRIDEVUでDTS:Xに対応したコンテンツをご体験いただきたいと思います。こちらはAMGラインパッケージやアドバンスドパッケージなどいくつかのオプションが追加された仕様になります。今回はオプションの「Burmester®4D サラウンドサウンドシステム」が装着されており、17個のスピーカー使った15チャンネルと、運転席と助手席のシートにエキサイター(振動源)を内蔵しています。現在RIDEVUを楽しめるのは、Cクラス、GLC、CLE、SクラスなどのMBUXエンターテインメントパッケージプラさスを搭載した車種になります。今後RIDEVUへ、IMAX Enhanced及びDTS:Xに対応するアップデートを行う予定です。時期は決まっておりませんが、今年中に順次アップデートを予定しています」(齋藤氏)と同社にとっても最新の車載音響システムであることを明かした。

RIDEVUアプリでは、英語、日本語など複数の言語も選択できる。『スパイダーマン・ファー・フロム・ホーム』では英語のみDTS:Xで配信されていた。

“車の中は最高のエンターテインメント空間になる”、そう確信できた

 RIDEVUで『スパイダーマン・ファー・フロム・ホーム』をIMAX Enhancedの映像とDTS:Xのサラウンドで体験させてもらったが、14.4インチの画面ほぼいっぱいに映像が表示され、しかも声には厚みが、効果音にも勢いがあって迫力十分。さらに天井のあちこちから音が響いてくる。これこそ“音に包みこまれる瞬間”ということだろう。これだけ臨場感のある映画体験はなかなかできない。それが車の中で実現できるというのは大きな価値があるはずだ。将来自動運転技術が進歩していけば、車の中は最高のエンターテインメント空間になる、そう確信することができる貴重な体験だった。

著名オーディオ評論家、野村ケンジ氏も驚嘆の車内空間

『E 200 AVANTGARDE』でRIDEVUを体験中の野村氏

 「今回は、メルセデス・ベンツ『E 200 AVANTGARDE』で新たに対応予定というRIDEVUの新サービスを体験してきました。まず感心したのが、無線であれだけの絵と音が体験できるということでした。今日は走行してはいませんが、それでもハイビジョンクォリティの映像と3Dサラウンドが楽しめるんだから、凄いことです」と語るのは、特別レビュー役として現場に招聘したオーディオ評論家・野村ケンジ氏。

 「まず、音ですね。DTS:Xのサラウンドが車の中で実現できる、しかもバーチャルではなく、リアルスピーカーを使ったイマーシブ再生ができる環境が素晴らしい。スペック的には天井スピーカーが追加されたことが話題ですが、それだけじゃなく、コンテンツのサウンドデザインをしっかり制御して、エンタメ作品の面白さが車内でも味わえるというのは、素晴らしいなと思いました。

 コンテンツを供給する側と、車メーカーの両社が一体になってこういうサービスを形にしてくれたというのは、本当に嬉しいですね」と絶賛。

西村社長自らが説明を交えながらRIDEVUを操作

 「あと、シートに取り付けられたエキサイターも面白かったですよ。ややもすると迫力を盛り上げるために椅子を振動させているといったイメージがあるかもしれません。しかし実際は、あくまでも音に連動して迫力を補助しているっていう感じで、そこがいいと思いました。最初は映画館の4DXに近いものを想像していたんですが、あそこまでアトラクションに近いものではなく、もっと音に寄り添った振動でしたね」とエキサイターにも興味津々。

 「今回は『スパイダーマン・ファー・フロム・ホーム』を拝見しましたが、結構ピュアなサウンドだなと感じました。音に厚みもあるんですけれど、同時にセンターやハイトスピーカーの音の鮮度も高く、移動感や定位感もとてもわかりやすいと思いました。音的にも、DTS:Xの価値を感じられる品質でした。特に立体感とかメリハリの付き方などがはっきりと違って感じられました。

 もうひとつ、「Burmester®4D サラウンドサウンドシステム」を装着した車両では、車内のスイートスポットを補正できるそうです。今回は運転席と助手席の中間に定位していたそうで、助手席で聴いているとセリフが少し右に寄る印象もありましたが、このあたりも、助手席で聞くとベストとか、リアシートで理想的なサラウンドが楽しめるといった調整も可能なようです」とアドバイスも。

展示車両ではルームランプ部分にふたつの天井スピーカーが埋め込まれており、高さ情報を持ったサラウンド再現も可能になっている

 「なお、走行中に14.4インチディスプレイに映画などを映すことは法令で禁止されています。ですので、走っている時はMBUXスーパースクリーンを装備した車両なら助手席でもRIDEVUを利用できます。そのあたり、メルセデスも車本体の性能だけでなく、エンターテインメントも含めた総合性能でアピールをするようになったということかもしれません。またRIDEVUは、Eクラス以外にCクラスやSクラス、GLC、CLE、EQS、EQEなどにも世代によって搭載されています。しかもセダンだけでなくSUVも選べるといいます。SUVならエアボリュームが大きくなるし、天井の高さやリア側の空間も取れますから、音響特性的にももっと有利になるんじゃないでしょうか」と車の特性も踏まえた評価も。

 「今日の展示を通して、メルセデス・ベンツの新たな取り組み、今後の自動車の進むべき方向の一端を拝見できたかなと思います。その“今後の方向性”にはふたつのポイントがあって、動力源が何になるのか、また安全性・静音性としてのボディの剛性が重要だと考えています。

RIDEVUアプリは現在発売中のEクラス、Sクラスなどに搭載済で、2025年末頃からIMAX EnhancedとDTS:X対応にアップデートされる見込み

 まずエンジンに関しては、電気自動車になればモーター音だけですし、そもそも現在のガソリン車もエンジン音は相当静かです。どちらかというと外来ノイズ、走行時のタイヤからのロードノイズとか、風切り音が生み出すボディの共振が騒音として問題でしょう。

 その意味でも、現在の車はエンタメを楽しむためには有利な空間になりつつあるんです。ただ、さすがに画面サイズは今回のEクラスでも14.4インチですから、そこを音で補うということが重要になってくるわけです。DTS:Xによる音響のグレードアップという提案は、かなり大きなポイントになっていると感じました」と車と音響システムの未来にも言及。

メルセデス・ベンツでエンタメ体験を充分に楽しんだ野村氏

 「もうひとつ、最近はボディの鉄板自体は薄くなっていますが、デジタル解析を用いることでボディの剛性は逆に上がっているんです。そもそもドイツは鉄鉱石の産出国でもありますから、そのあたりの技術の蓄積も進んでいるでしょう。今のようなご時世でドイツ車、しかもメルセデス・ベンツの高級モデルを選ぶというのは、車としての魅力はもちろん、エンタメ作品を楽しむ空間としても重要なものになっていくのかもしれません。

 自動運転はこれからますます進歩していくでしょうし、そうなると車内のエンターテインメント体験もグレードアップしていかなくてはいけません。その先駆けとして、14.4インチ映像と、それを補うような大迫力サラウンドというコンセプトは非常に素晴らしいと思いました」と総括した。

●参考情報
https://www.mercedes-benz.co.jp
https://xperi.com/?lang=ja

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