グループYouTuberは継続が難しい? フィッシャーズらの事例から“存続の秘訣”を考える
2023年10月28日、元祖グループYouTuber・フィッシャーズが、グループで活動することについて語る動画を投稿した。最近ではあるグループYouTuberに関する話題が世間をザワつかせたばかりだが、グループに属するYouTuberたちは、日々どのような想いで活動しているのか。今回は、あらためてグループYouTuberの良さや難しさ、存続の秘訣を分析してみたい。
2023年11月2日時点でチャンネル登録者数833万人、今年8月に月間再生回数4億回という大偉業を成し遂げた、グループYouTuberの代表格であるフィッシャーズ。リーダー・シルクロードは動画冒頭「“グループ系”ってむずいんですよ」と切り出すと、多くのYouTuberから人間関係や仕事に関して相談を受けていると告白。これまで多くのグループがいなくなってきてしまったことに、「めちゃめちゃ寂しい」と胸の内を明かしている。
グループYouTuberと聞いて、いま真っ先に「東海オンエア」を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。メンバー間の人間関係が今回の騒動の大きな原因とされているが、グループ内の問題とあって、おそらくメンバーや関係者だけでなく、視聴者たちも一瞬、今後の活動に焦りを感じたに違いない。東海オンエアについては現在“休憩”期間中で、幸い活動終了にはいたらなかったが、フィッシャーズの今回の動画でシルクロードが発する「続けるのが1番むずいんだなと思った」という言葉からは、全員が居心地よくグループで活動することの難しさが感じ取れる。
「ただでさえYouTubeって不規則」というように、翌日の予定が前日の夜に決まることもあるなど、スケジュール調整も難しい。シルクロードはスタッフ含め、「お互いの連携が取れないと終わる」と発言しているが、フィッシャーズはメンバー同士が丁寧にコミュニケーションをとってきたからこそ、13年という長い期間トップを走り続けているようなのだ。もときは今回の動画でグループでの活動がうまくいく秘訣について、「お互いに気を遣って、譲ったりする」と発言。ダーマの「(お互いに)相談できていなかったらヤバかった」という話や、「落とし所を考えられるチームでないといけない」というシルクロードの言葉からは、メンバー間で話しあい、折り合いをつけることが、グループの存続に必要不可欠なものであることがわかる。
フィッシャーズは中学生時代の同級生で結成されたグループだが、同じように学生時代の友人を中心につくられたグループは、現在無期限活動休止中のアバンティーズ、東海オンエア、コムドットなど数知れず存在する。彼らの場合は、友人だからこそ出せるノリや間、長い期間ともにしてきたことによる信頼関係、掛け合いが魅力のひとつで、それぞれのメンバーの個性を活かした企画が作れることが最大のメリットだ。さらに複数人だからこそできる企画や、作業分担により投稿頻度を高められるといった利点もあるが、もともと遊び感覚だったYouTubeが職業となったことで環境が変わり、活動や人間関係に対する意識にズレが生じるグループが出てくることは想像に難くない。さらに、YouTubeをはじめるにあたり集まったメンバーでつくられたグループや、メンバーの卒業や新メンバーの加入を繰り返すグループに関しては、人間関係を築き、維持することが、ときとして悩みの種になるのは当たり前のことではある。
メンバーの個性を活かした幅広い企画で、さまざまな視聴者を楽しませられるグループYouTuberだが、その魅力をつくり出せるのはメンバー一人ひとりが担っている。フィッシャーズの動画からは、円滑な人間関係を保つことが人気者でいつづけられる理由であることがわかったが、結局のところ、グループYouTuberの良さと難しさは、奇しくも“人間関係”にあるといえるだろう。