鈴木新彩アナと仕掛け人に聞く、テレ朝が“ポッドキャスト事業”で目指す場所

現代の音声コンテンツのキーは“曖昧さ” ぼんやりしたものこそ愛される時代に?

ーー鈴木さんが今後番組でやってみたいことはありますか?

鈴木:やりたいことはたくさんあります。まずは友達を呼びたいですね。この前友達と3人でご飯を食べているとき、1人が「2年間付き合っている恋人と別れようかと思うんだけど、情があって別れられない」と話したら、もう1人の子が「情は経年とともに腐りゆく呪物だ」と言い始めたんです。私としては友達の発言がすごく好きだなと思って。アナウンサーが友達と普通の会話をしてるところを流す番組って、あんまりないと思うんですよ。アナウンサーらしくない、普通の24歳のリアルな会話をお届けしたいです。

 あとは人の生い立ちや思考の根源をたどるのが好きなので、いろんな人の人生をたどる企画もやってみたいですね。バラエティ番組を制作している方々にも、面白い人がすごく多くて。たとえば『しくじり先生』の北野さんは、大阪の公立高校に通っていたらしいのですが、「みんなが阪大を目指す中で、まったく勉強せずに京大に受かったら、みんな俺を羨むだろう」と考えて、まったく勉強せずに毎日ユニバに行って、それを証拠としてSNSに上げていたらしいです。めっちゃ変わってますよね(笑)。ちなみに、結局受験はしくじって2浪したそうです。そういうテレビの中の人の面白さも、知っていただけるようなコンテンツに挑戦したいです。

ーー藤森さんはどのような構想を描いていますか?

藤森:まず短期的に目指すのは、リスナーの方々に愛される番組作りをしていくことですね。その先で、今年度中に1つでも何かしら収益化できればと考えています。利益を追い求め過ぎても良いコンテンツは作れないと思ってるので、バランスを模索していきたいです。最終的には、“インターネットラジオ局”と呼んでいただけるぐらいにたくさんの番組を作って、すべての番組にファンがいて愛されている状態を作りつつ、ビジネスとしても成立させるのが理想です。

 番組作りでいえば、今のラインナップに近いものを作っていくと思います。音声コンテンツがなぜ流行ったかの理由を、「ためになる情報を得られるから」と分析する人もいますが、最近は少し違う方向のコンテンツも増えていると思っていて。ここ2、3年でいうと、「学びになることだけではなく、ただただ番組ホストの話を聞きたい」、そういった“人の魅力”を中心に据えた番組が増えていると思っています。企画としては“曖昧さ”が求められているんじゃないかなと感じています。
『聴くテレ朝』でどの方向性の番組を作るかをカチッと決めていないのは、人の魅力を引き出すことを大切にし、企画としては決めきらず、曖昧なものに取り組み続けたいからでもあります。

ーー先ほどの鈴木さんのように、普段の友達同士の会話だったり、何気ない生活だったりをちょっと覗き見するような感覚ですね。鈴木さんはアナウンサーとして、そして一人の人間として、これからどんな方向を目指していきたいですか?

鈴木:長期的な目標を立てるタイプではないので、10年後のことはわからないですが、目の前のことでいうと、テレビ局にいることを最大限活かして仕事の幅を広げたいです。テレビ朝日はテレビだけでなく、YouTubeも、イベントも、ポッドキャストもやっているので、この環境を最大限活かして、自分の好きなものをマスに広めるお手伝いができたらいいですね。あとはまだアナウンサーとして1年半しか活動していないので、やらせていただいていることを高めていくのが、今の自分に1番必要なことだと思っています。

 自分次第でいろんな経験をさせてもらえる環境だからこそ、“良いものを世に広めたい欲”が生まれたので、テレビ朝日に入って本当に良かったです。この仕事を通して、自分に新しい思考が生まれることがすごく楽しいし、1年後や10年後に自分はどんな考えを持っているんだろう、とワクワクします。

ーー未来の自分に期待ができる状態ってすごく素敵ですね。

鈴木:私の場合、元々アナウンサーになりたいと思っていなかった中で、テレビ局に入って、『Mステ』のサブMCになって……と想定外が起こりすぎて、その後の自分の未来をとても想像できていませんでした。それでもいただいた仕事をなんとか頑張っていたら、自分の中に新しい思考が生まれてくるんだと気づけました。元々明確なビジョンがあったら、逆に生まれていなかった感覚なので、そこも楽しさだなと思います。

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