『Weekly Virtual News』(2025年6月23日号)
一般宇宙人・トコロバ登場から1年、初の個展開催へ おめシスは「映像生成AI」をエンタメに活用

空想料理店店主・蟹とトコロバの相乗りを見る
ジャンルに囚われないゲストが集まるYouTube番組『META TAXI』の最新回に、一際興味深い組み合わせが見られた。VTuberの空想料理店 蟹と、イラストレーターでもある“一般宇宙人”トコロバだ。
かたや黎明期からユニークな作風の動画で存在感を示し続ける、空想料理店の店主。かたや数奇な流れで見つかり、注目された一般宇宙人。二人の会話は、クリエイターをテーマに様々な角度で深堀りされていく。
両者とも、独特な位置にいるがゆえの思いがうかがえる20分ほどの“同席”は、長くバーチャル界隈を眺めてきた自分にとっても発見があった。また、それぞれの活動の裏側も興味深い。蟹が2017年ごろに勢いで「23万円のモーションキャプチャー」を手にした逸話からは、自分も確かに感じていた、黎明期の熱量を思い出した。
自分、大阪とVRCで個展やります!!! pic.twitter.com/NNsU1Ug3Z8
— 所場 (@105ro8) June 22, 2025
そして、トコロバは個展を開催するようだ。大阪のオフライン会場、および『VRChat』のオンライン会場が併開催される、ハイブリッド方式のようだ。もちろん、トコロバにとっては初の個展だ。
ふと、トコロバはいつ現れたのかが気になった。スタンミと出会った配信のアーカイブの投稿日時を見ると、2024年7月。まもなく1年だ。スタンミの『VRChat』配信に多大な注目を集めるキーパーソンとなり、一時は母星へ帰るも、その後はゲスト出演や配信、そしてイラストと、幅広い活動を続けている――その発端となったイベントが1年前である事実に、軽くめまいがする。
今日でNAGiSAは生まれて1周年でした🙌🙌
この1年間あっという間だった気がするし、色んなことがあったようにも思えます!
これからも皆の出会いを支える場として使って頂ければ嬉しいです😭 https://t.co/H5BQ63dbk6
— エンジンかずみ (@Engine_Kazumi) June 20, 2025
そして、トコロバが“発見”された場でもあるVRChatワールド『NAGiSA』も、6月20日に一周年を迎えたようだ。ランダムに出会う人と、1対1で5分間の会話を何度も楽しむことができるこのワールドは、いまや日本の『VRChat』カルチャーには欠かせない場となった。
現在も、初心者からベテランまで、毎日多くの人が通っている。たった一年で、『VRChat』には本当に大きな変化が起きたのだと、あらためて感じた次第だ。
おめがシスターズ注目の映像生成AIが生み出す、バーチャルなASMR
おめがレイ(もとい、総監督・おめがのハコ)が第二子の出産予定を発表したおめがシスターズでは、いまも攻めた検証動画が送り出されている。「大切なお知らせ」がポジティブかネガティブかのどちらかを調べる体当たり調査も少し前に話題になったが、先週は流行りの動画生成AIを用いた検証企画が投稿された。
企画内容は、Googleが開発した動画制作ツール「Flow」を用いて、静止画からどう変化するかを予測し、うっかり笑ったら罰金500円というもの。エンタメ要素も盛り込みつつ、最新の映像生成AIの実力もうかがえる内容だ。とはいえ、奇妙な内容が飛び出すケースも多く、エンタメに昇華するのが無難とも言える実力とも言える。
「Flow」そのものは動画制作ツールであり、用いている生成AIは「Veo 2/Veo 3」だ。このAIを用いて生成された映像として、直近では「ありえないものを切る」ASMR動画が話題となっている。筆者が確認する限りはTikTokに投稿されている。ガラス製のフルーツや溶岩などを包丁で切る音や、切った後の様子がユニークだ。
本日の青果:青林檎を切る #Veo3 pic.twitter.com/1OqJPm331t
— 浅田カズラ (@asada_kadura_vb) June 19, 2025
筆者もこのAIASMR動画が気になり、「Veo 3」を使って似たような動画を作ってみた。狙った雰囲気の動画を生成させるにはプロンプトにかなり気を使う必要はあるが、5テイクもあれば当たりは1本引き当てられる。そして「Veo 3」の場合、映像の精度が高いだけでなく、音も合わせて出力されるのが大きなポイントだ。
現時点でのネックは価格だろう。1ヶ月に生成できる本数を考慮すると、実用ラインは月額36400円の最上位プランからとなる。現在はキャンペーン価格で半額となっているが、それでも18200円。ペイできる商売のタネには、すぐにはならなそうだ。とはいえ、似たような動画を人員アサインして作るよりは安く済みそうな印象もある。
「手軽に頭の中を具現化する」という生成AIの強みは、引き続き健在のようだ。そして“バーチャルなASMR”と(無理やり)呼べそうなこの動画ジャンルは、どこかでさらに花開きそうなポテンシャルも感じるところだ。
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