週末だけで192都市を訪れたサラリーマンが語る“自分の中の常識が崩れた瞬間” 海外旅行に魅せられ続ける理由とは?

東松寛文が語る“自分の中の常識が崩れた瞬間”

 広告代理店の会社員として働きながら、週末の時間だけで、世界一周を成し遂げたリーマントラベラーの東松寛文氏。世界を一周した後も海外を飛び回り、これまでに81カ国・192都市へ訪れている。

 そのユニークな生き方は、各地から注目を集め、本の出版・メディアへの出演・講演会の開催と、活躍の場は年々拡大。全国各地に多様な生き方を伝えている。

 東松が海外旅行に魅せられる理由とは、なんなのだろうか。また、どのような心構えでSNSの発信をしているのだろうか。今後の展望も含めて話を聞いた。

リーマントラベラーの原体験 憧れのNBA観戦で人生への考え方が変わった

ーー海外旅行を好きになったきっかけを教えてください。

東松寛文(以下、東松):きっかけは、社会人3年目に入ってすぐの頃に、NBAのプレーオフを観るために行ったロサンゼルス旅行でした。当時は、終電の時間まで仕事と飲み会をするような生活を送っていましたね。

東松寛文

 ある日、仕事が終わって終電に揺られながら携帯電話を見ていたら、僕がずっと憧れていたNBAのロサンゼルス・クリッパーズというチームがプレーオフに出場するというニュース記事が目に飛び込んできました。

 ふとチケットの価格を調べてみたら、約7000円だったんです。2次会のある飲み会1回分くらいの費用ですよね。行く気はなかったけどプレミアチケットが手に入るなら嬉しいし、手元にあれば激務の仕事をもっと頑張れそうな気がして、注文しました。

 ただチケットが届いてからは、デスクの前に置いていたんですけど、毎日眺めているうちに、ここにチケットがあると、見られない人が出てしまってチームとファンに申し訳ないという気持ちになって。それでGWの試合に、有給を1日取って3泊5日を確保して現地に行きました。これが海外旅行を好きになったきっかけですね。

ーー激務のなかで有給を取るのは大変そうですね。

東松:当時は、社会人にとっては仕事がすべてと思っていましたし、社内でもキャリアが浅かったので、有給を切り出すのが本当に怖かったです。辞表を出すような思いで、NBAのチケットを握りしめながら、上司にお願いに行きました。

ーーどのような反応でしたか。

 東松:1日だけということもあり、あっさりOKを貰いました。ただ、当時の僕は仕事に人生のすべてを注いでいたので、逆に引き止められないことに不安になりました(笑)

 ーー現地ではどのように過ごしたのでしょうか。

東松:非常に楽しい時間を過ごせましたが、現地でのトラブルも乗り越えられて視野が広がりました。

ーートラブルとは……?

 東松:まず、現地に行けばなんとかなるだろうと思って、チケット・航空券・『地球の歩き方』だけしか事前に準備していませんでした。ホテルも予約していなかったんですね。

 そうしたら、現地で事件が起こりました。空港に着いてバッグを開けると『地球の歩き方』が入っていなくて……。しかも、当時は無料Wi-Fiが普及しておらず、レンタルWi-Fiも持ってきていなかったので、情報を探すのにもひと苦労です。英語も話せないので、空港で地図を買って、カタコトで色々な人に声をかけながら旅行を始めました。

ーー初めての土地で英語を使って聞き込みをするのは勇気がいりそうです。

東松:そうですね。ただ、実際に現地の人に話しかけると優しく教えてもらえて、何とかなったんです。ホテルも見つけられましたし、バスケ観戦の会場にも行けました。

  あと、僕は大学でアメフト部だったんですけど、現地の人とアメフトの話をしたら盛り上がって、大学のアメフト部の公開練習を観ることもできたんです。ビーチにも行けましたし、3泊5日のなかで、予想以上に楽しめました。

 ーー旅行で特に印象に残った体験はありますか。

東松:色々な大人がいるとわかったことですね。僕の中で、大人は会社員で朝から夜まで働かないといけないという考えがあったんです。ただ、ロサンゼルスでは、平日の昼間からお酒を飲んで楽しんだり、バスケの試合を見たりしている人が多くて。こういう生き方もあるんだと視野が広がりました。僕の中の常識という名の思い込みが崩れましたね。

  また、短い休みでも海外へ行けるとわかったので、もっと色々な場所に行きたいと思うようになりました。

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