コロナや世界情勢に影響を受けながらも739億ドル超えの巨大な越境ECに 優秀な販売者が表彰された『eBay Japan Awards 2022』
スマートフォンの普及によって、eコマース市場が拡大の一途をたどるなか、海外に向けて商品を販売する越境ECの市場規模も急成長している。
とりわけ、越境ECに新規参入する事業者も、コロナ禍での海外渡航の制限や巣ごもり需要の喚起などの影響で増加している状況と言える。
そんななか、越境ECにおける世界最大規模のオンライン・マーケットプレイスとして躍進しているのが「eBay(イーベイ)」だ。
世界190カ国に展開し、2022年の総取引額は739億ドルを超えるほどの巨大なプラットフォームとして、越境ECビジネスを支援している。
2023年3月17日には、2022年度に優秀な成績をあげた日本のセラー(販売者)を表彰する『eBay Japan Awards 2022』が行われた。
4年ぶりの会場開催となった受賞式の様子や、受賞者によるグループインタビューの模様を取材した。
コロナ禍でも屈せず、日本のeBayセラーの総流通額は3年間で2倍に
冒頭にはイーベイ・ジャパン株式会社 代表取締役社長の岡田 雅之氏が登壇し、会に先立っての挨拶を述べた。
「4年ぶりに受賞式をリアルで開催できることに非常に嬉しく思う」
開口一番、こう話した岡田氏は、日本セラーの総流通額がコロナ禍の3年で2倍になり、好調に推移していることにも触れた。
「越境ECビジネスに取り組む新規のセラーも伸びているほか、コロナ禍という苦境に直面したのにもかかわらず、このモメンタムを維持している国は類を見ない」
コロナ禍に突入してからの3年は、さまざまな外的要因が生じ、eBayセラーにとっても変化を余儀なくされた時期であった。
物流においては、2020年に日本郵便が国際郵便の一時引受停止を発表した際に、FedExやUPS、DHLといった他の国際宅配業者に白羽の矢が立ち、越境ECビジネスの継続を可能にした。
また、eBayは支払い手段に関して、2021年6月にペイパル決済から自社のペイメントサービスへと切り替えを行った。これによって、100万円以上の商品も取り扱えるようになり、セラーの売り上げ拡大に大きく寄与することになる。
一方、2022年2月に始まったロシア・ウクライナ危機の影響で、パーツの調達が困難になるなど、非常に目まぐるしく社会情勢が動く3年間だったと言えるだろう。
こうしたなかでも、「変化をものともせず、日本セラーが柔軟に対応し、創意工夫してきたからこそ、他国に勝るほどの成果が出ている」と岡田氏は話した。
2022年は過去最多となるのべ19の法人および個人が受賞
続いて「eBay Japan Awards 2022」の受賞者が発表された。
今回はブランドバッグや時計、カメラ、トレーディングカード、アニメグッズ、オートパーツなど、eBayの人気カテゴリーからのべ19の法人および個人が受賞した。
セラーサポートに貢献したコンサルタントに贈られる「公認コンサルタントアワード」は、PlusBonBuono株式会社が受賞。
同代表取締役の荒井氏は「eBayの公式ウェビナーを1年やらせていただき、今後もセラーの成功をサポートできるように頑張りたい」とコメントした。
eBayでの販売活動をサポートする優れたツールを提供する事業者に贈られる「ツールアワード」にはオークタウン株式会社が受賞。
代表取締役社長のイ・ジェホン氏は「英語を気にせず、全て日本語で出品対応が可能なので、直感的に使えるのが弊社の提供するツールの特徴になっている。これからもセラーにより良いサービスが届けられるよう尽力したい」と述べた。
ここからはeBayの人気カテゴリー別に、2022年度の売り上げが大きく発展した法人・個人を表彰する「カテゴリーグロースアワード」の発表がなされた。
アパレル&バッグ・ブランド小物カテゴリーで受賞したのは、株式会社デファクトスタンダード。
「海外への販路拡大先として、eBayはまだまだ可能性がある。今後も競合企業と切磋琢磨しながら、成長していきたい」(取締役 植松氏)
スニーカーカテゴリーの法人枠で受賞した株式会社リフォート 代表取締役の下元氏は「スニーカーの販売は簡単ではないからこそ、常に改善を重ね、それを繰り返し、戦略的な販促活動を行うことが求められる」と語る。
また、個人枠で受賞した川上竣氏は「地道に取り組んできた結果だと思っている。売れない時期も必ずあることを見越し、いかに先回りして準備できるかが大事になる」と話した。
時計カテゴリーの受賞は法人ではシュッピン株式会社、個人では野中秀一氏が選ばれた。
野中氏は個人ながら、高級時計といった高額商品の取り扱いを増やしたことで飛躍的な成長を遂げ、法人と並ぶほどの売り上げを達成したという。
「eBayで取引する画面の向こう側には“人”がいることを常に意識し、販売を継続することが重要になる」(野中氏)