4月に開局した電車の中のテレビ局『TRAIN TV』 仕掛け人が語る、番組制作の舞台裏と反響

無音の番組など野心的な取り組みを続ける『TRAIN TV』

——『TRAIN TV』で放映されている番組はすべて“1分かつ音声なし”という制約の中で制作されていますが、そんな番組作りの中で工夫をした点を教えてください。

中里:なるべく言語情報の少ない、ノンバーバルな番組作りという部分は意識していました。たとえば先ほどのお笑いで言えば、ヒカキンさんや、チョコレートプラネットさんのような、無音でも表情や動きで表現が豊かにできる方にご出演いただいています。他にも、視聴してくださっている乗客の方々にとって分かりやすく、フラストレーションを感じさせない番組作りを意識しています。

——今後、こういった番組をやってみたい!と模索しているものはありますか?

中里:1つはドラマです。開局時には、60秒という縛りや制作コスト等、様々な問題で見送りましたが、今後はチャレンジしていきたいと考えています。NHKの朝の連続テレビ小説のように、その人の日常生活の一部分になるようなものが作れたらいいなと思っています。毎日乗車する電車と非常に相性がいいのではないかと。

 また、『TRAIN TV』は音声が出せませんが、車内はイヤホンを使用されている方も非常に多いので、そうしたパーソナル音源と連動したコンテンツも考えていけないかと思っています。これは少し先の話にはなりますが。

 「電車の中のTV局」と改めてリポジショニングしてリスタートさせた『TRAIN TV』ですが、現状はベータ版としての位置づけです。開局以降に寄せられた乗客の皆様の様々な声に耳を傾けながら、原型をとどめないレベルの改善を行ってまいります。まずは今年10月の大型改編にご期待いただけますと幸いです。

佐藤:現在『TRAIN TV』はシステムやリソースの都合上、朝から晩まで同じものが流れ続け、1週間ごとに変わる構造になっています。ただ、月曜日の朝に視聴するのに最適な番組、あるいは金曜日から週末にかけて見たい番組など、シチュエーションやモーメントを考慮した最適な番組はそれぞれにあると思っています。また、暑い時には涼しげで癒されるような番組が流れたり、あるいは現実の景色や位置情報と連動した番組が流れたり、最終的にはそういうところを目指したいと思っています。

■関連リンク
『TRAIN TV』公式WEBサイト:https://ttv.jeki.co.jp/

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