突如登場した「存在しない力士のカップルチャンネル」 ヨネダ2000が持つ“唯一無二の世界観”は、YouTubeの固定概念をもぶち壊す

ヨネダ2000が持つ“唯一無二の世界観”

 2023年7月9日に行われた『ABCお笑いグランプリ2023』の決勝戦において「他人に大声を出して謝る教室」というしゃべくり、コント、リズム、複数な笑いの要素を完璧に融合させた衝撃的漫才を披露したヨネダ2000。唯一無二の芸で常にわれわれの思考を混乱させ続ける彼女たちだが、YouTubeチャンネル「ヨネダ2000チャンネル」はある意味漫才以上に異彩を放っていた。

【ヨネダ2000 YouTube開始のご挨拶】 ⭐︎おまけつき⭐︎

 現時点(2023年7月)での動画投稿数はわずか「25本」。だが、そのどれもが異次元で奇才としか言いようがない。記念すべき1本目の投稿「【ヨネダ2000 YouTube開始のご挨拶】 ⭐︎おまけつき⭐︎」と題された、わずか1分45秒の動画から度肝という度肝をすべて抜かれてしまった。まず恐ろしいほどに2人の「顔が近すぎる」。鼻息が聞こえ、毛穴すら見えてしまうほどのアップ。意図が全くわからない。そしてタイトルどおり「YouTubeを始めましたので観てください」と40秒ほどの挨拶をしたあと、愛の「その通りですね」という言葉をきっかけに「おまけ」という文字と共に耳が溶けるような電子音が流れ、次の瞬間、愛がハーレーに乗ってこちらを睨みつけている写真が1分間映し出された。再生時間の半分以上を「おまけ」が占めるという前代未聞の動画に脳が焼き切れるような感覚を覚えた。

“ゆいつば”から皆さまへご報告。

 そして2本目の動画で、さらなる衝撃が脳天を突き抜けた。そこに現れたのはヨネダ2000の2人ではなく「ゆいつば」という謎のカップル。「本気(マジ)左乳(さちち)しか育たん」という意味不明な決め台詞から「今日からYouTubeチャンネルを始める」と言い出したのだ。金髪ショートヘアで船関係の仕事をしている「ゆい(26歳)」と、横綱を目指している「力士のつばさ(24歳)」は付き合って8年目。カップルの日常生活を中心に動画を投稿していくという。ヨネダ2000のYouTubeを観ていたはずが、突然スタートしたカップルチャンネルに困惑が止まらない。誤解のないように説明をしておくとこのカップルは紛れもなく誠と愛本人なのだが、本当にこの2人が存在しているのかと錯覚してしまう。あまりにも特徴を捉えるのが上手すぎる。ほかのカップルYouTuberが観たら活動に支障をきたしてしまうのではないかと心配になるほどの、絶妙なリアリティに爆笑と恐怖が同時に襲ってきた。

絵のモキュ・実写モキュ

 そして、そのなかで頭がクラクラしたのが、8本目に投稿された「絵のモキュ・実写モキュ」という動画だ。簡単に動画の内容を説明しよう。まず、画用紙に描かれた全身白タイツに真ん丸のサングラスをかけ左肩にススキが生えた「モキュ」というキャラクターが出現する。そこにまったく同じ出で立ちをした愛が扮する「実写モキュ」が現れ、そこに清水が「絵のモキュ! 実写モキュ!」というリズムに乗せて絵を交互に出し入れしていく。それが実に2分間続く、という動画だ。「という動画」だと言われてもまったく分からないと思うのでぜひ本編を確認していただきたいのだが、「成功しない」と言われている実写化において、唯一の大成功と言えるほどの圧倒的なクオリティ。YouTubeの概念すら変わってしまいかねない革命的な動画だった。「出てくるか」「出てこないか」というシンプルな二択のギャンブルがなぜこんなにも面白いのか。「いないいないばあ!」で笑った赤ん坊の時の気持ちを思い出した。

 なにも考えていないようでいて、すべて緻密な計算のもと活動しているような気もする。ヨネダ2000を知ろうとすればするほど、その底なし沼のような魅力にはまり抜け出せなくなる。もはや私は清水が言葉を発し、愛が動いているだけで笑う身体になってしまった。国はなんらかの法律でヨネダ2000のネタを規制したほうがいいのかもしれない。

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