オンライン授業が激減するも「対面だと落ち着かない」 現役大学生が望む、脱コロナ後の授業への本音

遠隔授業が激減した脱コロナ後の授業への本音

履修登録者数3千人 人気の講義にみられた共通点

 今年度、ある大学では、1つの科目に対し、履修を希望する学生が3千人を超える事態が発生した。

 予想を超える履修希望者数をうけ、急遽履修ができる学生を無作為に抽選することになった。

 この科目は毎年人気を集めており、コロナ禍においてはオンデマンド方式で実施されてきた。今年度もほとんどの授業が対面方式になるなかで、数少ないオンデマンド授業を継続したことで、履修希望者が集中したのだと考えられる。

 その他にも履修する学生を抽選せざるを得なくなった科目が発生し、今年は特に履修登録に頭を悩ます学生が多かったようだ。

 そして興味深いことに履修者が多いということで抽選になった科目のほとんどが遠隔授業なのだ。

 この結果を踏まえても、学生たちが対面授業を待ち望んでいたとは言えないことがわかる。だからこそ、コロナ禍以前の授業形式に戻すことが正解だったのかは疑問が残るところではある。

 ディスカッションや発表会などが設けられている授業は、学生同士のコミュニケーションもとりやすいため対面授業のほうが適切であるが、動画を視聴する授業や教授の話を聞くだけの講義は、遠隔授業を継続しても良かったように思う。

刺激と効率のバランスが学生のやる気を引き出す「ハイブリット型授業」

 大学により授業方針は異なるが、講義の中には対面授業と遠隔授業を併用して講義を進めるハイブリット型の授業を行うものもある。

 この形態の授業にはいくつかメリットがある。

 対面授業の時は遠隔授業で行った内容の意見交換など議論式の授業ができるほか、授業によってはゲスト講師の話を聞く機会もあり、同じ空間にいるからこその刺激を受けられる。

 また、遠隔授業は通学時間や授業間移動などが省ける点や、オンラインだからこそ復習時間を確保しやすく、授業が終了した後に自分のやりたいことに効率よくうちこめるといったメリットがある。

 双方のメリットを兼ね備えたハイブリット型授業では、遠隔授業で知識をインプットし対面でアウトプットするという効率的な授業サイクルができている。授業方式が毎回変わるからこそ学生の気分転換にもなり、やる気につながっている。

 誤解しないでほしいのだが、オンライン授業が楽だからよかったといっているのではない。対面授業と併用することで、講義を受ける場所と時間に囚われないという時代に沿った「スタディーライフバランス」が取れていたことに意義を感じているのだ。

 対面授業だけに偏ってしまっていたときよりも、効率よく学習ができたため、これからも大学はオンライン授業も積極的に活用するべきだと考えている。もちろんオンデマンドやオンライン授業では、授業録画の撮影や配信資料の準備など教授の負担が大きくなってしまうという問題もある。

 だが、せっかくハイブリット型授業が実施できる体制が整ってきたところで、コロナ禍以前よりの授業方式に戻してしまうのは、対面が当たり前という考えが抜けていないように感じてしまう。

 どこでも授業が受けられるようになったからこそ“リアル空間”の授業が貴重になり、対面の時間をどのように活用するべきか考える時代になっているように感じる。コロナ過で学ぶ環境が大きく変化したが、時代に合わせて授業形態も多様にしていってほしいと願っている。

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