憧憬はいつしか現実に　にじさんじ・五十嵐梨花は“夢の実現”に向けてひた走る

　現在のVTuberシーンにおけるトップランナーのひとつであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

　メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

　育成プロジェクトである「バーチャル・タレント・アカデミー（VTA）」からも新規ライバーがデビューし始めており、現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与え始めている。

　今回から数週にわたり、2023年にデビューしたタレントたちにフォーカスした特集記事を書いていく。Idios、Oriens、Dytica、みたらし団といった面々はVTAに所属・学んだメンバーが多く、2025年現在までに3Dビジュアルを手に入れ、今後のにじさんじを背負っていく中核メンバーとなっていくだろう。ここまで執筆してきた小清水透、ソフィア・ヴァレンタインに続き、Idiosから五十嵐梨花について書いていく。

元気なおてんば娘。でも実は“後天性”のギャル？

　五十嵐梨花は2023年1月16日にSNSに初投稿し、19日に初配信しデビューした。Idiosは7人のメンバーによって構成されているわけだが、2日間にわたって行われた7人の初配信のうち、五十嵐はトップバッターとして登場した。新人デビューが発表されて膨れ上がっていた期待・好奇の目を、まず最初に受け取った人物だ。

どもっす、みなさんはじめまして！
吉幾三…ではなく、五十嵐梨花だよ〜📣

みんなからは りかしぃ って呼ばれてるよ！
野球場でビールの売り子やってます⚾️🧡

初配信▹▸1/19(木)20:00~https://t.co/TdAtEpIQAq

RTとチャンネル登録よろしくお願いします🙇🏻‍♀️❕
みんなこれからよろしくね〜！✨ pic.twitter.com/7EWiMCcSpO

— 五十嵐梨花⚾🧡にじさんじ (@1garashi_Rika) January 16, 2023

　そんな緊張感あるトップバッターを務めた彼女は、笑顔に溢れ、明るく振るまうとするタイプで、公式プロフィール文にある「元気なことが取り柄のギャル」という一文にピッタリ。

　ソロ配信・Idiosのメンバーとのコラボ配信では、満面の笑顔と嬉々とした声で楽しげな姿を見せており、仲の良い面々のなかでみせるボケやワガママな態度も、愛らしさある振る舞いとして認知されている。

　特にIdiosメンバーに対して仕掛けるイタズラ・イジり・ボケはどれも可愛らしい……というよりも、幼稚に見えることがしばしば。グループ内でセンシティブな話題に発展する際には五十嵐が絡んでいることも比較的多く、やんちゃな振る舞いやおませさんぶりを「クソガキムーブ」とメンバーやリスナーから指摘されることもある。Idiosには石神のぞみ、倉持めると、鏑木ろこ、獅子堂あかりと他にも活気あるメンバーもいるなかで、彼女もまた盛り上げ役な一面を持っているわけだ。

　ただし当の彼女は「ちっちゃいころにギャルに憧れてギャルになった。根はぜんぜん臆病な部分がある」「ちっちゃな頃は引っ込み思案だったし、“後天性ギャル”なんだよね」とも話している。実際、初対面の先輩やにじさんじ外のストリーマーらが関わってくると、元来の引っ込み思案さや遠慮しがちな一面がでてくるようで、たどたどしい口調になってしまう様子も見られる。

　たとえば昨年参加した大規模サーバー企画『VCR Minecraft』では、初日にして“ぼっち状態”になってしまい、周囲に音声が聞こえている状態でひとりルンルンと穴を掘っていたところを別の参加者に発見されるという、少々気まずい出会い方をする羽目になった。

　とはいえ、デビューしてから2年経過した現在ではこういった姿は見られなくなりつつあり、徐々ににじさんじ内の先輩たちと気兼ねなく楽しみ、後輩たちと交流を深めている姿が増えつつある。

　収録などを通じて五十嵐と直接顔を合わせたメンバーも増えており、先輩・椎名唯華に「なんか、りかしい（五十嵐のあだ名）さん、オーラあるんだよな。控室で椅子に座ってるだけでもオーラがあって近づけない」といわれたり、初対面となった後輩・立伝都々から帰り際に耳元でとんでもない言葉を言われたりと軽いイジリを受けることもあるようだ。彼女のフランクな性格があってこそのじゃれ合いなのだろう。

　そんな五十嵐は、にじさんじの門を叩いたきっかけについて本間ひまわり主催の『第一回 Vtuber女子 ローション相撲大会』を見たことだと話している。デビュー後の配信活動でも五十嵐は本間とコラボ配信を重ねていき、その関係をより深めていくことになる。

　また憧れの先輩としてリゼ・ヘルエスタの名前をあげており、別々のスタンスでゲーム配信をつづけてきた本間とリゼの2人から大いに影響を受けていることが伺える。

　また彼女の口からは深く語られていないが、周央サンゴとはにじさんじに加入する前からの友人であることも明かしている。にじさんじの面々に照らし合わせれば、リゼとアンジュ・カトリーナ、森中花咲とえま★おうがすとと同じような関係といえばいいだろうか。

　自身にとって憧れの存在である本間・リゼにくわえて、以前からの友人である周央の存在があったことを考えれば、彼女がにじさんじに加入しようと考えたのも当然の成り行きだったように思えるところだ。