『CES 2024』で見た最新モバイル・ガジェット事情 話題の折りたたみ式から最強ゲーミングスマホまで
最新のIT製品の見本市であるCES 2024には、スマートフォンメーカー各社からも新製品の展示が相次いだ。目立っていたのは大手メーカー以外の製品だ。価格を抑えた折りたたみ、衛星通信対応、新形態のデバイスなど、新しい感覚の製品が多く見つかった。まだ未発売の製品もあるが、最新動向のレポートとしてお伝えしたい。
誰もが買える格安折りたたみスマホ Blackview『Hero 10』
日本でも話題になりつつある折りたたみスマートフォン。閉じると手のひらサイズになるコンパクトなボディーが人気だが、購入のネックとなるのが高い本体価格だ。ファッション性も高い折りたたみスマートフォンは学生層にも気軽に使って欲しい新ジャンルの製品だが、10万円を超える価格ではなかなかすぐに買うことはできない。そこに目を付けたBlackviewが発表したのが『Hero 10』だ。
レザー風仕上げの本体は手に持ってみると心地よく、本体をたたむとスマートフォンというよりも化粧品のコンパクトのような見た目となる。閉じたままでも使えるサブディスプレイを搭載しているので、ポケットからさりげなく取り出してSNSの通知を見ることも可能だ。また、カメラは1億800万画素と高画質で、閉じたまま撮影できるため、写真や動画をすぐに撮影してシェアも簡単だ。通信方式を4Gとすることで低価格化を実現し、現在市販されている折りたたみスマートフォンの半額程度になることが期待されている。
ライブ配信専用の回転式カメラ搭載モデル SHIXI『Seevi』
誰もが気軽にライブ配信を行える時代だが、スマートフォンのフロントカメラは画質が低く、室内など照明がやや暗い場所では自分の顔も暗く写ってしまうことがある。またお気に入りの商品を紹介しようとしたとき、手に持った商品ではなく顔にピントがあってしまうこともよくあるだろう。『Seevi』はそんなライブ配信の不満を簡単に解決できるスマホ型の端末だ。
『Seevi』はスマホの本体上に標準と望遠2つのカメラを搭載。しかも前後に手動で回転させることができる。さらにふたつのカメラの映像を同時に配信も出来るのだ。4Gや5Gを内蔵せずWi-Fi接続のみ対応のため単体で使う場合はWi-Fiや他のスマホが必要ではあるものの、アプリストアからメジャーなアプリをインストールすれば普通のスマートフォンのように配信・SNS・メッセージアプリを使うことができる。こちらも発売日と価格はまだ未定だ。
ゲームもカメラも最強スペック! ASUS『ROG Phone8』
車でいえばスポーツカーのように、スマートフォンのパワーの限界を引き出したモデルがASUSの『ROG Phone 8』だ。ゲーミングスマートフォンと呼ばれるジャンルの製品で、現時点で発売されているスマートフォンの中で最高スペックのCPUを搭載。また画面の書き換え速度(リフレッシュレート)も超高速の165Hzで、ゲームのキャラクターの動きもスムーズだ。SNSのタイムラインを上下にスクロールさせてみると、画面が滑るように動いていく様に驚きを覚えるだろう。本体側面には指先タッチでコントロールできるゲームボタン「AirTrigger」も搭載。コンパクトなスマートフォンながら、その中身は専用ゲーム機やゲーム用PCを超える性能を持つ。
ゲーム専用モデルと思いきや、カメラは5000万画素、しかもジンバル機能を搭載している。つまり『ROG Phone 8』を手に持ち走り回りながら動画を撮っても、ほぼブレない映像が撮れるのだ。他社のスマートフォンも強力な手振れ補正対応モデルがあるが、『ROG Phone 8』なら三脚不要で街歩きのVlogも美しく撮影できる。撮影したあとの動画の編集も『ROG Phone 8』なら快適に行えるだろう。ゲーム用のみならず動画撮影スマートフォンとしてもすぐれた1台だ。海外での価格は1099.99ドル(約15万8000円)から。日本でも年内に発売されると思われる。
登山やハイキング、災害時も安心な衛星通信対応Ulefone『Armor 23』
「Starlink」の登場などで、最近耳にする機会が増えた衛星通信。これに対応するのがUlefoneの『Armor 23 Ultra』だ。本体厚さは12.75mm、重量は332gと大きく重いが、IP68の防水防塵対応に加え、IP69K、MIL-STD-810Hなどタフな性能に優れている。それでいてスタイリッシュなデザインなので、普段使いするスマートフォンとしてスーツ姿などにも合いそうだ。海外での価格は529.99ドル(約7万9000円)。
中堅メーカーの製品ながら、『Armor 23 Ultra』は衛星通信に対応している。そのためモバイルネットワークが届かないエリア、たとえば山奥の森林の中や遠距離フェリーで移動中の海洋の中からでもメッセージの送受信や位置情報の通知が可能だ。災害時にキャリアのアンテナが故障して使えなくなってしまっても、衛星通信を使えば最低限のコミュニケーションを図ることができる。バッテリーは5280mAhを搭載し最大10日間の待ち受けも可能だ。
