「アーマード・コア」ホワイト・グリントにはなぜ“敵のパーツ”が? 設定と戦歴から考察する2つの説

「AC」ホワイト・グリントを考察

 シリーズ約10年ぶりとなるフロム・ソフトウェアの新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』(以下、AC6)が発売されるとあって、「アーマード・コア」シリーズを遊んだ人はもちろん、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』や『ELDEN RING』で同社のゲームに触れたプレイヤーからも注目が集まっている。つい先日には、機体であるアーマードコア(以下、AC)の操縦に特化した施術を受けた存在、“強化人間”に焦点を当てたトレーラーも公開された。

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON ストーリートレーラー【2023.7 SDCC】

 『アーマード・コア』に関連したニュースと言えば、コトブキヤの“V.I(ヴァリアブル・インフィニティ)シリーズ”で、『アーマード・コア フォー・アンサー』(以下、ACfA)に登場するホワイト・グリントの再販(2024年2月発売予定)が決定したことも記憶に新しい。「アーマード・コア」シリーズに登場した機体をプラモデルとして再現したV.Iシリーズでは、初代『アーマード・コア』や『アーマード・コア マスターオブアリーナ』に登場したナインボールを始め、さまざまな機体が発売されてきた。そのなかでも、『ACfA』のオープニングのみならず、専門学校のCMなどにも起用されたホワイト・グリントの知名度は指折りだろう。

 本稿では、『ACfA』のホワイト・グリントとその搭乗者に関する設定や作中の活躍、機体構成などを解説していきたい。

単騎で一企業を壊滅させた英雄

 ホワイト・グリントの搭乗者はUnknownとされており、個人名は明らかにされていない。とはいえ、前作で主人公のオペレーターだったフィオナ・イェルネフェルトが支援していること、相手から“リンクス戦争の英雄”と言われている点、さらに特定の相手と戦える“オーダーマッチ”でUnknown/ホワイト・グリントを選ぶと、説明文には“リンクス戦争では単騎で一企業を壊滅させた”とも記述されていることなどから、搭乗者が前作の主人公なのは想像に難くない。

 彼が活躍したリンクス戦争とは、旧来のアーマード・コアを超える次世代の機体、アーマード・コア“ネクスト”(以下、ネクスト)を始めとする先進技術に秀でたレイレナード社を中心にした陣営と、レイレナード陣営に対して利害関係にあったオーメル・サイエンス・テクノロジー社(以下、オーメル)たちの陣営による武力衝突だ。時系列的には『アーマード・コア4』(以下、AC4)の出来事で、『ACfA』の過去にあたる。

 開戦前、ネクスト技術の流出によって経済危機に陥っていたコロニー・アナトリアは、対策として主人公を使った傭兵稼業を考える。当時ネクスト関連の技術に出遅れていたグローバル・アーマメンツ社(以下、GA)は、貴重なネクストの戦力を手に入れられることからアナトリアと主人公を受け入れた。。以降、主人公はGAのもとでさまざまな企業から寄せられる依頼をこなしていき、一部からは“アナトリアの傭兵”と呼ばれるようになる。やがてリンクス戦争が始まると、GA社が所属するオーメル陣営の仲間になる形で戦い続け、ストーリーの終盤では敵の本拠地ともいえるレイレナード本社を襲撃、ひとりで壊滅させた。リンクス戦争の英雄という評価も、単騎で一企業を壊滅させたという説明も納得の戦歴と言える。

 『AC4』の続編となる『ACfA』では、非企業勢力のラインアークに所属。“企業連”による支配体制と、人類を空に住まわせる巨大プラットフォーム“クレイドル”を批判する勢力の一員として、かつての味方を含めたすべての企業の敵になっている。

 なお、こうした情報から、以降の文章はホワイト・グリントの搭乗者は『AC4』の主人公であるという仮説を元に書いている。そこはあらかじめ了承してほしい。

独自の変形機構と近~中距離を意識した武器構成が特徴

 ホワイト・グリントの機体は、中量二脚をベースにした射撃戦特化の機体となる。頭部やコア、腕部に脚部と、機体の基礎とも言える部分は、すべてラインアークによる内製。もっとも特徴的なのはコアのWHITE-GLINT/COREで、“オーバードブースト”と呼ばれる機能をオンにすると、コアに連結して背後に伸びている左右の機構が変形、ブーストを吹かしている間は翼を広げて飛んでいるかのような姿が見られる。

 それ以外の主要なパーツはすべて他社製となる。右腕の051ANNRと左腕の063ANARはBFF社製で、射撃精度に優れたライフル。このふたつがあれば近~遠距離まで対応できる。左右の背部にあるSALINE05はMSAC社製のミサイル兵器であり、複数の弾頭が対象を攻撃する。武器のロックオン速度などを司るFCSはオーメル社製だ。

 内部の装備で言うと、通常の移動に使うメインブースターから、左右への回避用のサイドブースター、一時的な加速機能であるオーバードブースト専用のブースターはオーメル社製。とくにメインブースターのCB-JUDITHは上昇力に優れ、継続した空中戦も可能だ。また、オーバードブースト専用のブースターには、爆発で周囲を攻撃する“アサルトアーマー”も備わっている。

 なお、後方へ下がる際に用いるバックブースターはアルゼブラ社製で、機体のエネルギー源となるジェネレーターにはレイレナード社製が使われている。

 空中戦に特化したブースターで機動力を確保しつつ、両腕のライフルや背中のミサイルによる距離を問わない攻撃が軸。懐に入ってきた相手にはアサルトアーマーで反撃する。機体構成から考えられる戦い方はそんな感じだろうか。総じて、近~中距離を軸にしつつ、遠距離での戦闘も想定した、バランスのいい構成と言えるだろう。

こちらは、「ACfA」の前作である「AC4」に登場した初代のホワイト・グリント。じつはホワイト・グリントは2機存在している
こちらは、「ACfA」の前作である「AC4」に登場した初代のホワイト・グリント。じつはホワイト・グリントは2機存在している

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