カシオの技術を結集した新たな『CELVIANO』ーー開発者の証言から紐解く『AP-750』の魅力
CASIOが2月9日、電子ピアノ『CELVIANO』新製品となる『AP-750』を発売する。
『CELVIANO』は1991年に1号機が誕生。「AP(Advanced Piano)音源」や「ナチュラルハンマーアクション機構」、内蔵したCDプレイヤーとの演奏など独自のシステムを提案した。名前の由来はフランス語の「Cerveau」(頭脳)と「Electronics」、「Piano」から採った「頭脳を持った新時代のデジタルピアノ」を表現した造語だ。
新作『AP-750』は4チャンネル8スピーカーによる、新音響システム「グランドフォニックサウンドシステム」を搭載。さらに「C.BECHSTEIN(ベヒシュタイン)」社と共同開発した音色「ベルリン・グランド」や「ハンブルク・グランド」、「ウィーン・グランド」といった世界的に有名なグランドピアノの質感を再現した音色を味わえる。
さらに白鍵は木材(スプルース材)と樹脂のハイブリッド構造、ペダルはダンパー、ソフト、ソステヌートの3本ともに連続可変式となっている。さらに新機能である液晶部分「ビジュアルインフォメーションバー」では打鍵強度やペダルの踏み込み量、メトロノームなどが表示され、さらに最大270秒まで常時録音できる「インスタントリプレイヤー」も採用された。
待望されていた本機種の発表会では大阪音楽大学の准教授・赤松林太郎氏、ピアニスト・鐵百合奈氏が演奏を交えながら、使い心地を解説。鐵氏は「レッスン時に客観的な『ビジュアルインフォメーションバー』や『インスタントリプレイヤー』があることによってコミュニケーションが円滑になる」と話す。
赤松氏は「10年近くアンバサダーを務めて、音の豊かさ。8台のスピーカーで出ているけど耳元で違和感がない音。ホールのように響く。指先に託した想いやイメージを耳でキャッチできる。演奏家に寄り添う商品開発だ」とコメント。
両者の演奏は会場の大きさの都合もあってPAシステムを使っていたものの、『AP-750』の豊かな音色を体感できる、さながらクラシックコンサートのような空気感だった。
今回の発表におけるハイライトのひとつが「ビジュアルインフォメーションバー」と「インスタントリプレイヤー」の実装であったことは間違いない。それについては発表会に参加していた開発本部・第一開発統轄部・第三開発部・33開発室の新野立子氏と同・32開発室の土谷達朗氏に話を聞くことができた。
新機能の搭載については、土谷氏が「自身もプレイヤーだったり、お子さんがピアノを弾いている方が開発内部に多く、彼らから挙がった企画でした」とコメント。「ビジュアルインフォメーションバー」に関しても、実際に弾いている強弱が計量的に見える方がいいという意見があったという。
また、新野氏は「ペダルの踏み具合が出たり、ベロシティ感が出たり、ソフトペダルを踏むと光の加減が小さくなったり……。そんな可視化が表現力の向上につながればと思って調整させていただきました」とコメント。ビジュアル的な見せ方も大事にしたそうだ。
DAWを使っていると自然なベロシティの可視化だが、これが実際の楽器に実装されたことは革新的なのではないだろうか。そこで、もしかしたら電子ピアノがアコースティックを超える未来もあり得るか、という質問を投げると「新たな楽器の楽しみ方として、アコースティックを超えるようなものを目指しながら日々の開発を行っています」と新野氏。
CASIOの技術が結集された新たな『CELVIANO』の推定市場価格は『AP-750』が22万円、廉価版『AP-550』が18万円、さらにコンパクトな『AP-S450』が15万円となっている。多くのブランドから電子ピアノがリリースされているが、ここまでコストパフォーマンスが高い製品はないのではないだろうか。ぜひ一度触れてほしい一品だ。
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