『Talk About Virtual Talent』第五回:佃煮のりお/犬山たまき
漫画家と男の娘VTuberが辿ってきた“独自のルート” 佃煮のりお/犬山たまきが語り尽くす「のりプロ」のこれまでとこれから
再出発した「犬山たまきの物語」 人気コンテンツ「対談バトル」シリーズが生まれるまで
ーーもうこの時期には犬山たまきさんには多くのVTuber仲間ができていました。コラボをする際の企画の決め方や、仲良くなるきっかけについて教えて下さい。
たまき:コラボ企画をするときはお互いの身体が動く範囲で出来ることや、互いのファンが嫌がらないかなど、リスナーに配慮しながら内容を決めています。そんな風に企画をやっていて、盛り上がった方と意気投合して段々仲良くなっていくことが多いです。
ーー2020年からは対談形式でトークをする配信がスタートしました。この「対談バトル」シリーズを企画として成立させていった流れを教えてください。
たまき:最初はマシュマロ雑談をやった時に、他の企画より数字が取れたのがきっかけだったんですよ。それをコラボ企画に採用して、内容もブラッシュアップしていって『◯◯襲来●●対談バトル』みたいなタイトルを付け始めて、という流れです。だから、初期の対談コラボって対談バトルって名前がついてないんですよね。「◯◯襲来」も最初のころは使っていなかったと思います。
一時期は「自分で呼んどいて『襲来』って言うな」みたいなツッコミもあって、たしかにと(笑)。ただ、そういう覚えやすいキャッチフレーズみたいのがないと人気シリーズにはならないと思っていたので、意識的にブランディングをしていきました。
ーー番組としてのフォーマットを整えることに注力されていたんですね。
たまき:そうですね。とはいえ、気を遣い始めたのは少し経ってからですかね。形式をちゃんと決めていくなかで「たまき君といえば対談バトルだよね」と言われ始めたのもその辺りからです。「これって持ちネタだったんだ! 頑張んないとダメなコンテンツなんだ!」と再認識しました(笑)。
ーーブッキングはどのようにされていましたか?
たまき:基本はTwitter(現:X)とかで繋がってから連絡をします。やっぱり認知されてないのに行くのは失礼だと思ってしまって。必ずボクからフォローして、フォローバックされたら打診するという流れですね。
それから、人づてに依頼するのも避けていますね。尊敬している人に「〇〇さん紹介してよ」とつなぎに使ってしまうのが、ボクはめちゃくちゃ嫌だからなんですけど。あ、でも唯一にじさんじのレオス・ヴィンセントくんだけは人づてに紹介してもらいました。というのも、彼はコラボしないとTwitter(現:X)をフォローしない主義なんですよ……。だから、同期のレイン・パターソンちゃんに「本当にごめん! レオス君とどうしても対談したいので、つなげてもらえないですか……!」ってお願いしました。その一回だけですね。
ーーたまきさんは台本などを含め、事前準備を徹底するタイプというお話をよく耳にします。対談相手とはどのようなやり取りをされているんですか?
たまき:そうですね。一ヶ月前には出ていただけませんかと打診して、相手の日程を確認して調整したら「対談コラボの日程の前日ぐらいにご連絡します」とお伝えして。トークテーマが決まったら届いたマシュマロからあらかじめボクが検閲したものをお送りして、NGがないかチェックしてもらっています。対談コラボは23時から配信なので、当日の22時45分に集合していただいて、音声チェックだけしてあとは1時間話す、という感じですね。
ーーコラボといっても、ほとんど相手方に負担がかからないようにされているんですね。
たまき:最低限の負担しかかけたくないんですよ。自分が裏で準備するのはいくらでも時間をかけてもいいんですけど、相手にお願いするのがめちゃくちゃ苦手で……。それに、みなさん時間の無いなかで来ていただいてるという意識は常に持つようにしています。1時間プラス打ち合わせ15分以上の時間を取らせないようにしてますね。
ーー15分の打ち合わせのみとなると、相手のことも相当信頼していないといけないですよね。
たまき:お呼びしている方はみなさん実力のある方々なので、本番はなんとかなるな、とは思っているんです。ただ、ボクの方では念のためイメージトレーニングを事前にしています。
相手の配信や切り抜き、ファンの傾向などを事前に調べて、こういうことを言ったらファンは嫌がるだろうから注意しよう、みたいな想定はしています。それにプラスして「この人のしゃべる時のテンポはこういう感じだから合わせて進めよう」とか「こう言ったらきっとこう返してくるよな、そしたらこう返そう」みたいな風にして事前に心構えをしています。「相手が言葉に詰まっちゃった時はこういう風にフォローしよう」みたいな部分も決めておいて、1時間なんとかするぞって。
ーーすごい……! 相手のファンがどんな反応をするか、一般的にはわからないですよね。
たまき:なので、相手のTwitter(現:X)のリプライ欄はめちゃくちゃ見ています。こういうリプライの傾向があるファンは、おそらくこういうことを言ったら嫌がるし、触れるべきじゃない、みたいなところを分析して、相手のファンにも気持ちよくなってもらえるように準備しています。こうして話してみると、ストーカーみたいですね……これどうなんですかね、キモくないですか(笑)?
ーーいやいや、そこまで配慮してもらえるのは、相手のファンも嬉しいと思います!
たまき:そうですか? えへへ……。相手のファンの方も含めておもてなししたいんですよね。なので、うちの視聴者さんにも、来てくれた方々をおもてなししてあげてねってお願いしています。たとえば「◯◯待機」とか「配信開始までの待機の言葉」ってそれぞれあるじゃないですか。もしそれを相手のファンが言っていたら、こっちも合わせるようにしてあげてねとか。あと、コラボ相手の悪口を言ったら一発BANにするから絶対に言わないでねとか。相手へのいじりも、絶対失礼にならないようにしてねと口を酸っぱくして言ってるので、うちのファンはすごく気をつけてくれています。ありがたいですね。