まさしく「ゲームの当たり年」 2023年を印象的な注目作とともに振り返る

2023年のゲーム振り返り&印象的な注目作ピックアップ

大規模タイトルではないけれども、ぜひ遊びたい3つのピックアップタイトル

デイヴ・ザ・ダイバー
デイヴ・ザ・ダイバー

 もちろん、大作以外でも優れたゲームはいろいろと登場している。せっかく2023年の振り返り記事なので、特に印象に残った大作ではないゲームをピックアップしてみよう。

 まずは、昼はダイバーとして魚をとり、夜は寿司屋の運営を行うゲーム『デイブ・ザ・ダイバー』だ。月刊コロコロコミックでコミカライズ作品が連載されているし、その作り込みから大きな話題になったゲームなので知っている人も多いはずである。

 前述のように、ダイバーとして魚を捕まえて夜の寿司屋で売るというゲームなのだが、ゲームを進めていくとさまざまな要素がすごい勢いで登場してくる。いけすで魚を育てたり、海洋生物の写真を撮ったりというのはともかく、急にアイドルを応援するオタクのミニゲームがはじまったり、海原雄山みたいな人が出てきて寿司対決をしたりするわけだ。

 目まぐるしいイベントが盛りだくさんで、その勢いに飲まれているときは喜びが続くだろう。Nintendo Switchでも遊べるので、未プレイの人はこの年末年始にこのダブルワークを楽しむのもアリだ。

ViewFinder
ViewFinder

 インスタントカメラで撮影した写真が実体化するパズルゲーム『ViewFinder』も旧Twitter(X)などで話題になった作品だ。これは文章で説明するより映像を見てもらったほうが早いのだが、写真の中身が現れる瞬間が本当にすごいのである。

 たとえば、高いところに行きたいが足場がない。そういうときは階段の写真をかざしてみれば、その場に写真の中の階段が現れるのである。思わず感嘆の声が漏れるようなアイデアがゲームとして実現しているのである。

 ただ、本作はその驚くアイデア止まりになってしまった印象はある。もちろん飽きないような仕組みを用意してくれてはいるものの、バリエーションはほどほどで、場合によっては少し方向性の違う錯視パズルが出てくることも。とはいえ、アイデアは目を見張るものがある作品だ。

『Season: A letter to the future』ゲームプレイトレーラー

 最後に『シーズン ~未来への手紙~』を取り上げよう。このゲームは非常に魅力的だったのであるゲームメディアに記事を書かせてもらおうとしたのだが、「あまりにも記事が読まれないゲームなので……」と断られてしまった悲しい作品でもある。

 本作は端的にいえば「エモくて映えるゲーム」だ。主人公のエステルが滅びゆく世界を自転車で旅しつつ、写真や文章などでさまざまなものを記録して残そうとするアドベンチャーゲームである。

 自転車に乗りながら風を感じる景色、不思議な神が祀られているピンク色の花畑、崩壊したクレーンが自然に飲み込まれている景色など、穏やかなBGMと環境音も相まってたまらない光景ばかりが目に飛び込んでくる。どこを切り取ってもあまりにもエモい。

 一方、そういう世界を「どう記録するのか」というのも本作のポイントだ。主人公はスクラップブックを作って未来に残す手紙を作らなければならず、見えている景色をどう切り取るかで残されるものが変化していく。

 「映え」や「エモい」という表現は対象を魅力的なものに見せるが、しかし正確に物事を表現しているとは言い難い。ましてや人が残した文化が対象となれば、ただ美しいだけでなくその裏に何かあるのだ。

 ……という話にならず、ただ「映え」や「エモい」という段階で終わればこのゲームもより注目されたのかなと思わなくもない。ともあれ、『シーズン ~未来への手紙~』は特別な世界を味わえるゲームになっているだろう。

 さて、このようにゲーマーとしては激動の2023年であったが、2024年もいろいろと注目ゲームが登場する予定である。そちらについては年始の記事でまたお届けしよう。それでは、遊び残したゲームとよい年末を。

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