Google、テレビ局のニュース配信におけるYouTubeの活用法を説明 「信頼できるコンテンツを見つけやすくする」
グーグル合同会社は、7月6日にYouTubeにおけるテレビ局のニュース配信の取組みや、テレビ局がYouTubeチャンネルをどのように活用しているかなどの現状について説明する場をマスコミ向けに開いた。
登壇者は、グーグル合同会社の永原錬太郎氏(Head of News Partnerships、YouTube)。主な内容は「YouTubeとテレビ局とのニュース配信に関する取組みについて」「信頼できる情報源としてのテレビ局のニュースチャンネル」についてである。
日本において、YouTubeは多くのユーザーに利用され、有用な情報源として認知されている。今回の主な焦点となる、日本の民放テレビ局ニュースチャンネルは、近年大きく成長を遂げている。2020年には民放キー5局全てのニュースチャンネルが出揃い、2022年には各地上波系列単位での勉強会を実施することにより、1年で10以上の地方局がニュースチャンネルを開設。東京に加え、地方5大都市圏の全ての民放テレビ局がニュースチャンネルを保有する形となった。
在京キー局で最大の登録者数を誇るのは、ニュースチャンネルの第一人者であるテレビ朝日で、その数は319万人。次点で配信限定コンテンツを多く配信し好評を得ているテレビ東京が180万人で続いている。在阪準キー局に目を向けるとABCテレビが43万人、それ以外では愛知のCBCテレビが21万人となる。
テレビ局ニュースチャンネルの強みは、最新ニュースや災害に関するライブ速報、選挙時の開票速報など、今知っておきたい最新情報が常に視聴可能であること。さらに、不安定な国際情勢に関する深掘り解説など、視聴者のニーズに応える配信オリジナル動画もニュースチャンネル独自の魅力となっている。
そんなテレビ局ニュースチャンネルが抱える課題について、YouTubeは3つのテーマをもとに貢献をすべく努めていくと永原氏は説明する。
その一つ目が「視聴者へのリーチ」。視聴者のテレビ離れという課題に対して、新型コロナウイルスに関連したニュースをYouTubeホームで掲出することにより、テレビ局ニュース動画の表示回数が格段に増加。さらに「マルチフォーマット」戦略推進により、視聴者とのタッチポイントを最大化する取り組みを各局と実施中だ。そのマルチフォーマットには、YouTube ショート、YouTube Live、Connected TV、Podcastなどがあり、各種取組みの結果、国内ソーシャルメディア・メッセージングサービスにおいて、YouTubeが最もニュース視聴で利用されるブランドに選ばれている。
次に、テレビ広告市場の縮小に対しての、「収益化」というテーマだ。永原氏は、YouTubeにおけるニュース動画の視聴傾向として、尺が長くて内容が充実したものが非常に好まれていると話す。8分以上の動画には、動画途中のミッドロール広告の枠も設定が可能で、それにより再生回数あたりの広告単価はさらに上昇。これまでネット上でのマネタイズが難しかったドキュメンタリーなど多様なコンテンツも積極的に配信され、視聴者は多彩なニュース動画に出会うことが可能となった。さらに2023年2月からは、ショートの広告収益化も可能となり、新たな収益機会が創出されている。
そして、地方局の経営改革による「情報の多様性」。地方局の多様なニュースを全国区で視聴可能にすることで、多彩なドキュメンタリーがYouTubeで気軽に観ることができるようになった。中でも、CBCテレビの「新型コロナワクチンの副反応問題に関する調査報道」は、「第60回ギャラクシー賞」の報道活動部門で「選奨」を受賞。地元取材の反響がYouTube配信により、全国各地への取材に発展していった。
信頼される動画サービスとして、ユーザーや報道機関が活用し続けていくためにYouTubeが重視するポイントは「開かれた場であること、表現の自由」「コミュニティを守る責任」。この2つのバランスが重要であり、信頼できる情報源のコンテンツを見つけやすくすることがYouTubeとしての責任である。そのために、YouTube内の随所で速報、深堀りのニュースを掲出することで対応している。
会の終わりには質疑応答の時間が設けられ、それぞれのチャンネルのカテゴリや登録者数によって広告単価は異なるのかという質問に、永原氏は「意図的な操作をして、特定のチャンネルに広告が多くなるよう、ニュースチャンネルを優遇することはない」と明言しつつ、コンテンツ配信者の取組みとしてできることに、先述したミッドロール広告の枠をつけることで1再生あたりに得られる金額は想定として増えていくと説明し、見応えのある長尺の動画をお勧めした。
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