AppleがVRデバイスを発表? 『WWDC 2023』はVR業界への“リベンジマッチ”となるか
このあと6月6日2時より、米・Appleの開発者向けイベント『WWDC(Worldwide Developers Conference:世界開発者会議)』が開催される。『WWDC』では新しいiOS・iPadOSやmacOSの発表を中心に、新たなソフトウェアやフレームワークの発表がなされることが多い。そんなWWDCにおいて、「今年のWWDCでは”アレ”が発表されるかも」とここ数年噂されているのが「Apple製VRデバイス」の存在だ。
発表会で語る内容をAppleが予告することはまれで、もちろんこれも完全な”噂”なのだが、今回の『WWDC 2023』では「いよいよ発表されるのではないか」とまことしやかに語られている。本稿ではAppleがこれまでに行ってきたVR業界での取り組みについて考えながら、この噂について解説する。
VR・AR領域におけるAppleの取り組みは主に2017年から始まっている。『WWDC 2017』でAppleはARアプリの開発フレームワーク「ARKit」を発表した。これはMacやiPhoneで動くARアプリの制作を強力にバックアップするもので、最新のiPhone・iPadと連携しながら現在までアップデートが続いている。
同年にIKEAから発表されたiOS App『IKEA Place』はカメラで撮影した空間にIKEAの家具を配置できるソフトだ。ARKitを大いに活用したアプリケーションとして当時話題になった。
またMac向けグラフィックスAPIである「Metal 2」のVR対応もこの公演で発表された。『WWDC 2017』の基調講演はMac・iOSの基幹テクノロジーでVRをサポートするという声明が打ち出された講演だったといってもいいだろう。
これに答える形で同年、米・ValveはVR用プラットフォーム「SteamVR」のMac版を発表。それまではWindowsでしか実現できなかった、VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)を接続してPCVRゲームを簡単に楽しめる環境が、Macにももたらされたのだ。AppleとVRの関わりにおいて、2017年は「Apple VR元年」と呼んでも差し支えないだろう。