ユーモラスなAIって本当? Xの注目機能「Grok」を試してみたらジョークがイマイチすぎた
X(旧:Twitter)はAIチャットボット「Grok」の提供範囲を、「X Premium Plus」から「X Premium」へと拡大した。「ユーモアモード」などユニークな機能を備える同AIチャットボット。「皮肉を言う」という噂が本当なのか、また実用的なのかどうかを、実際に使って試してみた。
日本語にも対応する「Grok」 ユーモアの実力は?
まずは基本的なところからおさらいしていこう。GrokはAIチャットボットとして、ユーザーの質問に答えたり、情報を提供したり、推論や推理を働かせることができる(これは『ChatGPT』など他のチャットボットでも同様だ)。筆者の環境ではXのメニューからGrokにアクセスしたときは英語表示だったが、「日本語で話して」と入力することで、日本語でのやり取りが可能となった。
Grokでは画面上部から、「標準モード」「ユーモアモード」を切り替えることができる。Grokによれば、標準モードではAIが単純に答えを提供するのに対し、ユーモアモードではユーモアやジョークを交えて答えを提供するという。
具体例として、Grokに「宇宙飛行士の数は?」と尋ねると、ユーモアモードではジョークを交えた返答が返ってくると案内されている。しかし、実際に同様の質問をしてみると、標準モードでもユーモアモードでも、その回答は変わらなかった。これは、Grokが日本語にまだ最適化されていないことが原因かもしれない。
一般的な質問は問題なし ただしハルシネーションは発生する
それでは、Grokに普通の質問をしてみよう。「ゲーテの詩の要約」はできなかったが、「円安の今後の見通し」については、ある程度的確な状況説明をしているようだ(ただし、これが実際の状況を元にしたものなのかについては疑問が残る)。
身近な情報として、最寄り駅(秋葉原駅)のグルメ情報を聞いてみた。回答にある「六厘舎」は著名なラーメン屋だが、肉そば専門店ではなくつけめんで有名で、なおかつ秋葉原に店舗はなく、上野店が最寄りとなっている。このようなハルシネーション(幻覚)が発生してしまうので、ローカルな情報にはまだまだ弱い印象だ。
日本語話者にはイマイチ 今後のモデル調整に期待
イーロン・マスクの肝いりである、Grok。実際に使ったうえで、日本語話者の目線で感じた弱点は、やはり日本語へのローカライズが進んでいないことだ。試しにジョークを聞いてみても、英語のジョークを直訳したような内容で、いまいち理解に苦しむものだった。
AIチャットボットの分野では、OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」など、さまざまなプレイヤーがしのぎを削っている。直近ではOpenAIが東京オフィス開設と同時に、日本語に最適化されたカスタムモデルを発表している。また参照情報を明示することでハルシネーションを抑える仕組みを導入しているものも存在し、いずれの点でもGrokは遅れを取っていると言わざるを得ない。Grokがこれらに打ち勝つには、まだまだAIモデルのトレーニング・調整が必要な印象だ。
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