合法・違法も厭わない…東野幸治が見た“国境越えの実状” 「地上波のドキュメンタリーでは見ない生々しさ」

 世界各地の国境を巡り、「越える」ことに隠された人々の想いや苦悩、そして希望を映し出すバラエティ番組『国境デスロード』(ABEMA)。

 番組を手がけるのは、2024年1月にTBSを退社した大前プジョルジョ健太ディレクター。MCを東野幸治・あのが務め、毎回ゲストと共に、命懸けで国境を越える人々の様子を目撃してきた。

 スタジオでVTRを見守ってきた出演者は、この旅路をどのように受け止めたのか。国境の向こうに生きる人々のリアルや収録の舞台裏を、最終回の収録を終えたばかりの東野幸治に聞いた。

悲惨な状況なのに“明るい現地民” 通常のドキュメンタリーにはない生々しさ

――最終回の収録を終えられましたが、番組全体を通しての感想はいかがでしたか?

東野幸治

東野:本当に面白かったです。いろいろな国境を見せてもらいましたし、そこにいる人たちの人生にも触れることができました。国境を越えたい理由も人それぞれで、越えられない理由もまた違う。それを直接観ることができて、ニュースだけではわからない現実を知る機会になりましたね。

 エピソード0から始まって、ABEMAでレギュラー放送が始まる前にアメリカとメキシコの国境を取材したことが、最終回につながったのも面白かったです。やっぱり現場ならではの空気や人々の思いを知ると「こういうことが起きているんだ」と実感できます。

――アメリカとメキシコの国境付近にはさまざまな人がいると紹介されていました。特に印象に残っているのはどんな方たちでしょうか?

東野:マフィアが絡んでいるような危険な地域もあれば、合法・違法に関わらず国境を越えようとしている人、家族のために必死になっている人など、本当にいろんな人がいました。
彼らがそれぞれの事情を抱えているのを知ると、単純に「良い」「悪い」で語れない部分が見えてきますよね。そこは強く印象に残っています。

――シーズンを通して、特に印象に残ったVTRはありますか?

東野:メキシコの治安の悪い地域を取材した映像は特に衝撃的でした。でも、そういう場所でも人々がケラケラ笑っていたり、プジョルジョくんの食レポに乗っかってくれたりする。悲惨な状況なのにみんな意外と明るかったりして、その“人間臭さ”がフラットに映るところが面白いと感じました。地上波のドキュメンタリーではあまり見ない生々しさですし、VTRを観ていて引き込まれました。

――最終回のゲストとして、ひろゆきさんが登場しました。番組内でもその発言が話題になっていましたが、どんな印象でしたか?

東野:ひろゆきさんは「ABEMAの神」みたいな存在だと聞いていて(笑)。番組でVTRを観てもらえるだけでありがたい気持ちでした。最終回の放送でも、ひろゆきさんのコメントは遠慮がなくて、現実的な発言もあったんですが、僕自身は「むしろありがたいな」と思いましたね。というのも、自分が「心がない」とか言われることも多いんですが、ひろゆきさんを見たら「自分って割と心あるほうかもしれないな」って思ったんです(笑)。

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