目が疲れないペーパーライクディスプレイ搭載 TCL『TCL 50 XL NXTPAPER 5G』
大手TVメーカーでもあるTCLはNXTPAPERという次世代ディスプレイを開発している。その見た目は一見すると普通のディスプレイというよりは紙のよう。室内のライトや屋外の光などが表面で反射せず、どんな環境でも表示が見やすい。ブルーライトも抑えられており、長時間使っても目にやさしいのが特徴だ。「TCL 50 XL NXTPAPER 5G」はそのNXTPAPERを搭載した最新モデルである。2024年中に海外で発売予定、価格は未定。
屋外でスマートフォンを使うことの多い職業についている人にも向いているし、長時間画面を見続けることに健康的な不安を覚える子ども向けの端末としてもお勧めできる。24時間スマートフォン無しでは生きていけないなんて人や、最近視力の低下が気になる人もNXTPAPERディスプレイのスマートフォンを一度試してみるといいかもしれない。液晶から有機ELへとスマートフォンのディスプレイは進化してきたが、次の時代はNXTPAPERがメジャーな存在になるかもしれない。
ARグラスとタブレットが合体した近未来のワーキングデバイス Sightful『Spacetop』
アップルの『Vision Pro』など、顔に装着するデバイスの話題が増えている。メガネの形をしながらスマートフォンを接続して画面を表示できるARグラスも製品の種類が増えてきた。『Spacetop』はその話題のARグラスを統合したちょっと変わったタブレットだ。ノートPCクラスの大きさのキーボードが本体で、この中にAndroidタブレット機能を搭載。最新の5G通信にも対応する。
タブレットやノートPCならディスプレイが必要だが、『Spacetop』はその代わりにARグラスがケーブルで接続されている。つまりメガネをかけてキーボードをたたくスタイルで使うことができるのだ。その様は横から見てみると未来のオフィスや学校での風景を見ているようである。ARグラスは100インチ相当の大きさを表示でき、最大6つの画面を投影できる。仕事、ゲーム、SNS、動画のように、画面ごとに異なるアプリを表示して切り替えて使えるのだ。仕事中にちょっと息抜きしても周りにばれないと思いきや、ARグラス内の画面を別のスマホで確認する機能もあるので、使い方には注意しよう。価格はビジネスや教育向けということもあり2150ドル(約31万8000円)と高価。だがリモートワークの幅を広げるタブレットとして、ちょっと気になる製品ではないだろうか。
超小型スマホの復活はある? Phonemax『Q9 mini』
『iPhone 13 mini』の後継機が出なかったことで、小型のスマートフォンを好む人は「スマホ難民」になってしまったかもしれない。楽天モバイルの『Rakuten Mini』や、バルミューダの『BALMUDA Phone』など、ここ数年出てきた超小型のスマートフォンはほとんど市場から消え去ってしまった。だが海外ではまだミニサイズモデルの人気はあるようだ。Phonemaxは『Q9 mini』という手のひらサイズの製品を展示していた。
『Q9 mini』の画面サイズは4インチ。これは『iPhone 5』と同じ大きさだ。今から見ればかなり小さいが、子ども用にぴったりな大きさであるだろうし、通話とメッセージができればいいというライトユーザーには十分なサイズだ。場所も取らないため胸ポケットにもすっぽりと納まる。カメラは800万画素だがNFCを搭載しておりモバイルペイメントに対応。難点があるとすればPhonemaxはこのモデルを開発しただけで、他のメーカー向けの製品として提供予定なこと。つまりどこかの企業が「超ミニスマホを出したい」と考え、自社ブランドでこの『Q9 mini』をPhonemaxに製造してもらわなければならないのだ。そのため製品がいつ出てくるかは未定だ。
iPhoneでも快適キーボード入力 Clicks『Clicks Creator Keyboard』
最後に紹介するのはスマートフォンではなくiPhoneと一体化するキーボード付きケースだ。『Clicks Creator Keyboard』はiPhone 14 Pro用、iPhone 15 Pro用、iPhone 15 Pro Max用の3種類の製品が発売される。ケースを装着するとiPhoneが縦に長くなってしまうが、両手を使って保持できるので持ち具合は悪くない。Bluetoothではなくケース内部の端子で直接接続されるのでペアリング操作も不要だし、キーボードを押すと即座に画面に文字が表示される。
英文字のキーは個別に独立しており、親指を使ってしっかりと押し込める。フリック入力派には使いにくいと思うかもしれないが、ノートPCなどでタッチタイピングをしている人には同じキー配列で日本語をローマ字入力するのも使いやすいだろう。今は無くなってしまった往年のスマートフォンの名機、「BlackBerry」を思い出す人もいるかもしれない。価格は139ドル(約2万円)から。人と違った「iPhone」ケースを求めている人にも向いていそうだ。
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