激務イメージのエンタメ業界で男性マネージャーが育休取得 取得者本人と担当者が語るUUUM流“令和の働き方”
育児が気づかせてくれた“人生のコントロールの仕方”
ーークリエイターのマネジメント業務は時間が不規則で、休みが取りにくいイメージがありますが、育休を取得された前後で働き方や働き方に関する考え方に変化はありましたか?
相澤:育休を取る前は仕事に追われていたというか。当時は1日中仕事をして、余った時間をプライベートや生活に費やすタイプだったので、仕事次第で自分の生活が変わってしまって、自分の人生をコントロールできていないような感覚がずっとありました。
そういう働き方を変えたいと思っていたところ、休暇を取ったときに仕事は大事だけど、根底はやはり自分の生活や家族だと改めて感じたんです。それからは1日のうちの何パーセントを仕事に使うかを自分のなかで定めて、私生活や家族の時間がちゃんと取れるように、スケジューリングや計画性を意識して働くようになりました。
ーー育休をきっかけに時間管理に意識が向くようになったというのは興味深いです。QOLが上がりそうですね。
相澤:時間管理に意識が向くようになったのは、育休中に家事を経験したことも影響しているかもしれません。家事と育児はマルチタスクで、何かをしているときに子どもが泣き始めたり、次の予定が迫っていることもあり、予定通りに進まないことが多々あります。臨機応変さが求められるこの経験は、普段の仕事とは異なる頭の使い方を必要としました。仕事に復帰した際には、家事で培ったスキルがタスク処理の効率向上に役立つと感じる場面がありました。
ーー担当されているのはお子さんが活躍するチャンネルですが、育休復帰後、担当クリエイターに対して新たに感じたこと、気づいたことはありますか?
相澤:親御さんたちと会話する際に、いろんな苦労をされて今があるんだなと思うようになりましたね。それまではお仕事の面でしか接していない部分もありましたが、僕らとの会議が終わったあとに子どものお世話や食事の準備をしているという風景がリアルに想像できるようになったので、会話が増えましたね。
ーー育休が人生でも仕事でもターニングポイントになったんですね。前職は制作会社にいらっしゃったとのことですが、以前の職業を続けていたら育休はとれていたのでしょうか?
相澤:制度としてはあるのかもしれませんが、前職の業界はかなり多忙でして。有給休暇を取るのでさえもはばかられるという状態でしたね。
ーーエンタメ業界のなかでも、環境が整っているUUUMだからこそ取得できるんですね。男性の育休取得率87.5%という数字が出ていますが、これまで男性の育休取得にはどういった課題がありましたか?
鈴木:相澤さんの話にもありましたが、取得するまで後ろめたい気持ちは課題の1つです。僕も子どもが2人いるので理解できるのですが、取得する側は当然そういう気持ちになる。ひとりで抱え込んでしまい、なかなか言い出せないというのは今後もあるのかなと思っています。
ーー男性社員の方が育休を取りやすくするために、企業としてどういったことに取り組まれたのでしょうか?
鈴木:実際に取得している人がいることを社員が実感できることが1番だと思っています。会社として取得を推奨する発信をしていますし、役職が上の社員の取得も進んでいる状況です。UUUMでは育休を取得するのが当たり前だということを、従業員自身が示せていると感じています。
また、弊社では2023年に育休を考えている社員に向けて男性、女性それぞれに「育児休暇の手引き」という動画を用意しました。育休を取得するために必要な準備や申請の仕方を分かりやすく説明するとともに、気持ちの面でも後押しできるような働きかけを動画を通して行っています。
ーーエンタメ業界、特にクリエイターのマネジメントに従事されている方々の“令和の働き方”についてはどう考えていらっしゃいますか?
鈴木:それぞれの人のステージに合った多様な働き方への対応と、事業の持続性・成長を両立できる働き方が、令和の働き方だと思っています。弊社が取り組むサステナビリティでは、「世界を切り拓く 人材の育成」と「誰もが働きやすい環境」というマテリアリティをその1つとして掲げていますが、「誰もが働きやすい環境」というのは人によってさまざまだと思いますし、ただ働きやすいということだけではなく、事業の持続、成長はセットだと考えており、そのいいとこ取りができる働き方が令和らしい働き方なんじゃないかなと思っています。