『Meta Quest 3』発表、『Meta Quest 2』値下げ――Metaが突如動き出す

『Meta Quest 3』発表など突如動き出すMeta

Meta、動く

 青天の霹靂とはこのことだろうか。ウワサこそただよっていたものの、その登場はなかなかに唐突だった。

 Meta新型ヘッドセット『Meta Quest 3』、ついにお目見えである。

Introducing Meta Quest 3 | Coming This Fall

 明らかになったその全容は「薄型になったVR・MR両用機種」だ。VRだけでなく、フルカラーでヘッドセットの外界映像を取得し、リアルタイムに現実世界上にバーチャルなものを呼び出す、複合現実(MR、Mixed Reality)も志向する一台だ。公開されたイメージ映像でも、MR用途は大きくプッシュされている。

Meta Quest 3
Meta Quest 2(左)とMeta Quest 3(右)

 光学設計もブラッシュアップしたのか、『Meta Quest 2』と比較すると正面はだいぶ薄くなった。重量がどうなっているか不明だが、これだけ薄ければ前後の重心バランスは比較的均等になっている可能性もある。

 価格は税込みで74,800円。まぁまぁ高価だが、「MR機能を持つコンシューマー向けヘッドセット」としては、比較的安価である。ビジネス用途に割り切った『Meta Quest Pro』に対し、一般ユーザーも使う『Meta Quest 2』の後継機となれるだろうか。発売は2023年秋予定。詳細は9月27日開催の「Meta Connect」にて明かされるようだ。

 そして同時に、『Meta Quest 2』の価格改定が発表された。6月4日より、128GBモデルは47,300円、256GBモデルは53,900円(それぞれ税込み価格)となる。どちらも約1万円の値下げだ。それでも発売当初の”破格のお値段”には届かないが、昨年からの値上げ価格よりはお手頃な値段にはなった。

 また、『Meta Quest 2』と『Meta Quest Pro』の性能アップデートも告知された。今後のソフトウェアアップデートにより、CPU性能とGPU性能が向上するとのことだ。Metaによれば、『Meta Quest 2』は今後も『Meta Quest 3』とともに販売を続けるとアナウンスしており、値下げと合わせて”安価な旧型機種”として『Meta Quest 2』を打ち出したい意図がうかがえる。

 こうしたMetaの唐突なデバイス関連の発表は、なにを意味するのか。もう一つの”巨人”が、日本時間6月6日午前2時より『WWDC23』を開くことは、忘れてはならない。

Meta Quest Gaming Showcase | 2023

 『Meta Quest 3』の発表からほどなくして、最新VRゲーム発表の場である「Meta Quest Gaming Showcase」が放送された。こちらも内容はなかなかに濃かった。

 なつかしき『サンバ・DE・アミーゴ』がVRにやってきた。妙な中毒性のある『PowerWash Simulator』もVR版が発表された。あの『ストレンジャー・シングス』もVRゲーム化が告知された。以前予告された『ゴーストバスターズ: ゴーストロードの覚醒』も、今年の秋に発売される。

 そしてなにより、あの「アサシンクリード」のVRゲームが正式に発表された。VRゲーム『アサシン クリード ネクサス VR』は、今回はまだ顔見せ段階。詳細は6月12日のイベント「Ubisoft Forward」にて明かされるとのことだ。

 これらの新作ゲームは『Meta Quest 2』向けであると同時に、『Meta Quest 3』向けでもある。『Meta Quest 3』は、多種多様な『Meta Quest 2』対応タイトルに対し、後方互換性を有しているからだ。魅力的なゲーム・ソフトウェアを武器に、MetaのVR戦略は引き続き展開が続くことだろう。

「.LIVE」の新たな動き、VRTRPG企業にも注目

 良くも悪くも、先週はMetaの発表が大きすぎた。一方、「突然の動き」といえば、VTuberプロダクション「.LIVE」運営・アップランドからの、新人VTuber発表の報も捨てがたい。

 最初期のVTuberたる電脳少女シロらを送り出したアップランドは、2021年1月を最後に新規タレントのデビューはなかった。今回、一気に6名のVTuberが、ひとつのグループとしてデビューするとのことだ。時期は未定だが、「近日中」と告知されている以上、そう遠くはないだろう。

 気になる点といえば、「株式会社アップランドより~」という告知だろうか。憶測ではあるが、「.LIVE」からのデビューではない、という可能性もある。アップランドは先日、MBSグループの傘下の子会社になっており、バックグラウンドは変化している。老舗の新たな一歩となるか、動向は注視しておきたい。

 もうひとつ、興味深い動きを挙げるならば、VRTRPG・ボードゲームに特化した、株式会社バーチャルパーティーの設立だろうか。『VRChat』であらゆるTRPGのプレイをサポートする汎用システム「CatsUdon(カツドン)」の開発や、Discordコミュニティ「CatsUdon工房」の運営を行う会社だ。

 「CatsUdon工房」は1年近くの運営実績があるコミュニティであり、その中心メンバーの一人が同社の代表取締役を務める。ユーザー発コミュニティから生まれたVRChat関連企業と言えるだろう。

VR-TRPGツール 「CatsUdon(カツドン)」紹介PV ダンジョンビルド編

 「CatsUdon」は平たく言えば、「あらゆるバーチャル空間をVRChatワールド内に作り出すギミック」だ。街も、部屋も、ダンジョンも、人やモンスターも、魔法も、その場で呼び出すことができる、いわば舞台装置だ。その汎用性はTRPGにとどまらず、VR演劇の舞台転換にも活用されたほどである。

 もとからすごいシステムが、法人設立によってどれだけ進化が加速するか。その一端は、毎週木曜に開催される初心者イベントでも体験できるので、興味がある人は門戸を叩いてみるとよいだろう。

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