二宮和也「本来だったら受けなかった」 『インフォーマ』新シリーズ出演への決め手となった“桐谷健太の言葉”

二宮和也『インフォーマ』出演を決めた理由

桐谷健太の第一印象は“本音でぶつかれる人”

――桐谷さんに心を動かされて実現した『インフォーマ』出演ですが、二宮さんから見た桐谷さんの魅力とは?

二宮:健太くんは、とにかく裏表がないんですよ。なんていうのかな。動物とかがあんまり吠えなさそうっていうか(笑)。あと長瀬(智也)くんと仲が良いんですよね。長瀬くんは天然でマイワールドがしっかりある人なので、分かち合える人って芸能界のなかではかなり限られていて。そこを唯一と言ってもいいくらい親睦を深める存在になれているのは、やっぱり健太くんの人間性があればこそなのかなと。

 僕が最初に健太くんに会ったのは『流星の絆』(TBS系)という作品だったので、もう15年以上前か……。最初の印象は、本音でぶつかれる人なんだなって感じでしたね。彼は現場でもちゃんと悩んだり、苦しんだりするんですよ。もちろん、基本的にはポジティブで、まっすぐに「自分はこうしたいんや!」って言う人なんですけど、同時に「ホンマにこうしてええんやろか」と苦悩していて。

 普通の大人だったらそういうところってあんまり見せたくない部分だったりすると思うんですよ。その場では胸のうちに秘めて帰ってから悶々として、次の日の現場に持ってきたり……。なのに、健太くんは「ちょっといま考えてます」というのを、現場でも隠すことなく見せてくれる。ウソをつかない人なんだろうなと思うので、犬にも吠えられなさそうだなって(笑)。

 そうして、ちゃんと悩んだ結果、出来上がりを見ると、やっぱり一流。その作品にちゃんとミートしているなというのがわかる。僕はそういうところが昔からすごく好きですね。で、気がついたらトントントン……と、共演する機会が増えていって。直接オファーしてくれるような関係性になりました。

――桐谷さんには、たしかにどんな方とも仲良くなれるイメージがありますね。

二宮:そうなんですよ。それを一番強烈に感じたのが『ラーゲリより愛を込めて』という映画を撮影したときで。現場には、たくさんの捕虜役の人たちがいたんですが、健太くんはあっという間に仲良くなっていて「あれ、健太くんは? どこに行った?」って見渡すと、なんかみんなで雪かきとかしてるんですよ。もう、その人間力みたいなところに圧倒されちゃって。演じているのは、その人たちからめちゃくちゃ嫌われている役なのに。なんておもろい人だなって思いました。

 そういう人と人との繋がりを大事にしていくところから作り上げるのが、桐谷健太の作品との向き合い方なんだろうなって。『インフォーマ』の現場でも、誰よりも熱い思いを持っていたのがわかりましたし、それこそ俺のことを「来てくれて良かった良かった」と言ってくれてましたけど、ほかにもあの人の頭の中にあるピースがハマっていく瞬間っていうのがあったんだろうなと。その一つひとつがすごく嬉しかったんだろうなっていうのも伝わってきました。『インフォーマ』は、あの人のそういう思いが純度の高いまま作品になっているんじゃないかと思いますね。

――タイと東京と現場は離れてしまいましたが、撮影中には桐谷さんとなにかお話をされましたか?

二宮:健太くんがタイで撮影しているときは、本当に2〜3日おきぐらいに連絡が来ましたね。「今日、刑務所行って来たで」みたいなメッセージと一緒に、すんごい強面な人たちと仲良さそうに記念写真を撮った画像とかも送られてきたりして(笑)。

 でも、実際に撮れたデータを見ると、カーチェイスしたり、川に飛び込んだり、日本ではなかなか撮れないような派手で爽快感のあるシーンも満載で驚かされましたね。なんていうか、「続編で、もうここまでいってんのか」みたいな。もっと人気シリーズになってお金がかけられるようになってからじゃないの、って(笑)。でも、もともと『インフォーマ』ファンとしては、こうして撮影の状況と、1つの作品になって届けられるのと、2重に楽しめるなと思いました。

――ABEMAのドラマに出演されてみて、地上波ドラマや映画との違いは感じられましたか?

二宮:僕はABEMAのドラマにも初めて出演したので、ABEMAのドラマがどんな現場なのかあまりわかってなかったんですけど、「来てくださってありがとうございます」みたいな声がいっぱいあって、ずっとお姫様状態でしたね(笑)。だからというわけではないんですけど、現場の印象は俳優たちがちゃんと権利を持っているなというか、俳優たちの「こうしたいんだ」ということに対して真摯に向き合ってもらえる空気を感じました。

 地上波ドラマはどうしても時間に追われる部分が多くて、「俳優がこう言ってるから一旦揉んでみよう」というのが物理的に難しいというのがあるんですよ。「ここはもうコレでいきましょう」みたいになってしまうことも致し方ない場面がある。それでも合格点ではあるんです。けれど、現場でポンッと出た議題に対して、ちゃんと受け止めて、みんなで考えようよっていう時間を作れるというのは、やっぱり粘度が高くなっていくよなって感じる部分がありましたね。

 それが主演だからとか、ベテラン俳優だからとかではなくて、誰に対しても時間を割いてくれて。その俳優さんの気持ちがスッといいところに収まるまで、ちゃんと向き合ってくれるっていうのは本当に贅沢なことだなって……。でも、わかんない。これは、もしかしたら健太くんの現場だったからかもしれないっていうのもあるんですよね。

――桐谷さんが主演だからこその空気というのがあったんですね。

二宮:そうですね。やっぱり健太くんはどこに行っても変わらないし、言ったらずっと表の状態の人なので、やっぱり気持ちがいいですよね。ちゃんと考えて創り上げていく。本当にポジティブで、ストレートで。物語とは真逆なんですけどね(笑)。

 もう、なんていうか、日本刀を持った般若さんが走り回ってるみたいな、こんなクレイジーな現場はなかなかないんですよ。それを「走ってるな〜」って眺めているときに、僕のなかではもう舞台版『インフォーマ』を観ているみたいな気持ちになりました。この作品じゃなければ出会えなかった方もたくさんいましたし、夢のような時間を過ごさせてもらったなと思います。

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