YouTubeで話題の「悪いが今は青春中」はなぜヒット? 演出・戦略の巧みさを分析

 壱松エンターテインメントが制作するYouTubeチャンネル「悪いが今は青春中」。野球部の日常をコントにするYouTuber、あめんぼぷらすのおまつこと松井尚斗(まついなおと)が監修に入っていることでも話題を集めている。2023年11月12日に投稿された「ずっと好きでした。」は急上昇ランク入りを果たした。この記事では、そんな「悪いが今は青春中」のストーリーや演出の魅力について考察する。

監修するのは「あめんぼぷらす・おまつ」

 悪いが今は青春中(以下、悪春)を監修する松井尚斗(おまつ)は、社長、漫画原作者、登録者数180万人超のYouTuberといった顔を持ち、多彩な才能を発揮している。

 自身が経営する会社では、YouTubeをメインとしたエンターテインメント作品の企画・制作をしており、「バイトな日常」や「不運なマッチョ」といったYouTubeチャンネルの制作・運営も行っている。また、あめんぼぷらすではプレイヤーとして、野球部のあるあるを発信する。脚本を書きながら監督役として出演している。

ショートから長尺動画へ 高校生の恋愛模様を巧みに再現

 悪春はカイ・コウタ・アカネ・カレン・シオリ・ジュリの6人の恋愛や友情を描いたYouTubeの動画作品で、約1年間にわたり250本以上のショート動画をアップしてきた。ショートでは帰りの会や掃除の時間、通学中など学校の些細な日常のワンシーンを切り取ったものが多く、好きな人が思いに気づいてくれないもどかしさや周りの女の子に嫉妬してしまう気持ちなどが画面越しから伝わってくる。

間接キスに動揺を隠しきれなかった青春の1ページ【青春あるある】

 そんなほろ苦い青春のあるあるショート動画でジワジワと視聴者を増やし、ファンが増えてきたこのタイミングで、新たな動きがあった。2023年10月にショート動画の更新を止め、10分ほどの長尺動画を立て続けに公開しているのだ。中心的人物である“カイ”のことが好きな3人の女子の心理描写や女子同士の会話がより詳細に描かれ、いままで大きく進展してこなかった物語が動き出している。約1年の時を経てようやく動き出した恋愛に、本当の高校生たちを見ているような気持ちで、同世代を中心とした視聴者が物語に没入しているようだ。

 それを表すように、コメント欄にはカイのことが好きなアカネ・カレン・シオリのそれぞれに対する共感や応援が並んでいる。

“悪春”は完結に向かうのか?

 恋愛映画は思いが報われること・恋愛が終わることでエンディングとなることが多いが、“悪春”は果たしてどのようなエンディングを迎えるのかが大きな関心となっている。あるある動画は明確な終わりがないが、恋愛映画であればいつか必ず終わりは来る。物語の佳境に入ったいま、今後の展開に視聴者の期待が寄せられている。

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