阪神、巨人、楽天……「ドラフト会議の舞台裏動画」にみた各球団の葛藤

 『2023年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』が10月26日に開催された。各球団のYouTubeチャンネルでは、ドラフト会議の裏側を収めた動画をアップしており、それらを見るとドラフト会議には、様々なドラマがあるのだと気付かされる。今回は阪神タイガース、東北楽天ゴールデンイーグルス、読売ジャイアンツのドラフト会議の舞台裏に関する動画を取り上げていく。

岡田監督の場を和ます一言

 まず2023年に18年ぶりにリーグ優勝を飾った阪神タイガース。平塚克洋氏や吉野誠氏などかつては阪神を選手として支えたスカウト陣が、険しい顔を浮かべながら会議室で座っているなか、岡田彰布監督が入室。吉野氏から1位指名を決めている青山学院大学の下村海翔投手は他球団と競合する可能性が低いと聞かされると、岡田監督は「(他球団が)指名いったらどうする?」とポツリ。その瞬間、会議室内は笑いに包まれ、重苦しい空気を和らぐ。

 指名が始まると吉野氏の読み通り、下村投手の一本釣りに成功。動画内では下村投手を担当していた吉野氏への簡単なインタビューが行われ、下村投手の魅力として「ストレートが最速155キロ投げれるピッチャーで、変化球もカーブ、スライダー、カット、チェンジアップ、ツーシームって結構多彩に投げられて、なおかつ制球力が高いピッチャー」と説明。続けて、「1年目から期待しているピッチャーになります」と期待を寄せた。

 下村投手の交渉権を獲得した時同様、2位に指名した四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスの椎葉剛投手の名前が告げられると、担当スカウトの渡辺亮氏にもカメラが向けられ、「実戦経験を積めばすぐに使える投手だと思う」とコメント。また、「僕自身も初めてのピッチャーの担当なので、本当に楽しみなピッチャーがとれて嬉しく思います」と語る。スカウトからすれば“初めて担当した選手”の獲得は一塩だろうが、“初めて担当した投手”というのも感慨深いものがあるのかもしれない。そう思わせてくれる渡辺氏の言葉だった。

 その後も指名された選手を担当した各スカウトのコメントが続き、最後は統括スカウトの畑山俊二氏が「これだけ重複があったなかで単独指名できた」「本当に戦略が当たったなというところで、すごく満足しています」と振り返った。今シーズンの阪神は采配が冴えに冴えたが、ドラフト会議でもシーズン通りの“読み”が発揮できたため、下村投手の交渉権を獲得できたのかもしれない。

ドラフトと縁が深い男

 阪神の動画は約18分だったが、次に尺が長かったのは楽天。まず前日の会議に出席したスカウト陣をはじめ、今江敏晃新監督や石井一久前取締役シニアディレクターが、選手の映像を見ながら議論している様子が映し出されている。そして、ドラフト会議当日。スタッフ一同、会議室内で願掛けのためにカツカレーを一緒に食べる。食事中はワイワイしていたものの、最終確認の話し合いが始まると空気は一転。ピリピリした雰囲気を背負いながら、今江監督達は本会場に足を運ぶ。

 阪神の動画と同様、担当スカウトが指名した各選手に電話しており、その選手の魅力を語っていく。また、同球団の代表取締役社長を務める森井誠之氏が「もうね、100点満点」と総括。今江監督は「疲れました」と漏らす。「即戦力もそうですし、これからの選手をしっかり育てていかないと、っていうところで、そういう意味ではある程度バランスよくとれたんじゃないかなと思います」と手応えはあったと語った。

 個人的に楽天の動画を見て感慨深かったことは、2023年1月に現役引退を表明して、楽天のスカウトに就任した岩見雅紀氏が映っていたことだ。2017年当時、岩見氏を指名するか話し合っている時の様子は『バース・デイ』(TBS系)で取り上げられていた。ドラフトで指名されるまでの選手として姿だけではなく、次は選手を指名するスカウトとしての姿が見られたのも舞台裏動画の醍醐味かもしれない。

【完全密着】プロ野球ドラフト会議2023の裏側

ドラフトは「3000点」

 約4分と一番尺が短い巨人の動画では、1位指名した時のシーンがメイン。巨人は中央大学の西舘勇陽投手を指名するが、日本ハムと被ったため、交渉権獲得は抽選に。西舘投手を担当していた円谷英俊氏は終始落ち着かない様子。阿部慎之助新監督がくじを引く映像を眺め、見事当たりを引き当てた時には、ガッツポーズした数秒後に安堵の表情を浮かべる。円谷氏だけではなく、他のスカウト陣も歓喜の声を上げて会議室内は大騒ぎとなった。

 後半には見事に大仕事をやってのけた阿部監督にカメラが向けられ、「やりました」と満面の笑み。当たりを引いた時の感想を聞かれると「壇上の下からブワってなにか来た。それぐらいゾワッとした」とエキサイトしていることが伝わる返答。そして、「今回のドラフトは何点だったか」という質問には「3000点」と答え、とにもかくにもエキサイトしていることが十分伝わった。

出ました「最高で~す!」阿部慎之助監督大仕事で、3000点ドラフト🙌

 ドラフト会議はプロ志望届を提出した選手だけではなく、スカウトの努力が報われるのかが決まる瞬間でもある。スカウトの思いを背負ってプレーしている選手も多いだろう。今後はその辺りも含めて選手を見るとプロ野球はますます面白く観戦できそうだ。

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