にじさんじの大怪盗はなぜ人に優しく生きるのか ルイス・キャミーが信じる“幸せへの道筋”

ルイス・キャミーが信じる“幸せへの道筋”

 現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

 メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ数年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加してきた。

 育成プロジェクトであるバーチャル・タレント・アカデミー(VTA)からも新規ライバーがデビューし始めており、現在約150名のメンバーが所属・活動しているにじさんじ。その層の厚さで今後も大きな影響を与えるだろう。

 ルイス・キャミーは、2019年10月31日に魔使マオ・えま★おうがすととともにTwitterにて初投稿、11月3日に初配信を迎え、デビューを果たしたにじさんじライバーだ。

 腰まで伸びた薄い金色のロングヘアー、黒とワインレッドのタイトなスーツ姿、柔らかくて明るい声を持った彼女。同時期にデビューした3人が全員赤色でそろっていることもあり、同期ユニット「赤の組織」として、初期から現在まで仲の良いトリオとして活動しつづけている。

こころ優しい声と朗らかな性格 彼女を強くした“幼少期の貧しさ”

「あたし、小さいころは親が家にいなかったから、家の財布っていうことでお金だけもらって、子どもたちだけで放置されてた。ネグレクトみたいなことが起こってたの」

「親と過ごした記憶がほぼなくて、お母さんがもう何か月も帰ってこないから、ご飯どうしよう? となったときに頼りにしてたのが、3食とか5食とか入ってるちっちゃいラーメン。小学生のころの極貧飯でいちばんだったのは、餃子の皮を焼いて醤油につけて食べるみたいな」

 2021年1月に配信したとある雑談枠で、「最近食べた一番高いカロリーは?」という話題のなかで「ご飯を食べて」「三食食べて」「三食おじさん」というコメントが流れた。そこから彼女が広げた話題は、そこまで続いていたフワっとした話題から一気に変わり、ハードかつタイトな自身の生い立ちについてであった。

【雑談】深夜のおしゃべり【ルイス・キャミー/にじさんじ】

「血のつながってない居候のお姉ちゃんがいたんだけど、そのお姉ちゃんも中々の夢女子でね。ノートに自分の夢小説とか書いててね、めっちゃ煮詰まってたね。なんだこれはって思ってた。『封神演義』『SAMURAI DEEPER KYO』とかをそこで知った」

 後のアニメやマンガとの出会いと語りつつ、さらりと「血の繋がっていない居候の姉」の存在が明かされるなど、リスナーも絶句するほどの壮絶な話題だったが、カラっとした口調でこう答えた。

「ルイスの人生は闇が深いですが、ポジティブに生きているので大丈夫ですよ。家はめっちゃ豪華だけど、そこに住んでいる兄妹たちはみんな貧乏……みたいな。すごい苦しい生活をしてはいた」

「でも、自分がやられて嫌な事は人にしないようにしよう。ひとに優しく生きていたら、なんか幸せになれるんじゃないか? と思って生きてきた」

 幼少のころに目覚めた彼女のポジティブなマインドや幸せを願う心は、菩薩の悟りにも似たものに見えつつ、強靭かつタフな精神性の表れにも思える。おなじような境遇にある人にとって、彼女のようなしたたかさを携えた精神は、理想的であり幸運にも映るかもしれない。

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