『hololive SUPER EXPO 2025』を通して見た、強固なファンダムと協賛企業も巻き込んだ“お祭り感”

2025年3月8日から9日にかけて、幕張メッセにて『hololive SUPER EXPO 2025 & fes.』が開催された。2020年1月24日に第1回となる音楽イベント『hololive 1st fes. ノンストップ・ストーリー』を開催して以来、音楽ライブと博覧会という形で毎年開催されてきた、ホロライブ内でも随一となる大型イベントである。
VTuber~バーチャルタレントシーンのなかでも同イベントの規模感はトップクラスに大きく、参加するタレントはもちろんのこと、集まる観客たちの熱量・盛り上がりも随一だ。今回は、初日となる3月8日『hololive SUPER EXPO』DAY1の様子をレポートしようと思う。

『hololive SUPER EXPO』の朝は早かった。入場にあたってチケットからリストバンドへの交換が必要となるのだが、朝7時半に交換がスタートし、実際の入場開始は朝9時。幕張メッセ場内となるホール1の一部をエントランスホールとしていたが、それでもなお3月上旬というまだまだ寒い時期のなか、多くのファンが長蛇の列をなして開場を待っていた。
本イベントは事前にチケット購入が必要となっており、それも先行抽選制のチケット競争に勝った者がこの日に集まった。チケット購入できなかった者ももちろんいるわけだが、会場の付近にはイベントに参加できないにもかかわらず、「会場の雰囲気を楽しみたい」ということでグッズを持って足を運んでいる者がチラホラと見られるほど。いまやホロライブのタレントやイベントには、それだけの熱気・魔力を宿らせるほどのオーラがあるのだ。

今回の同イベントでは「hololive ARCADE」がテーマとして掲げられており、アミューズメント色の強いステージが展開されていた。
会場の中央付近にはドット絵調にデフォルメされたホロライブメンバーたちのパネルが並ぶメリーゴーランドがあり、その近くにはメンバーや彼女らと関わるイラストレーターらからのサインやメッセージが書かれたモニュメントが飾られていた。一目見ようと長蛇の列が形成され、非常に盛況だった。

アーケードがテーマということで、ブロック崩しやハンマーチャレンジといったアトラクションもあれば、ここ1年で注目を集めるようになった「holo indie」のゲームタイトルを試遊できるブースもあった。
また『ホロライブ・オルタナティブ』『魔法少女ホロウィッチ!』など実際に制作されている作品を基にしたブースもあれば、『ENigmatic Recollection』『ホロライブインドネシア ~夜の移動遊園地パサマラム~』など、世界観や文化に紐づいて表現されたブースもあり、見どころは十分。




また2024年9月からリリースされている『hololive OFFICIAL CARD GAME』は、「ホロカ イン ワンダーランド」と称してブースを展開、ゲームの遊び方をレクチャーする体験スペースを設けていた。
これらの公式ブースをみて気が付くのは、さまざまな世界観を持ったコンテンツが“パラレル(並列)”に展開されていることだ。「配信者・ストリーマーとして面白い存在」という一面しか知らなかったファンは、多彩な表情・ビジュアルをみせる彼女たちの姿にさぞ驚かされたことだろう。ホロライブのタレントたちが、さまざまなエンターテイメントやアウトプットを通じて活躍していることを知れる場としても機能する。
実際、筆者が取材している隣で「こんなのあるんだ!」と驚くファンの姿を何度も見た。熱心なファンであっても「知らなかった」という人が見られ、そう考えれば、「知らせること」の重要性は計り知れない。



入場開始から30分~40分とたたずしてどのブースにも待機列がうまれ、徐々に熱気を帯びていく幕張メッセ。筆者は当フェスについては毎年、他のイベントについてもたびたび取材をしているが、ホロライブが主催するイベントには大きな特徴がある。それは、協賛会社のブースがどれも個性的で、多くのファンが足を運んでいることだ。
たとえば協賛会社の一社であるタイトーのブースでは、白上フブキとさくらみこの特製アクリルキーホルダーがクレーンゲームの景品としてゲットでき、開場直後から多くのファンが詰めかけ、すぐに長蛇の列を作っていた。
デザインココのブースでは宝鐘マリン・白上フブキ・大神ミオの等身大フィギュアが展示され、こちらも長蛇の列を形成。GiGOブースでも特別仕様のスロットを楽しむことができるなど、各協賛企業ブースはファンを楽しませようと様々な工夫を凝らしていた。
「この日初めてお披露目される」「この日しかゲットできない」という特別感のあるノベルティやグッズ、展示物が目白押しとなるなかで、「協賛企業のグッズも手に入れよう」と余すことなくイベントを堪能しようとする。古からつづくオタクカルチャーらしい一幕といえるだろう。



同イベントの始まりを告げる「DAY1 OPENING STAGE」には、ときのそら、ロボ子さん、さくらみこ、アイタニ・イオフィフティーン、アーニャ・メルフィッサ、一伊那尓栖らが登場。
クレーンゲーム風のステージに出演メンバー6人が登場すると、開会の挨拶として着ぐるみキャラクターにくわえ、カバーCEOの谷郷氏が登場した。同イベントでは毎度お馴染みな開会の挨拶をするこのステージ、今年も「YAGOO!(※)」と怒号のような歓声が飛ぶ。
【※YAGOO:カバーCEOの谷郷元昭氏の愛称。正式な読みは「たにごう」だが、親しみを持って「やごう」と呼ばれている】


登壇したメンバーがポーズをとって写真撮影をする際にときのそらが「だれが一番かわいいかなー?」と会場に問いかけると、観客から「YAGOO!」の声が次々と上がる。この“谷郷イジり”は黎明期から現在まで長くつづいてきたが、それは今年も変わらず。今後もホロライブメンバー同様に愛され、イジられていくのだろう。

当日はSNSも大いに盛り上がり、開場から2時間と経たずにハッシュタグ「#hololivefesEXPO25_DAY1」がXのトレンド1位に。それを皮切りに、『hololive SUPER EXPO』に関連するワードが多数ランクインした。特に白上フブキと大神ミオの等身大フィギュアへの言及が多かったのが印象的だ。
そうして多くの観客がアトラクションやステージを楽しんだ『hololive SUPER EXPO』。午後からはライブイベント『hololive 6th fes. Color Rise Harmony』が開催され、集まったファンたちの期待に大いに応える内容であったと思う。公式が提供するコンテンツを受け取って楽しむだけでなく、コスプレやグッズ創作を行なう能動的かつDIY的な試みがファンのなかで生まれ、運営がそういった流れを敏感にキャッチアップしてイベントに落とし込む。
日本のネットカルチャーのなかでも強固なファンダムを形成することに成功した一端が、随所に感じられたイベントであった。
〈サムネイル画像=© 2016 COVER Corp.〉
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